★「スペイン狂詩曲」ロマン派ピアノの世界
(演奏:マレイ・ペライア)
1.フランク:プレリュード、コラールとフーガ
2.リスト:メフィスト・ワルツ第1番
3.リスト:ペトラルカのソネット第104番 (巡礼の年第2年「イタリア」第5曲)
4.リスト:森のささやき (二つの演奏会用練習曲第2番)
5.リスト:こびとの踊り (二つの演奏会用練習曲第1番)
6.リスト:泉のほとりで (巡礼の年第1年「スイス」第4曲)
7.リスト:スペイン狂詩曲
(1990.1991年録音)
メフィスト・ワルツ第1番、どうしてもペライアの一枚が外せませんでした。
ペライアも(レパートリーによりますが)私が最も好きなピアニストの一人ですから。。。
彼の音楽には、かつては非常に繊細で細身というイメージがありましたが、1989年に亡くなったホロヴィッツの最晩年に親交を得ていろいろと啓示を受けたそうで、この時期に劇的に演奏スタイルが“頼もしく”変貌しました。
もろにホロヴィッツ化しちゃったわけではありませんが、もともと器用だったところに曲の要請に応じて“凄み”を演出することが出来るようになったと思います。
この人の描く旋律線は、曲のテンポが速かろうが遅かろうがホルショフスキ譲りのシンギング・トーンと呼ばれる“ペライアにしか弾けない”と思われる美しい音符間のつながりに彩られており元々素晴らしかったのですが、中低音の音色をコクのあるファットなものにすることに成功したことと、打鍵時に力を入れるタイミングを絶妙に工夫をして、ホロヴィッツとは違った意味での迫力を出すコツを手に入れたのだと思います。
もちろん自分の思い描く旋律に合った音色を模索したのだと思いますが、これにより一気に正統派の大物に名を連ねるようになりました。
この時期録音されたものには、ブラームスの第3番のソナタ、オールドバラ・リサイタルと呼ばれるリサイタル盤(スタジオ録音)、モーツァルトのソナタ3曲(超名演)などがあり、いずれも私が一生懸命聴いたディスクです。
ちょうどこのころ私はクラシック音楽の知識の裾野を広げるべく、さまざまな知らない曲を片っ端から聴いていたころでして、ペライアは最もお世話になった水先案内人の一人でありました。
91年から親指の怪我で約2年間音沙汰なかったのですが、無事カムバックしてそれ以降も大活躍されているのはご存知だと思います。
ただ、ベートーヴェンのソナタ1・2・3番のディスク、ヘンデル&スカルラッティのディスクは超名演だと思いますが、バッハは世評は高く興味深く聴けますが私の流儀にはあっていません。その素晴らしさが判ったうえで、ピンとこないのですから単に相性の問題だと思いますけど。。。
またショパンのバラードのディスクは世界的な賞を獲得していますし、練習曲集も決定版として高い評価を得ていますねぇ。もちろんとっても凄い演奏だと私も思いますが、なんかちょっと華やか過ぎるように思えなくもありません。「よくぞそこまで弾けますね」という意味では、脱帽ですけど。。。
シューベルトの最後の3つのソナタもちょっと私にはピンボケ。
要するに1989年から1997年ぐらいまでのペライアが、私にとって最もピッタリ来ていたピアニストでしたという話です。
もちろん、今でも大注目していますけど。。。
それで“メフィスト・ワルツ”ですが、落ち着いたテンポを取った演奏で、覇を唱えるというわけでなく、王道を行くというほど大げさでもなく、さりながら程よく重厚であって、右手は元気よく駆け回りますが華美になることもないという理想的な演奏です。
久しぶりに聴いて、懐かしかったです。
★リスト:ハンガリー狂詩曲全集
(演奏:アルトゥール・ピサロ)
1.ハンガリー狂詩曲全19曲 (2枚組)
(2005年録音)
このピアニストは、リン・レコードからはショパンとベートーヴェンのディスクをSACDで世に問うております。何か気になって手に入れちゃいましたけど、もう少し聞き込まないとこの人の本当のよさというのは私には理解できないかもしれません。
リストのハンガリー狂詩曲は全20曲あるとされていますが、一般に演奏されるのは15番までで、16番~19番までが聞かれるのは珍しいようです。また、20番はめったに演奏されることはないということです。
ピサロは高音弦を補強したといわれるブリュートナー社製のピアノを使って、繊細なリスト演奏を聴かせます。そしてこの演奏が、シフラに代表されるヴィルトゥオジティ発揮を最優先にしたかのような奏楽とは明らかに違った出来栄えであることから、敢えてご紹介しようと思った次第です。
本当にこの高音に特徴のあるピアノの音色は、あらゆる曲を通して映えます。
ラッサン(主に前半のゆっくり目のところ)部分では、じっくりしたテンポを取りつつややべダルを節約することによって重量感とか迫力を追求せずに、むしろ分離の良い音を駆使して朴訥に聴かせます。後半のフリスカ部分では確かにテンポは速くなるものの、決して弾き飛ばしたり走ったりしない、ましてや乱痴気騒ぎにはならないという独特の解釈が施されているおかげで、普段はヴィルトゥオジティを誇示するようにハデに弾かれることが多いこの曲集を、詩的とも思えるように聴かせてくれます。
したがって決してジプシー色豊かというわけにはいかないですし、“聖歌のように始まりサーカスのように終わる”ことを期待するとハズレます。
ただ、何といっても2枚に145分の演奏が詰まっていてわずか1,000円ぐらいだったので、コスト・パフォーマンスは抜群ではありませんか?
