★ショパン:バラード&スケルツォ
(演奏:シプリアン・カツァリス)
1.4つのバラード
2.4つのスケルツォ
(1984年録音)
2011年を迎えてはや20日あまり・・・
正月の暴飲暴食で激増した体重と体脂肪率をどうしたら昨年水準に戻すことができるのかが喫緊の課題となっている毎日を送っています。
今年はリスト生誕200周年ということで、年初よりリストのディスクを聴きまくるかと思いきや、実は(クラシックでは)ショパンを聴きまくっているという天邪鬼。
今年も私らしく好き勝手にやっていきますので、もしよろしければお付き合いのほどを。(^^;)
昨年2010年はショパン(シューマンも)生誕200周年で少なくとも年初は盛り上がりましたが、振り返れば、後半は大失速してそれほどでもなくなっちゃったなぁ~と。。。
ショパン国際コンクールで邦人コンテスタントが早々に姿を消してしまったことが、好楽家はともかく、我が国の国民あげてショパンを礼賛する機会を奪ってしまったのかもしれません。
その前年のヴァン=クライバーン・コンクールにおける辻井さん優勝のようなセンセーショナルな出来事が今回のショパコンで起こっていれば、ショパンの申し子の誕生とともに我が国におけるショパンのCDの売上は、少なくとも2割増ぐらいにはなったのではないでしょうか・・・?
ジュネーヴで萩原麻未さんが勝っている・・・テレビでちょっと聴いただけですが彼女の演奏には大いに期待しています(ディスクにならないかな?)・・・ことからも、この結果は我が国のレヴェル云々ではなくたまたま同胞の武運が拙かっただけのだと思いますが・・・
ショパンおよびその関係者のみなさんは、ブーニン以来久しぶりに我が国を席巻するチャンスであったのにと残念に思っているのではないでしょうか?
果たして・・・
昨年の大会で覇者となったピアニスト・アヴデーエワさんは、アルゲリッチ以来の女流であります。
独特な雰囲気を感じさせはしますが、実際の演奏はディスクになって出てきてからを楽しみにしよう・・・
かなというのが今のところの感想です。
You-tubeの演奏では、私には彼女のよさがどうにもよくわかんないんです。
少なくともアルゲリッチと比較するのは、いかにアヴデーエワさんが実力者であっても、これからキャリアを始める彼女には気の毒というものではないかと思っています。
ところで・・・
このコンクールには新星を夢見るコンペティターによる戦いのほかに、開催インターバルの5年のうちに出たショパン演奏のディスクを、審査員がブラインド(誰が弾いている盤かをわからないようにして)で試聴してグランプリを決めるという「フレデリック・ショパン・グランプリ・ディスク大賞(Grand Prix du Disque Frederic Chopin)」という賞があるようです。
そして・・・
今回のそれは前大会覇者ラファウ・ブレハッチによるピアノ協奏曲の演奏に決まったとの発表がありました。
1985年に本賞が創設されてからこれまでの受賞盤がなんだったかは、このサイトで確認できます。
http://www.grandprix.chopin.pl/hist_en.html
ここで栄誉を勝ち取るディスクは確かな耳を持った複数の審査員が投票している点において、有名・無名を問わず、有無を言わせぬ個性を際立たせた味わい深いものとなるだろうことは明らかです。
要するに・・・
掘り出しもののお墨付きディスクを期待しているってことなのですが、カツァリスのバラード&スケルツォ、ペライアの即興曲集、アラウの練習曲集、メルタネンの夜想曲集などの実績を思うとき、まさしくその期待に応える銘盤にほかなりません。
しかしながら、今回の決定にはちょっと釈然としないものを感じています。
もちろんブレハッチ(コンチェルトは未聴、前奏曲集は聴いています)では物足りないということではありません。
彼は確かに素直で繊細な歌心のあるピアニスト(そりゃ前回の優勝者ですから)で、普遍的に水準の高い作品を作っているといってよいと思います。
ですが・・・
同じコンチェルトのディスクでも、ツィメルマンとはやはり相当にハクも違えばこっちの受止め方が違うのも事実であります。
ツィメルマンでさえあれだけこだわりにこだわって制作したディスクと、同等以上の評価を与えることができるほどのリッパなディスクなのか?
