最近読んだ、適菜収氏の「日本をダメにしたB層の研究」のなかで、現代は
素人が色々なことに一家言を持ちすぎ、しゃべりすぎである、私は素人なの
で分かりません、判断できません、という謙虚な態度がもっとあっても良いのでは
ないだろうか、というような事が書いてあって、なるほどな、と感心し反省し
たのであるが、産経新聞11月26日の1面コラム増田明美氏の「思ふことあり」
を読んでまさしく増田氏はこれを体現している、と感じた。
勝手に抜粋すると、
「・・・メディアにお願いしたいのは、各政党が打ち出す政策に対する分かりやすい
解説だ。政治家の主張は聞こえの良い言葉が並ぶが、国民だって消費税はない
ほうがいいし、原発に頼らないで済むならそのほうがいいと思っている人は多いだろう。
しかし、「じゃあ、どうすればいいのか」に対する説明が不足している。
「消費税は上げません。ただし、年金支給を#%減らし、医療費負担を#倍にします」
とか、「電気代は#倍になります。失業率は#%になりますが、原発ゼロのために
我慢しましょう」と負担も言ってくれたほうが選びやすい。それが聞こえてこないのだか
らメディアに頑張ってもらいたい」
なんと謙虚でかつ雄雄しい態度か、前から良い事書く人だな、と思っていたが改めて
感心した。
震災後にすぐご主人と車で支援物資を積んで、東北へ赴かれたそうで、被災者への
支援についても軽やかな筆致で記述がある。
テレビで見受けるとそんな感じはしないが、実はすごい人なのかもしれない。
それから、今日11月28日の産経新聞コラム「正論」、岡崎久彦氏。
引用してある詩が良かった。
勝敗は、兵家、期すべからず
羞を包み、恥をしのぶ、是男児
江東の子弟、才俊多し
捲土重来、未だ知るべからず
シナの項羽が劉邦との戦いに敗れ、長江のほとりにわずかな手勢を率いて
たどり着いたときに、河を越えて楚に戻りなさい、とその地の長が勧めたの
だが、項羽は断って自刎した。それを惜しんだ杜牧の詩だそうだ。
コラムではあえて江南のところを民主として詩の解説をするところで説明して
いるのだが、そのあたりは自分はピンとこなかった。
杜牧といえば、江南春絶句が好きなのだが、それだけでこの詩は知らな
かった。
司馬遼太郎の「項羽と劉邦」で知った、虞や虞、を思い出したが、これも良い
詩だなあ、と思った。
あと、同紙の社会面で日本維新の会で立候補者の辞退が相次ぎ、ドタ
バタで代替候補が擁立されていくさまを、関係者の言葉として、
「公募のルールを無視し誰でもいいから擁立しろという状態。選考基準
が分からず、ガラクタ市のようだ」
と書いてあって「ガラクタ市」に笑わせてもらった。
また同紙のスポーツ面にも良い詩の事が書いてあった。
メジャーリーグ・ヤンキースの黒田投手がキャンプのミーティングで日替
わりで行うスピーチで披露したのは
耐雪梅花麗・・・
西郷隆盛が読んだ漢詩の一部らしいが、黒田投手は高校時代にこの
言葉と出会って以来、座右の銘としているらしい。
「梅の花は寒い冬を耐え忍ぶことで春に麗しく咲く。苦しむことなくして栄光はない。
試練を乗り越えてこそ、物事は成就する」と解説に書いてあった。
これは勉強になった。
社会、経済のことももっとじっくり読んで理解すべきなのだが、ついつい読み飛ばし
て、文系・文科系の記事ばかり読んでいる。
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