肩の力を抜いて楽しめるレパートリーですから、結構万人向きではないかと思ったりもするのですが。。。どうでしょうか?
もちろん私はこの演奏をとても楽しんでいます。
★リスト:ハンガリー狂詩曲集
(演奏:クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)
1.第1番 ヘ長調 (編曲:リスト/ドップラー)
2.第2番 ニ短調 (編曲:ドップラー)
3.第3番 ニ長調 (編曲:リスト/ドップラー)
4.第4番 ニ長調 (編曲:リスト)
5.第5番 ホ短調 (編曲:リスト)
6.第6番 ニ長調 「ペストの謝肉祭」(編曲:リスト)
(1984年録音)
リストは先のハンガリー狂詩曲のうち6曲を、一部弟子のドップラーの協力を仰いで管弦楽に編曲しています。この盤はその全曲を収めたディスクとしては最右翼とされているものだと思います。
もちろん編曲に当たって調性は変わっているし、ピアノ曲と曲順も違うので注意が必要です。その管弦楽版も2番と4番と入れ替わったりしているのがあるのでなおややこしい。。。
演奏は競合盤を持っていないので比較できませんが、端正な演奏で、適度に華やかさもあって気安く楽しく聴けるディスクといっていいのではないでしょうか。
まぁ、もともとが深刻な曲じゃないモンで。。。
やはり管弦楽曲にすると、表現の幅は目に見えて(耳に聞こえて?)広くなりますねぇ。弦楽器の合奏で旋律を演奏されるとすごく流麗になるし、トゥッティの迫力はいかにピアノといえども動かす空気の量が違うといった感じのゆとりあるものになる。。。
ピアノでも人気の2番、3番、4番がやっぱり特に聴きやすいかな。
3番ではツィンバロンも活躍するし、こうしてピアノばぁっかり聴いてきたところで同じレパートリーをオケで聴いたために、ゆったりなごむことができたのかもしれません。
どう表現したとしても、ピアノ曲について話をするということは弦をハンマーが叩いた結果について語るわけですから。。。
ピアノから生み出される音って“打撃音”ばっかりですものね。
以上コメント終わります。(^^)v
さて、管弦楽が出てきた勢いを借りて、次回はピアノコンチェルト行ってみよー!!