5年に1度のこの賞で、並みいる競合盤を抑えてまでグランプリっていう評価はどうかしらんと感じるのです。
ここで大賞以外の情報を見てみると・・・
アルゲリッチの一連の作品が「歴史的録音」として殿堂入りみたいに表彰されているのはまあいいとして、選外佳作にこれまたブレハッチの前奏曲集があります。
その他にはアルゲリッチとよくデュオを組むベテランのネルソン・フレイレ、このバックステージでも特集したことのあるニッチなプチ全集マニアの中堅ピアニスト・パスカル・アモイアルの、いずれも夜想曲集が選外佳作に名を連ねています。
アルゲリッチを除く4作品中からであれば、私ならアモイアルの夜想曲集を選ぶけどなぁ~。
さて・・・
グランプリ・ディスクに釈然としない理由にはいくつかあるのですが、実はフレイレかアモイアルが獲っていれば「なるほど」だけで済んじゃうんです。
つまり・・・
まず、候補として前回大会のポーランド出身の覇者が2枚入っているってところから、いきなり引っかかっちゃっう私。
審査にあたってはショパンに世界一造詣が深いといっていい専門家たちが聴いているわけなんですよねぇ~・・・
メジャーレーベルから出ているこの2枚は、いかにブラインドで聴いたからといって審査員全員がブレハッチのそれだと判っちゃいませんか?
ここが疑問というより、確信に近いところなんですよね。
次に気になる点は・・・
前回の2005年大会のグランプリをロンドなどのマイナー曲中心のプログラムを組んだポーランドの俊英シヴィタワが獲っていること。
ベアルトンレーベルからのこのシリーズは、私も興味深く聴いているのですが今回大会の推奨楽譜を使っていることが特徴。
その前の大会にもワルツ等で名を連ねるこのポーランドのピアニストが栄誉に輝いている・・・
確かに彼は得がたい雰囲気を持っているのですが、受賞ディスクと思うと国籍・楽譜というものがどうしてもちらついてしまうのです。
そして・・・
同年には「ディプロマ」なる賞ができて、フランスのピアニスト、ヤン・メルタネンの奏する夜想曲集が表彰されています。
私にはこちらのほうがよっぽどグランプリに相応しい、個性を聞かせるディスクであるように思われますが・・・
いえ、こういうディスクをちゃんと掘り出してくれているので「審査員のみなさんは、聴くべきところはきちんと聴いている」と良心を信じられるのですが・・・
発表された結果から遡ってなぜかを考えると、どうしてもガチンコのディスク試聴の結果だけで選出されているものではなく、高校受験における内申書みたいなものがあるんじゃないか?
そんな風に勘ぐっちゃうんですよね。。。
こう考え始めると・・・
ブレハッチのディスクが2枚も候補となっている点ひとつとっても、ポーランドのピアニスト、前回覇者という肩書き、それらを満たす得がたいアイコンに権威付けしなくてはという意図が見え隠れしないかと懐疑的になっちゃったりして。
また、今回選外佳作となったうちの2種が夜想曲集で、前回受賞しているメルタネンと被るので敬遠された結果、ブレハッチのどっちにしようかなんて思われたのではないかと・・・
いや、考えすぎですよね。(^^;)
それにも増して、ブレハッチ盤が本賞に相応しい見事な出来栄えだったに違いありますまい。
いずれにせよブレハッチの受賞盤以外は全部持ってましたし、ブレハッチのコンチェルト盤にももちろん注目していましたから今回は掘り出し物はなし・・・
5年後の知られざる注目盤の発見に期待という結論に変わりありません。
さて・・・
先にも書いたようにショパンイヤーの終盤以来しばらくショパンから遠ざかっていましたが、新顔が現れなかったために、その発表以来初回のグランプリ獲得作品であるシプリアン・カツァリスのバラード・スケルツォ全曲集と、先の前回大会でのディプロマ受賞作メルタネンの夜想曲集を聴き直したらハマってしまいました。
いや本当にカツァリスのバラード&スケルツォの解釈には驚かされました。
本賞の最初の受賞盤であるこのディスク、実はこれに捧げるためにわざわざこの賞を創設したのではないかと思えるほど凄い演奏だと改めて感じ入りましたね。
他の誰と比べても、曲の解釈も演奏のレベルも違う(好みかどうかは別)という別次元の出来栄え・・・そう思います。
同じ楽譜を使っているのに和音の中で強調する音のバランスを違えることでぜんぜん違うフレーズが現れそれが対話しているように聞こえ、それでいて不自然な感じがしない・・・。
さらに、強烈な数の音符を弾いているはずなのに恰幅はよくても贅肉のまったく感じられない演奏となっている点など、今の私の耳で聴いてみると、本当に驚異です。
