白雲去来

蜷川正大の日々是口実

戦争文学の好き嫌い。

2024-08-05 15:52:31 | 日記

8月2日(金)晴れ。

朝食は、柳カレイの干物、ウェイパーを使ったわかめスープ。昼は抜いた。夜は、カツオの刺身、蒸し鶏、ほうれん草のおしたし。お供は「黒霧島」。酔狂亭にて独酌。

産経新聞の5月26日の「産経書房ーロングセラーを読む」に紹介されていたのが『月白の道』(丸山豊著・中公文庫)という本。書店に行ったが在庫切れ。仕方がないので京急弘明寺駅の脇にある横浜市立図書館に行ったらあったので早速借りてきて読んだ。

医師で詩人の著者は臨時召集を受け、軍医少尉として出征。北ビルマの最前線ミイトキーナでは、司令官・水上源蔵少将に対し死守が命じられるが、少将は残存将兵への転身命令を発したのち自決。部隊は全滅を免れるも、その後は「中国の雲南からビルマをよぎって、タイのチェンマイまでの泥まみれの敗退」となった……。壮絶を極めた南方戦線から奇跡的に生還した著者は、その記憶を書き残す決意を固めるには四半世紀の時間を要したと述懐している。一九六九年夏に西日本新聞に連載した「月白の道」は、2000キロの敗走を綴った戦場の記録である。

悲惨な「敗走の記録」を読んでいて思い出したのは、随分前に読んだ大岡昇平の『野火』である。その本は、フィリピンの山中で病気のため軍隊からも病院からも追放された兵士が主人公。人肉食いという倫理問題を提出して、戦争と生存と人間性の関係を追究した戦争文学。確か映画化もされて観たことがあるが、事実だったかもしれないが、見ていて気持ちの良いものではなかった。『月白の道』も同じ感想を持った。日本陸軍の主体は「歩兵」である。書いて字の如く「歩く兵隊」だったことを実感させられた。

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