(演奏:マレイ・ペライア)
1.フランク:プレリュード、コラールとフーガ
2.リスト:メフィスト・ワルツ第1番
3.リスト:ペトラルカのソネット第104番 (巡礼の年第2年「イタリア」第5曲)
4.リスト:森のささやき (二つの演奏会用練習曲第2番)
5.リスト:こびとの踊り (二つの演奏会用練習曲第1番)
6.リスト:泉のほとりで (巡礼の年第1年「スイス」第4曲)
7.リスト:スペイン狂詩曲
(1990.1991年録音)
メフィスト・ワルツ第1番、どうしてもペライアの一枚が外せませんでした。
ペライアも(レパートリーによりますが)私が最も好きなピアニストの一人ですから。。。
彼の音楽には、かつては非常に繊細で細身というイメージがありましたが、1989年に亡くなったホロヴィッツの最晩年に親交を得ていろいろと啓示を受けたそうで、この時期に劇的に演奏スタイルが“頼もしく”変貌しました。
もろにホロヴィッツ化しちゃったわけではありませんが、もともと器用だったところに曲の要請に応じて“凄み”を演出することが出来るようになったと思います。
この人の描く旋律線は、曲のテンポが速かろうが遅かろうがホルショフスキ譲りのシンギング・トーンと呼ばれる“ペライアにしか弾けない”と思われる美しい音符間のつながりに彩られており元々素晴らしかったのですが、中低音の音色をコクのあるファットなものにすることに成功したことと、打鍵時に力を入れるタイミングを絶妙に工夫をして、ホロヴィッツとは違った意味での迫力を出すコツを手に入れたのだと思います。
もちろん自分の思い描く旋律に合った音色を模索したのだと思いますが、これにより一気に正統派の大物に名を連ねるようになりました。
この時期録音されたものには、ブラームスの第3番のソナタ、オールドバラ・リサイタルと呼ばれるリサイタル盤(スタジオ録音)、モーツァルトのソナタ3曲(超名演)などがあり、いずれも私が一生懸命聴いたディスクです。
ちょうどこのころ私はクラシック音楽の知識の裾野を広げるべく、さまざまな知らない曲を片っ端から聴いていたころでして、ペライアは最もお世話になった水先案内人の一人でありました。
91年から親指の怪我で約2年間音沙汰なかったのですが、無事カムバックしてそれ以降も大活躍されているのはご存知だと思います。
ただ、ベートーヴェンのソナタ1・2・3番のディスク、ヘンデル&スカルラッティのディスクは超名演だと思いますが、バッハは世評は高く興味深く聴けますが私の流儀にはあっていません。その素晴らしさが判ったうえで、ピンとこないのですから単に相性の問題だと思いますけど。。。
またショパンのバラードのディスクは世界的な賞を獲得していますし、練習曲集も決定版として高い評価を得ていますねぇ。もちろんとっても凄い演奏だと私も思いますが、なんかちょっと華やか過ぎるように思えなくもありません。「よくぞそこまで弾けますね」という意味では、脱帽ですけど。。。
シューベルトの最後の3つのソナタもちょっと私にはピンボケ。
要するに1989年から1997年ぐらいまでのペライアが、私にとって最もピッタリ来ていたピアニストでしたという話です。
もちろん、今でも大注目していますけど。。。
それで“メフィスト・ワルツ”ですが、落ち着いたテンポを取った演奏で、覇を唱えるというわけでなく、王道を行くというほど大げさでもなく、さりながら程よく重厚であって、右手は元気よく駆け回りますが華美になることもないという理想的な演奏です。
久しぶりに聴いて、懐かしかったです。
★リスト:ハンガリー狂詩曲全集
(演奏:アルトゥール・ピサロ)
1.ハンガリー狂詩曲全19曲 (2枚組)
(2005年録音)
このピアニストは、リン・レコードからはショパンとベートーヴェンのディスクをSACDで世に問うております。何か気になって手に入れちゃいましたけど、もう少し聞き込まないとこの人の本当のよさというのは私には理解できないかもしれません。
リストのハンガリー狂詩曲は全20曲あるとされていますが、一般に演奏されるのは15番までで、16番~19番までが聞かれるのは珍しいようです。また、20番はめったに演奏されることはないということです。
ピサロは高音弦を補強したといわれるブリュートナー社製のピアノを使って、繊細なリスト演奏を聴かせます。そしてこの演奏が、シフラに代表されるヴィルトゥオジティ発揮を最優先にしたかのような奏楽とは明らかに違った出来栄えであることから、敢えてご紹介しようと思った次第です。
本当にこの高音に特徴のあるピアノの音色は、あらゆる曲を通して映えます。
ラッサン(主に前半のゆっくり目のところ)部分では、じっくりしたテンポを取りつつややべダルを節約することによって重量感とか迫力を追求せずに、むしろ分離の良い音を駆使して朴訥に聴かせます。後半のフリスカ部分では確かにテンポは速くなるものの、決して弾き飛ばしたり走ったりしない、ましてや乱痴気騒ぎにはならないという独特の解釈が施されているおかげで、普段はヴィルトゥオジティを誇示するようにハデに弾かれることが多いこの曲集を、詩的とも思えるように聴かせてくれます。
したがって決してジプシー色豊かというわけにはいかないですし、“聖歌のように始まりサーカスのように終わる”ことを期待するとハズレます。
ただ、何といっても2枚に145分の演奏が詰まっていてわずか1,000円ぐらいだったので、コスト・パフォーマンスは抜群ではありませんか?
肩の力を抜いて楽しめるレパートリーですから、結構万人向きではないかと思ったりもするのですが。。。どうでしょうか?