これまでは個性というより灰汁・クセの強い演奏という印象のほうがが強く、いわゆるヤクザな鉄砲玉のような演奏のように思えてしまっていて、ほどんどお蔵入りになっていたんですよね。。。
今聴いても、確かに、内声の浮かせ方などは正統的かどうかはわかりません。
それでも、ショパコンの専門家が推しているぐらいだから、他と違うようにこう聞かせてやろうといういかがわしい意図が前面にあるわけではないだろうし、楽譜から遊離しているということもないでしょう・・・こう信じさせられてしまうところはショパコンの権威の凄さかもしれません・・・から、そのような解釈・演奏は独特な個性であってそこから何か芸術的な妙味を感じられるはず・・・
そんなことを感じながら気負って聴いたわけではないのですが、あそこをこう弾いたとか細かいところではなく、曲・ディスク全体の作り出す空気にこそえもいわれぬ厳しさや新鮮なショパンらしさの提示があり、もともと感じさせられていた何でも弾けちゃいそうな奏楽自体の凄さも相俟って、やっぱりこれは凄いディスクだわ・・・と嬉しい思いで唸っているところです。
似たような感覚を持っているピアニストにジャン・マルク・ルイサダがあり、これもショパンの一部やビゼーやフォーレのディスクにはえもいわれぬ瞬間を感じることがありますので、一度できてしまった先入観も、時間をおいて聴きなおすことで180度逆の魅力として捉えなおすことができるものですよね。
数は少ないのですが・・・聴き直したらアラばかり目立って逆にがっかりしちゃった例も、あるにはありますが。(^^;)
★ショパン:NOCTURNES Vol.2
(演奏:ヤンネ・メルタネン)
※夜想曲 作品37・48・55・62および遺作3曲
(2003年録音)
もうひとり・・・
本賞受賞作だからこそ巡り合えたディスク・ピアニストとして、ヤンネ・メルタネンの夜想曲集(もちろんVol.1と2の2枚あります)にもはまっております。
コイツは若い男にしか出せないと思われるエレガンスを感じさせる美しい演奏です。
心と体が落ち着いた冬の日の夜に向き合うにはこのうえないチョイスで、時を忘れて聴くことができる・・・
そんなディスクです。
さてさて・・・
これを書いているまさに今、ネットで注文していたディスクが到着しました。
今年はじめてコレクションに加わったクラシック・ディスクは3枚。
前回の日記で注文したと書いたディナースティン嬢の“A Strange Beauty”と題されたバッハの作品集、ヘレヴェッヘ指揮によるフォーレのレクイエムとフランクの交響曲のディスクと合わせて、昨年のレコードアカデミー賞器楽部門を制したメジューエワさんのショパン・ノクターン全集であります。
さあ・・・
この中からカツァリスやメルタネンを押さえてマイ・ヒットチャートのナンバーワンを勝ち取るディスクは現れるのか?
明日、この記事を書いていたら違ったディスクの紹介になったかも・・・
と思えるほどに期待している3枚なので、今週末はじっくり楽しめそうですね。
それにしても・・・
相変わらず今年の主役となるべきリストのディスクがないんだよな。。。
ル=ゲさんのディスクが出るみたいなので、しっかりチェックしてみよう・・・
いいディスクがなきゃないで、昨年入手したベルマンの「巡礼の年」でも繰り返し聴いて、涙してりゃいいだけの話ではありますが。
(演奏:シプリアン・カツァリス)
1.4つのバラード
2.4つのスケルツォ
(1984年録音)
2011年を迎えてはや20日あまり・・・
正月の暴飲暴食で激増した体重と体脂肪率をどうしたら昨年水準に戻すことができるのかが喫緊の課題となっている毎日を送っています。
今年はリスト生誕200周年ということで、年初よりリストのディスクを聴きまくるかと思いきや、実は(クラシックでは)ショパンを聴きまくっているという天邪鬼。
今年も私らしく好き勝手にやっていきますので、もしよろしければお付き合いのほどを。(^^;)
昨年2010年はショパン(シューマンも)生誕200周年で少なくとも年初は盛り上がりましたが、振り返れば、後半は大失速してそれほどでもなくなっちゃったなぁ~と。。。
ショパン国際コンクールで邦人コンテスタントが早々に姿を消してしまったことが、好楽家はともかく、我が国の国民あげてショパンを礼賛する機会を奪ってしまったのかもしれません。
その前年のヴァン=クライバーン・コンクールにおける辻井さん優勝のようなセンセーショナルな出来事が今回のショパコンで起こっていれば、ショパンの申し子の誕生とともに我が国におけるショパンのCDの売上は、少なくとも2割増ぐらいにはなったのではないでしょうか・・・?
