知り合いの人から『灰はないか』と。
現代人には必要とされない、日常生活で出すこともない忘れ去られようとしている代
物である。何でも揃うホームセンターに出かけてもニーズのないものは売られていな
い。ノスタルジックな昔を思い出し懐かしさのあまり火鉢を取り出してみたが肝心の灰
を捨てたままの状態だった。そこで冒頭の台詞が出た。灰は物を燃やした後に残る
厄介者とされているが、その利用範囲は広く中々の巧者である。
炭焼きをした後にも灰は残るが、あんなに大量の木を焼くのに米袋に1杯弱の量しか
ない。こうした所から出る灰は純粋な有機物質のみのものだから灰の中の灰。さて貧
乏性の筆者が保管していた灰、細目の濾し器に通せば目の細かいサラサラのきれ
いな灰になった。やがて、火鉢に収まり温かい冬を過ごすことだろう。