もちろん私はこの演奏をとても楽しんでいます。
★リスト:ハンガリー狂詩曲集
(演奏:クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)
1.第1番 ヘ長調 (編曲:リスト/ドップラー)
2.第2番 ニ短調 (編曲:ドップラー)
3.第3番 ニ長調 (編曲:リスト/ドップラー)
4.第4番 ニ長調 (編曲:リスト)
5.第5番 ホ短調 (編曲:リスト)
6.第6番 ニ長調 「ペストの謝肉祭」(編曲:リスト)
(1984年録音)
リストは先のハンガリー狂詩曲のうち6曲を、一部弟子のドップラーの協力を仰いで管弦楽に編曲しています。この盤はその全曲を収めたディスクとしては最右翼とされているものだと思います。
もちろん編曲に当たって調性は変わっているし、ピアノ曲と曲順も違うので注意が必要です。その管弦楽版も2番と4番と入れ替わったりしているのがあるのでなおややこしい。。。
演奏は競合盤を持っていないので比較できませんが、端正な演奏で、適度に華やかさもあって気安く楽しく聴けるディスクといっていいのではないでしょうか。
まぁ、もともとが深刻な曲じゃないモンで。。。
やはり管弦楽曲にすると、表現の幅は目に見えて(耳に聞こえて?)広くなりますねぇ。弦楽器の合奏で旋律を演奏されるとすごく流麗になるし、トゥッティの迫力はいかにピアノといえども動かす空気の量が違うといった感じのゆとりあるものになる。。。
ピアノでも人気の2番、3番、4番がやっぱり特に聴きやすいかな。
3番ではツィンバロンも活躍するし、こうしてピアノばぁっかり聴いてきたところで同じレパートリーをオケで聴いたために、ゆったりなごむことができたのかもしれません。
どう表現したとしても、ピアノ曲について話をするということは弦をハンマーが叩いた結果について語るわけですから。。。
ピアノから生み出される音って“打撃音”ばっかりですものね。
以上コメント終わります。(^^)v
さて、管弦楽が出てきた勢いを借りて、次回はピアノコンチェルト行ってみよー!!
http://www.7andy.jp/cd/detail?accd=R0224712
でも、第2番はドップラーではなくてミューラー=ベルクハウス編曲です。先に有名になったのはミューラー=ベルクハウスの方ですが、ドップラー編曲や原曲のピアノ版よりもテンポが速すぎる。聴きなれてしまったせいなのでしょうか。
オケもカラヤン、ベルリン・フィル版の選集の方が透き通っている。ドップラー編曲の方がノーマルだと思いますが・・・
SJesterさん、私の好き勝手な評価でゴメンナサイ。
それにしても、ボスコフスキーとは懐かしい名前ですね。
モーツァルトやヨハン・シュトラウスを聴いたことがあります。
その演奏振りから想像すると、きっととっても楽しく聴ける一枚なんでしょうね。
へぇ~、カラヤン盤もあるんですか?
気持ちよく聴かせてくれそうですね!(^^)/
いろいろ教えてくださってありがとうございます。
演奏時間が 10:44 で、マズアのドップラー編の演奏よりもやや遅い。ゆったりと楽しめます……が、小太鼓がじゃんじゃん入ってくるけれど、ドップラーの方には無いですよね。ミューラー=ベルクハウス編曲の方が派手に聴こえますが(演奏オーケストラの違いってなことはないでしょうね)。
ピアノの『ハンガリー狂詩曲』はミケーレ・カンパネッラのCDを持ってます(さすがに何種類も買う気はしません)。
今度はデュトワ盤ですか・・・!?
モントリオール響ならば色彩感豊か&ゴージャスに聴かせてくれそうですね。
ゆったりと楽しめるという感覚、よーくわかります。
派手に聴こえるって言うのは、やっぱオケより編曲のせいだと思いますよ。
聴いてないでゆうのもなんですが。。。
ホント奥が深いですねぇ。その辺の味わいの違いを楽しむってのも醍醐味だと思うので、気がけておいてそのうち探してみましょうかねぇ。。。
しかし、ピアノ曲について書いてるときもボキャ貧を嘆いているけれど、オケについてだと突然「へぇ~」とか言葉に核心が持てなくなってしまいます。(泣)
勉強しなくては!!
またいろいろ教えてくださいです。
私もミューラー=ベルクハウスを聴いてみての感想をトラバしてもらった記事にコメントしましたので、ご覧になってくださいね。