ジュネーヴで萩原麻未さんが勝っている・・・テレビでちょっと聴いただけですが彼女の演奏には大いに期待しています(ディスクにならないかな?)・・・ことからも、この結果は我が国のレヴェル云々ではなくたまたま同胞の武運が拙かっただけのだと思いますが・・・
ショパンおよびその関係者のみなさんは、ブーニン以来久しぶりに我が国を席巻するチャンスであったのにと残念に思っているのではないでしょうか?
果たして・・・
昨年の大会で覇者となったピアニスト・アヴデーエワさんは、アルゲリッチ以来の女流であります。
独特な雰囲気を感じさせはしますが、実際の演奏はディスクになって出てきてからを楽しみにしよう・・・
かなというのが今のところの感想です。
You-tubeの演奏では、私には彼女のよさがどうにもよくわかんないんです。
少なくともアルゲリッチと比較するのは、いかにアヴデーエワさんが実力者であっても、これからキャリアを始める彼女には気の毒というものではないかと思っています。
ところで・・・
このコンクールには新星を夢見るコンペティターによる戦いのほかに、開催インターバルの5年のうちに出たショパン演奏のディスクを、審査員がブラインド(誰が弾いている盤かをわからないようにして)で試聴してグランプリを決めるという「フレデリック・ショパン・グランプリ・ディスク大賞(Grand Prix du Disque Frederic Chopin)」という賞があるようです。
そして・・・
今回のそれは前大会覇者ラファウ・ブレハッチによるピアノ協奏曲の演奏に決まったとの発表がありました。
1985年に本賞が創設されてからこれまでの受賞盤がなんだったかは、このサイトで確認できます。
http://www.grandprix.chopin.pl/hist_en.html
ここで栄誉を勝ち取るディスクは確かな耳を持った複数の審査員が投票している点において、有名・無名を問わず、有無を言わせぬ個性を際立たせた味わい深いものとなるだろうことは明らかです。
要するに・・・
掘り出しもののお墨付きディスクを期待しているってことなのですが、カツァリスのバラード&スケルツォ、ペライアの即興曲集、アラウの練習曲集、メルタネンの夜想曲集などの実績を思うとき、まさしくその期待に応える銘盤にほかなりません。
しかしながら、今回の決定にはちょっと釈然としないものを感じています。
もちろんブレハッチ(コンチェルトは未聴、前奏曲集は聴いています)では物足りないということではありません。
彼は確かに素直で繊細な歌心のあるピアニスト(そりゃ前回の優勝者ですから)で、普遍的に水準の高い作品を作っているといってよいと思います。
ですが・・・
同じコンチェルトのディスクでも、ツィメルマンとはやはり相当にハクも違えばこっちの受止め方が違うのも事実であります。
ツィメルマンでさえあれだけこだわりにこだわって制作したディスクと、同等以上の評価を与えることができるほどのリッパなディスクなのか?
