桑炭会 島根県伝統の炭焼き 

松江市八雲町で伝統的な八名窯を継承し炭焼き、販売をしています。
メインテーマは自然環境保全。

炭焼きの罠

2022年04月30日 08時49分10秒 | 活動報告

炭焼きは難しい。とりわけ炭焼きの世界に縁のなかった者がそこに参加して

炭焼きができるようになるのは至難の業である。参加して色々なことを知って

行く内、確実になっていくのは技ではなく『耳年寄り』。

言葉やうわべの経験をしていくと少しは話にも参加できるようになり、恰も一端

の炭焼人になったかのように勘違いしてしまう。つまり本質の理解はともかく

お経は読める『門前の小僧習わぬ経を読む』と同じである。

現代の炭焼き初心者が『耳年寄り』に為りやすい最大の要因は何年経験しても

自身が主体となり炭焼きをすることがないこと。更にその奥には材料集め、加工、

窯立てと事前準備に大きなマンパワーを必要とし、その労苦をお釈迦にするか

もしれない門前の小僧のための経験に使うのはリスクが大きいところにある。

熟練した人たちは経験というアナログのデータが頭に入っており、それをベー

スに工程を進めるが門前の小僧にはそうしたデータはないから、他に頼るものと

して温度という数値に行き着く。それを進める内に炭焼きは温度数値の変化を

求するところに力点が行き本来あるべきところからずれてしまう。熟練者の炭

焼きは工程々に温度が決まっているのではなく結果の温度をプロットしていくと

理に叶ったものになっている。

門前の小僧は数値を目的化してしまい、只管それに沿うようにいくことでしか炭

焼きに行き着く手法を持たないから、そこに執着していく。

そしてそれが正しい方法と信じ込む罠に落ちてしまう。

しかし、炭焼きの数値データは活用次第で何かのヒントになるのではないかと模

索することは間違ってはいないと思う。

熟練した人たちの話を思い返してみると言葉の端々に技のヒントが語られている

に、そうした貴重な情報を身に付けていないことに気づく。

会に参加する人は夫々に『遊び心』『皆とワイワイやりたい』『地域活動の一環』な

ど様々で、炭焼き人を育てるために特別のプログラムがあるのではなく、弟子入り

した落語家が師匠に『稽古をつけてください』と頼むような積極性を持たなければ

技の継承はできない。つまり受動の姿勢であれば技は頭の上を通り過ぎていくだ

けで身につくことはない。

門前の小僧も後期高齢者の仲間入りを果たしているがこの年になって尚、精進の

必要さを思い知らされている

            

