★always party★

つまらない日もくだらない日も今日という日は2度と訪れない。だから毎日が特別なパーティーのように楽しく愛しく♪

白い箱のような部屋の中で

2007-06-11 11:32:02 | Weblog
顔は苦悶の表情そのもので
本当に呼吸が苦しそうだった。

その日追加された
点滴の4つ目のパックには
○(まる)麻と書かれていた。

痛みをやわらげるそいつ
命を縮めるそいつ

そいつが効いているみたいで
何も言っていないのに

「ん?なぁに?」って聞かれる。
「うん、なんでも、ないよ?」って答える。

「こうえん・・あの・・こうえん・・。」と突如いう。
「え?講演?うん、わからないな・・。」

「ちがう。あんたの住んでるところはどこ公園だっけ?」
って、聞かれる。
「ああ、石神井公園だよ。」って答える。

「おばあちゃん、新しいことを全然覚えられなくなった・・・。」
と、苦しそうに呼吸をしながら
「石神井公園、しゃくじいこうえん・・・」
一生懸命復唱している。

覚えなくていいのに、そんなこと。
おばあちゃんの楽しかった時代のことを
いつでも思い出していれば、それでいいのに・・・。

「手の力はまだこんなにあるのに・・。」
と、言い、握手をした。
「そうだね、すごいね!」

その手はとてもとても冷たかった。
わたしの手は、汗をかいていて気持ちが悪かった。

ごめんね。
もっと温かくてさらさらしている手なら
その冷えた手を温められるのに。
手を握って見守っていられるのに。

「じゃあね、またくるね。」
1時間ちょっとそこにいてわたしは告げる。

「はい、すみませんね。」
とふりしぼった声で見送られる。

あと、何回、行けるのかな・・・。