5年に1度のこの賞で、並みいる競合盤を抑えてまでグランプリっていう評価はどうかしらんと感じるのです。
ここで大賞以外の情報を見てみると・・・
アルゲリッチの一連の作品が「歴史的録音」として殿堂入りみたいに表彰されているのはまあいいとして、選外佳作にこれまたブレハッチの前奏曲集があります。
その他にはアルゲリッチとよくデュオを組むベテランのネルソン・フレイレ、このバックステージでも特集したことのあるニッチなプチ全集マニアの中堅ピアニスト・パスカル・アモイアルの、いずれも夜想曲集が選外佳作に名を連ねています。
アルゲリッチを除く4作品中からであれば、私ならアモイアルの夜想曲集を選ぶけどなぁ~。
さて・・・
グランプリ・ディスクに釈然としない理由にはいくつかあるのですが、実はフレイレかアモイアルが獲っていれば「なるほど」だけで済んじゃうんです。
つまり・・・
まず、候補として前回大会のポーランド出身の覇者が2枚入っているってところから、いきなり引っかかっちゃっう私。
審査にあたってはショパンに世界一造詣が深いといっていい専門家たちが聴いているわけなんですよねぇ~・・・
メジャーレーベルから出ているこの2枚は、いかにブラインドで聴いたからといって審査員全員がブレハッチのそれだと判っちゃいませんか?
ここが疑問というより、確信に近いところなんですよね。
次に気になる点は・・・
前回の2005年大会のグランプリをロンドなどのマイナー曲中心のプログラムを組んだポーランドの俊英シヴィタワが獲っていること。
ベアルトンレーベルからのこのシリーズは、私も興味深く聴いているのですが今回大会の推奨楽譜を使っていることが特徴。
その前の大会にもワルツ等で名を連ねるこのポーランドのピアニストが栄誉に輝いている・・・
確かに彼は得がたい雰囲気を持っているのですが、受賞ディスクと思うと国籍・楽譜というものがどうしてもちらついてしまうのです。
そして・・・
同年には「ディプロマ」なる賞ができて、フランスのピアニスト、ヤン・メルタネンの奏する夜想曲集が表彰されています。
私にはこちらのほうがよっぽどグランプリに相応しい、個性を聞かせるディスクであるように思われますが・・・
いえ、こういうディスクをちゃんと掘り出してくれているので「審査員のみなさんは、聴くべきところはきちんと聴いている」と良心を信じられるのですが・・・
発表された結果から遡ってなぜかを考えると、どうしてもガチンコのディスク試聴の結果だけで選出されているものではなく、高校受験における内申書みたいなものがあるんじゃないか?
そんな風に勘ぐっちゃうんですよね。。。
こう考え始めると・・・
ブレハッチのディスクが2枚も候補となっている点ひとつとっても、ポーランドのピアニスト、前回覇者という肩書き、それらを満たす得がたいアイコンに権威付けしなくてはという意図が見え隠れしないかと懐疑的になっちゃったりして。
また、今回選外佳作となったうちの2種が夜想曲集で、前回受賞しているメルタネンと被るので敬遠された結果、ブレハッチのどっちにしようかなんて思われたのではないかと・・・
いや、考えすぎですよね。(^^;)
それにも増して、ブレハッチ盤が本賞に相応しい見事な出来栄えだったに違いありますまい。
いずれにせよブレハッチの受賞盤以外は全部持ってましたし、ブレハッチのコンチェルト盤にももちろん注目していましたから今回は掘り出し物はなし・・・
5年後の知られざる注目盤の発見に期待という結論に変わりありません。
さて・・・
先にも書いたようにショパンイヤーの終盤以来しばらくショパンから遠ざかっていましたが、新顔が現れなかったために、その発表以来初回のグランプリ獲得作品であるシプリアン・カツァリスのバラード・スケルツォ全曲集と、先の前回大会でのディプロマ受賞作メルタネンの夜想曲集を聴き直したらハマってしまいました。
いや本当にカツァリスのバラード&スケルツォの解釈には驚かされました。
本賞の最初の受賞盤であるこのディスク、実はこれに捧げるためにわざわざこの賞を創設したのではないかと思えるほど凄い演奏だと改めて感じ入りましたね。
他の誰と比べても、曲の解釈も演奏のレベルも違う(好みかどうかは別)という別次元の出来栄え・・・そう思います。
同じ楽譜を使っているのに和音の中で強調する音のバランスを違えることでぜんぜん違うフレーズが現れそれが対話しているように聞こえ、それでいて不自然な感じがしない・・・。