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炭焼き5日目、窯籠めと割木作り

2022年04月20日 18時37分25秒 | 活動報告

先日の割木作りの続きを行う。何度も書いているが貰い物の材料は大物

ぞろいで割木に特化した作業だけでも長時間に及ぶ。その作業もようや

く終わりが見え始め端切れの始末に取り掛かれるようになった。

それも午前中で粗方を終え一段落つく。ただ炭木用に作った材料は1窯

以上あり、さらなる炭焼き・割木への流用といつものシーズンより炭焼き仕

事が続いている。

これからは本格的な農作業へのシーズンに切り替えとなっていくため時

間の確保は難しくなるが桑炭会パワーなら何とかなると思っている。

炭焼きは最終局面を迎え今日のスケジュールを決める朝一の温度は気

にかかっていた。『昨晩越すのに煙突をもう少し抑えておいた方がよかっ

たかな?』とか

『締め過ぎになっていて思ったほど温度が上がらず、後々に影響が出な

ければ・・・』などの思いが交錯する中で通信簿をもらう

『230℃』、問題のない期待に近い数字に安心して、窯を籠める下準備と

して極緩やかな調整から始める。以後、急な上昇のないように注意しなが

ら調整していく。13時半に293℃となり、ここで煙突・通風孔とも開放にし

て精錬を始める。(ものの本によると260~270℃辺りとなっている)17時、

煙突の中は白くなり煙は殆ど透明になってきたが温度が324℃ともう少し

高いところで終えたいので1時間待つことにした。

18時、331℃になったのでガス抜き後に煙突を閉鎖して8回目の炭焼き

を終えた。目塗りは明朝とする。

前回のデータ・調整をコピーした形でやってみた。最初は少し遅れ気味

の温度推移をしていたが終盤に逆転し1時間15分速く終了した。

因みにこれは今シーズン最短の炭焼き、その内容は如何なるものか窯

出しが楽しみ。

        朝日に迎えられ夕日で終わった炭焼きの1日

            割木置き場はほぼいっぱい

        

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野兎の訪問?

2022年04月19日 18時50分59秒 | 活動報告

春の珍事か、ブログ管理人の山小屋の周辺で野兎が暮らしているのは

糞の状態から知っていたが先日の雨降りの日、帰宅のため車を出しか

けたら猫のような影が見えよく見たら野兎だった。カメラを取り出しそー

っと撮影、少し距離を狭めようと忍び足で姿を探すと草むらで座ったまま

動かずにいた。動画、画像とも撮影できるチャンスを得た。そして、今日

は畑わさびの葉を採ろうと渋木の根元に行ったところ、野兎が飛び出し

てきた。先日と同じ場所。2~3m逃げたので車までカメラを取りに行っ

ている間に元の渋木の近くでじっとしていた。

野兎の撮影機会は3度目、タヌキ2回、見かけた野生動物はイノシシ、フ

クロウ、キツネ、雉、ヤマドリ、テンと種類は多い。

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炭焼き4日目、前回モデルを追従

2022年04月19日 18時14分45秒 | 活動報告

いつもより少し早い時間に出たら太陽が星上山の裾野から顔を出すところだ

った。この時間帯だと数分の違いで景色が大きく変わる。日の出を見るたび

北条氏康だったか武将がいつも朝日に『武運』のあることを願ったとの話と重

なる自身の体験。

がん治療から数年経った検査で再発の可能性があり再検、疑いのあるところ

の生検結果を聞きに行く当日、『がんの再発ではないことを』と朝日にお願い

した。非科学的だとか非現実的と非難されようが罵られようが藁にも縋(すが)

る思いからだった。再発の場合、同一個所の手術は大困難を極めると説明を

受けていたから、『白』だと説明を受けた時には先生の手をつかみ感謝の言

葉を口にした。朝日はいつも、このシーンを再現させる。

さて、6時の点検は143℃とモデルより‐25℃だが、いつものペースよりは高い

ことから調整なしで9時にもう少しペースが遅くてもいいと判断し煙突に枝を

追加する。温度の推移に敏感になり過ぎず、煙の状態をよく見るという基本

を忠実にした心持で4日目を向かえた。

前回モデルと全く同じにはなってないが相似形になっており、夕方の煙の

色・量にもそれが見られた。

3晩を越せば明日は窯籠めに向けて進むのみ。

明日は、半日の割木片付けがあり、窯と平行作業になる。

                煙に青味

        

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炭焼き3日目、前回より-20℃の推移

2022年04月18日 18時02分36秒 | 活動報告

前回の状態を再現しながら模索する3日目、朝一番では約‐10度の90℃

だったが煙の塩梅に注意しながら再現を続行した。9時の時点で煙の色

は若干薄くなってきたように見えるがはっきりとした変化はない。

以後は上昇速度が緩やかで2日目の日中としては安定しており喜ばしい

のだが、再現させたいということからすると-20℃の差をどう考えればいい

のか複雑。

17時の煙は朝に比べれりば少し青味が入り替わってきている。温度はもう

少しスピードを上げてみようということになり、煙突の枝を1本減らしてみる。

いずれにしても明朝の結果により路線の継続か検討する。

                6時半頃

              12時頃、温度計と睨めっこ

         17時頃、少し青味がついた

         

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