那須太社 錦輔 の日記

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ナツコ 沖縄密貿易の女王

2011-10-16 19:32:27 | 読書感想文
読んでいて、乗ってこないので、読み通すのがけっこうたいへんだった。

沖縄秘史、あるいはクライムノベルとかノワールとかそういう裏社会の住人たちの激しい生活を垣間見せてくれるかと思ったが、そういうわけではなく、割と淡々とナツコさんの半生をおいかけています。

関係者がご高齢で次々亡くなっていかれた、と書いてあるが詳しい話しを取材できなかったのかもしれない。
海での活劇譚も淡々書いてあって、読み物として面白くしようとしてない感じがする。
作者としたらとにかく、沖縄の「ケーキ時代」という誰も語ろうとしてこなかった時代のことを、書き残さなければいけない、という思いだけだったのかもしれない。

台湾から香港まで戦火をくぐり、海賊や警察を避けて密貿易をした男たちと彼らを統率した女ボス、という舞台と役者がいれば、血湧き肉踊る面白いエピソードがたくさんありそうだが、あまり活劇的な話は膨らまず、ほんとにあっさり、淡々とした語り口だ。

かといって、ナツコさんのこともやはり当時のことを知っている人を探すのも大変みたいで、なぜボスになったのか、といったことや、人生の細かいことは語られない。

しかし、知らなかったことも色々あって勉強になった。

沖縄戦で大被害を受けた米軍は意地になって沖縄を占領統治したが、GHQとは別ラインで行われGHQよりもレベルの低いスタッフが送り込まれた。
そのため沖縄の人たちは、沖縄戦に引き続き大変な被害をうけ苦労をされた。
戦後、台湾や香港から密貿易で運び込まれた物資のうち、神戸に運び込まれたものは山口組が荷受し、ペニシリンなどはダイエーの中内氏が引き取ってさばいた。
沖縄の共産党は反日ではなく、当時は反米で本土復帰運動を行っていた。

戦後史って、山口組と中内氏のエピソードなどもそうだが、タブーみたいになって語られないことが多いようなきがする。
だから年表みたいなものを読むか、個人の伝記を読むくらいしか、当時を知るすべがないような。

なにもかも情報公開しなければいけない、とは思わないが、本当のことを知りたいとも思う。

ナツコさんの話はそれほど引き込まれなかったが、そんなことを思った。
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