さらに、強烈な数の音符を弾いているはずなのに恰幅はよくても贅肉のまったく感じられない演奏となっている点など、今の私の耳で聴いてみると、本当に驚異です。
これまでは個性というより灰汁・クセの強い演奏という印象のほうがが強く、いわゆるヤクザな鉄砲玉のような演奏のように思えてしまっていて、ほどんどお蔵入りになっていたんですよね。。。
今聴いても、確かに、内声の浮かせ方などは正統的かどうかはわかりません。
それでも、ショパコンの専門家が推しているぐらいだから、他と違うようにこう聞かせてやろうといういかがわしい意図が前面にあるわけではないだろうし、楽譜から遊離しているということもないでしょう・・・こう信じさせられてしまうところはショパコンの権威の凄さかもしれません・・・から、そのような解釈・演奏は独特な個性であってそこから何か芸術的な妙味を感じられるはず・・・
そんなことを感じながら気負って聴いたわけではないのですが、あそこをこう弾いたとか細かいところではなく、曲・ディスク全体の作り出す空気にこそえもいわれぬ厳しさや新鮮なショパンらしさの提示があり、もともと感じさせられていた何でも弾けちゃいそうな奏楽自体の凄さも相俟って、やっぱりこれは凄いディスクだわ・・・と嬉しい思いで唸っているところです。
似たような感覚を持っているピアニストにジャン・マルク・ルイサダがあり、これもショパンの一部やビゼーやフォーレのディスクにはえもいわれぬ瞬間を感じることがありますので、一度できてしまった先入観も、時間をおいて聴きなおすことで180度逆の魅力として捉えなおすことができるものですよね。
数は少ないのですが・・・聴き直したらアラばかり目立って逆にがっかりしちゃった例も、あるにはありますが。(^^;)
★ショパン:NOCTURNES Vol.2
(演奏:ヤンネ・メルタネン)
※夜想曲 作品37・48・55・62および遺作3曲
(2003年録音)
もうひとり・・・
本賞受賞作だからこそ巡り合えたディスク・ピアニストとして、ヤンネ・メルタネンの夜想曲集(もちろんVol.1と2の2枚あります)にもはまっております。
コイツは若い男にしか出せないと思われるエレガンスを感じさせる美しい演奏です。
心と体が落ち着いた冬の日の夜に向き合うにはこのうえないチョイスで、時を忘れて聴くことができる・・・
そんなディスクです。
さてさて・・・
これを書いているまさに今、ネットで注文していたディスクが到着しました。
今年はじめてコレクションに加わったクラシック・ディスクは3枚。
前回の日記で注文したと書いたディナースティン嬢の“A Strange Beauty”と題されたバッハの作品集、ヘレヴェッヘ指揮によるフォーレのレクイエムとフランクの交響曲のディスクと合わせて、昨年のレコードアカデミー賞器楽部門を制したメジューエワさんのショパン・ノクターン全集であります。
さあ・・・
この中からカツァリスやメルタネンを押さえてマイ・ヒットチャートのナンバーワンを勝ち取るディスクは現れるのか?
明日、この記事を書いていたら違ったディスクの紹介になったかも・・・
と思えるほどに期待している3枚なので、今週末はじっくり楽しめそうですね。
それにしても・・・
相変わらず今年の主役となるべきリストのディスクがないんだよな。。。
ル=ゲさんのディスクが出るみたいなので、しっかりチェックしてみよう・・・
いいディスクがなきゃないで、昨年入手したベルマンの「巡礼の年」でも繰り返し聴いて、涙してりゃいいだけの話ではありますが。
そして、カツァリスの「バラード&スケルツォ」は傑作ですね。ここ数日、ゆっくり音楽を聴けることがなく、どちらかと言えば、悲しい曲です。ショパンもその1つに入ります。
どうか、お体に気をつけて下さいね。
レスが遅くなってごめんなさい。
また、ご心配おかけして申し訳ありません。
おかげさまで家の中が少々とっちらかったのですが、大丈夫でした。
とっちらかったといっても、普段住んでいる私はそう思いますが、周りの人が見てもいつもと変わらない程度だったと思いますのでご心配には及びません。
ただ・・・
昨今の水やスーパーの様子、計画停電についてはこの地にも地震の爪あとは残されています。
東北の被災地とは比較するべくもありませんし、福島にいたときの知人の話を聴いても言葉もありません。
ましてや身内を地震、津波で亡くした方の報道をこれだけ見せられては胸がつぶれる思いです。
etes_1975さんもお体に気をつけて。
お互い、いい音楽に身を委ねることで日頃の疲れを癒して頑張りたいものですね。