ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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連続性のある慢性型ストレスの影響

2013年02月20日 |  関連(生物学医学)

[更新履歴:2/21ちょっと追加など]

 暇潰しで読んだ本から一節をメモしておこう。他の部分は余り参考にならないのだが、野本亀久雄 著 「免疫力」(ダイヤモンド社、1998年11月)から、

…ストレスにもその中身の違いや刺激の強さの度合い、それに連続的か断続的かといった差があり、それによって生体の反応も影響力も異なってくるからです。

 たとえば思いがけない形で、何の予告もなしに突然来るストレスは、そのとき受ける心や体のゆがみは決して小さくないのですが、一過性であることがほとんどですから、復元力があればそれほどのダメージは受けません。

 ところが、し細なストレスでも、慢性病のように連続的に刺激が続くと、ダメージが積み重なる可能性がある。気をつけるのはむしろ連続性のある慢性型のストレスのほうであるかもしれないのです。 (同書123頁)

 ここで念頭に置くべきは、●の影響による酸化ストレスあろう (関連の過去記事はココ)。


 それに続く一節は、

 また、ストレスには適度で有効なストレスと、過度で弊害が予想されるストレスとがあります。ストレスと生体防御の関係は、さまざまな研究が行われていますが、病気との関連では次のようなことがわかっていま

 一つはストレスと胃潰瘍の関係です。大した刺激でなくても持続的なストレスを受け続けると胃潰瘍になる。動物実験では次のような例があります。

 動けないようにしたサルの頭部に水滴をたらし続けると、サルはそのストレスに耐えかねて胃潰瘍になってしまうのです。頭に水滴がかかっても、一回や二回ならほとんど気になりません。しかし、持続的に行われると強いストレスになってくる。似たような実験はラットでも確かめられています。

胃潰瘍は、生体内の促進因子と抑制因子のバランスが崩れることによって発症すると考えられます。胃潰瘍の促進因子は胃酸や蛋白質分解酵素のペプシンであり、抑制因子は胃の粘膜やホルモンなどです。ふだんはこれらが拮抗していますが、ストレスによって促進因子が勝ると胃潰瘍になるわけです。 (同書125頁。強調は引用者)

 上記で「適度で有効なストレス」は、生まれ育った土地での自然放射能の水準、「過度で弊害が予想されるストレス」は、それを大幅に超えて追加された放射能の水準とも理解できるだろう (この点について関連の過去記事はココ)。

 また、最初に問題化しやすいのは、胃潰瘍らしい。これで思い出す最近のニュースは、ハリウッドチャンネル株式会社サイト「クランクイン」から、

十二指腸潰瘍のモー娘。田中れいな「ストレスはバンドじゃない」とブログで言及
2013年02月10日
http://www.crank-in.net/entertainment/news/23167

また「もともと胃は弱くていろんな病気にはなってましたが今回ひどいかも」と過去にも症状があったことを明かすも、「知り合いから連絡きて十二指腸潰瘍って、おっさんか。って言われましたが、、そぉです。私、胃がおっさんなんです。笑」と明るく振る舞った。(強調は引用者)


 「胃がおっさんなんです」と語っているけど、おっさんには胃潰瘍が、若い人には十二指腸潰瘍が多いようなのだけど…。gooヘルスケアから、

胃・十二指腸潰瘍
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10G20900.html

胃・十二指腸潰瘍とはどんな病気か
 胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)と呼んでいます。消化性潰瘍の代表は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍です。
 胃潰瘍は、40歳以降の人に多くみられるのに対し、十二指腸潰瘍は10~20代の若年者に多くみられます。十二指腸潰瘍の患者さんは、過酸症(かさんしょう)であることが圧倒的に多いのですが、胃潰瘍の患者さんは、胃酸の分泌は正常かやや少なめの場合がほとんどといわれています。 (強調は引用者)

 粘膜の損傷については、過去記事(ココ)が参考になるはずで、胃酸の過多については、コルチゾール過剰の関連でそのうち書くこととしたい。


 なお、最近急性胃腸炎が増加しているようだけど、消化性潰瘍への道に入り込んだのなら、初期症状は胃炎か、あるいは胃酸が多い型なら逆流性食道炎ということが多いと考えられる。参考までに「たかぎクリニック」(愛知県所在)のサイトから、

胃炎・潰瘍・逆流性食道炎
http://www1.clovernet.ne.jp/mtakagi7/ikaiyou.html



 最後に、免疫力の低下と、前回記事(ココ)でも触れた動脈硬化の部分もみておこう。ちなみに「カテコールアミン」とは、この場合、アドレナリン(あるいはノルアドレナリン)とコルチゾールのことを指すのであろう。

 ストレスによって、生体防御力が低下したことを示す実験もあります。マウスに心理的なストレスを持続的に与え続けた実験では、T細胞、B細胞、NK細胞が明らかに減少、あるいは機能低下したことが確かめられています。

 また、ストレスがガンを悪化させるという動物実験もあります。マウスにある種のガンを植えつけて運動抑制ストレスを与えると、ガン細胞の増殖促進がみられた。ストレスによって生体防御が低下し、ガンの増殖が促進されたわけです。

 ストレスが引き起こしやすい病気の一つに動脈硬化があります。強いストレスを受けると出てくるカテコールアミンというホルモンは、末梢血管を収縮させたり、血液を凝固しやすくする作用があるので動脈硬化が促進されてしまいます。 (同書125-126頁)


  ●の影響の場合、連続性のあるものを断続的にするには、外部被曝なら転地療養が、内部被爆なら時間の経過が必要ということだろう (質の悪い核種の内部被曝であれば、ヒトの一生より長い「時間の経過」を必要とするのだが…)。