桑炭会 島根県伝統の炭焼き 

松江市八雲町で伝統的な八名窯を継承し炭焼き、販売をしています。
メインテーマは自然環境保全。

お告げは『窯を籠めろ』

2021年02月24日 18時49分03秒 | 活動報告

昨日は近年にはない1日早い点火により翻弄されたが流れを逆戻りにし

たり、上昇した窯温度を下げてやることはできない。後は過去の流れに

近くなるよう煙突・通風孔の調節に頼るしかない。それでも当方の意と

する方向に向いてくれるとは限らない。私たちの心の内を読み切ったか

のように今朝は240度と予想以上に上昇した。意に反するものの悪いこ

とではなかった。窯を温める期間が1日分削られたと理解すれば、3晩目

を越しこの温度なら本日中に窯を籠める条件が揃ったことになり、当たり

前のように続ければいいことになる。

以後の11時の点検では248度と大きな上昇はなかったが午後2時前、

290度になったので煙突・通風孔ともに全開にし精錬を開始する。それ

からは順調に上昇し5時ごろ340度、未だ内部煙突の煙がみられること、

煙突内部が白くなっていないことから腰を落ち着かせるためお茶を沸か

してティータイムとなる。

待つこと1時間ほどでガス抜きを終えて窯を籠める。全行程97時間と今

季の最短。

今回の炭焼は暖かい日、寒い日が交錯した。煙突に温度計を突っ込み

検温するのが炭焼きの主な仕事になるが、測定中に入口のドアを開閉

するたびに測定温度が変化することを発見した人がいる。話を聞き実際

に見ているとデジタル温度計の方が反応が早く分かり易いが10度近くの

変動があった。ドアを開けたままだと棒温度計でも変化を確認することが

できる。

似たようなケースとして風の強い日に温度が上がらい時間帯があったこと

を思い出す。すると、外気温度と炭窯の温度に相関関係があるのかという

疑問が湧いてきた。関係あるのか否かの根拠はないが調べてみれば何か

分かるかもしれない。

                    9時頃

                       14時頃

                    窯籠め完了


炭焼4日目

2021年02月23日 17時54分13秒 | 活動報告

昨日のポカポカ陽気から一転、風の冷たい一日となった。どうも寒気が

回ってくるらしく週の半ばから荒れ模様の予報。炭小屋への道中にある

梅の木、蕾を開きかけていたが寒さが戻り、どうしたらいいものか思案?

夕方に当番の人たちとの会話にしっくりとしない感じがしていた。点火を

確認したのが21日だからそこから3晩目は今夜になるから明日は籠める

日となるはず・・・・・

しかし、温度カーブをグラフにしてみれば3番越しを優先すべきか、過去

の流れに沿わせるのがいいのか判断に迷いが出る。今回は2日目の焚口

トラブルと点火が窯立ての翌日と早かったことに起因する。

かといって状況を人間の意とする方向に舵を切っても窯が言うことを聞く

とも限らないので今の流れに従ってみることになる。

経験の浅い人たちが『ああでもない、こうでもない』と談義しながら迷走す

るのもいい肥やしになるだろう。

               9時頃

      17時頃、煙の色が薄くなってきた


動きが少ない3日目

2021年02月21日 21時13分59秒 | 活動報告

春先には違いはなかろうが、春本番のようなポカポカ陽気が続き炬燵の番人

から足が外に向いてくる。いつも通り見慣れた景色の中にも季節の変化が見

える。

この季節の大敵は花粉症という方は多くおられる。杉の枝の先端に付いてい

る蕾は赤みがかかり、重さのせいでしなっている。これに弱い人は、堪えきれ

ずくしゃみをすることになる。コロナで他人のくしゃみには敏感人が多いのも

事実。人は困ると色々と知恵を出すものだ。

マスクに『私は花粉症』の表示をして理解を求めるのもその一つ。花粉症な

るものは突然に出てくるものらしいが山深き八雲町で木に囲まれて暮らして

いるが、それでも多くの花粉症の人がおられる。

もっと奥の方で炭焼きをしている爺さん集団は杉の実がたわわについている

枝を振り回しても何ともない元気者だ。

炭焼きは夕方までに90度くらいを目標にしていた。朝から日中の温度の動き

は少なく夕方までたったの3度しか上がらず87度で2晩目を越すことになった。

焚口閉鎖後、温度が思った方向で安定すると通風孔、煙突の調節のための

談義もなく、窯の周りで四方山話に花が咲く。これも春の花?

 

                         9時頃

             17時頃


窯出しと窯立て

2021年02月20日 17時55分40秒 | 活動報告

2日前には結構な雪が降り真冬に逆戻りしたかと思えば、急転直下の晴

天で炭作業に差し支えるような雪を溶かしてしまった。しかし集合の時間

帯は未だ温まっておらず寄らばストーブの周りで話が弾む。

残雪の関係から外仕事中心は無理があることから内勤、つまり12日にし上

がった窯出し、窯立てをすることになった。

いつものことながら、窯出しする際の焚口壊しの時は

『本当に壊していいの?』と心配になる。

『エイ、やっ』壊して中を覗き込み奥に向かって倒れている炭の残り具合を

確認する。左右対称で残り、しかも手前まで多く残って、灰まみれになって

いないのがいい。

過去に見て記憶の中に残っている残像との比較だからいい加減ではあるが

『うん、中々な出来だ』なんて悦に入る。

総務省の重責ある人は総理の息子と何を話したか記憶にないと本気で答弁

していた。それに比して後期高齢者集団の記憶力の方が未だましなように思

える。

中に入ると若干温もりが残っているが汗が出るほどのものではない。手前の雑

木の炭は材料が悪かったこともあり柔らかく折れたものが多い。

樫の炭は固くきれいな形で残っており申し分はない。しかしその上に乗ってい

る枝木の炭は全体的に形状は悪く折れていた。前回の窯と比較するとかなり質

は悪い。樫は23袋の産出、その他との合計は約320kgだから前回とほぼ同量。

この頃、外では窯立ての準備として枝木、焚木づくりなどを行う。午前中で窯出

しを終え午後から窯立てを行い17時に火入れとなる。

これまでに備蓄してきた樫材は未だ2窯分くらいは確保してあり、シーズン終了

での日程の詰めを考える必要が出てきた。

        


炭焼2日目、焚口のトラブル

2021年02月20日 17時55分40秒 | 活動報告

早起きの当番の人が点検に出かけたら焚口トラブルを発見(内容は武士の情

けでご容赦を)幸いなことに焚木は燃え尽き更に枝木には点火していない状態

だったため明るくなってから修復をすることになった。その後、関係者に連絡が

あり8時から修理を開始する。

窯の中に火の気は見えないが内部温度は上がっているとみえて熱気を帯び

た空気が出てくる。補修を終え炭焼きの再開での3時間ほどのロスはさほどのも

のではなく、しかも点火前だったため流れが分断されても影響はない。修復直

後の温度は40度だったことから窯口で感じる熱気にも納得。

14時、70度になり本格的な調子を取り戻し夕方には点火を確認し木酢液の採

取を開始する。

昔の炭窯は木のある場所に窯を作り木が無くなると別の場所で新たに窯を作っ

ていた。窯は簡易なもので焚口は石を積み重ね、簡単な屋根にわらを乗せた

けのもので焚口や窯が壊れ小屋の焼失は珍しくなかったそうだ。

そうしてみると桑炭会の炭小屋は瓦葺きだからゴージャスなものだといえる。

                     修復完了

                13時頃

               逆光の炭小屋、17時頃