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交感神経の緊張と心臓病(不整脈)

2013年05月05日 |  関連(生物学医学)

 ピロリ菌の話を書く予定があるような気がしたけど、気力もわかないので、メモも兼ねて引き続き心臓病関連をみていこう。今回の記事は、一応、次のような過去記事の一環という位置付けというつもり。

交感神経の緊張と発がん 2012/5/26
交感神経の緊張と自己免疫疾患(膠原病)  2012/6/3


 内容的には、基本的に安保 徹氏の言説がベースになると思うのでおさらいしておこう。例によって他力本願でいくと、以前腰痛の記事で言及したような気がする「加茂整形外科医院」のサイト(石川県所在、http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/)の、次の記事が参考になるだろう。

ストレスで交感神経が過度に緊張して起こる病気
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_367.htm


 ここで念頭におているのはくどいようだけど、次の流れである。この流れを前提とすれば、前々回記事のタイトル(「高血圧の増加には一酸化窒素の不足が関与するのか?」。リンクはココ)は「交感神経の緊張と高血圧」、前回記事(「一酸化窒素の不足と胸痛」。ココ)は「交感神経の緊張と心臓病(異型狭心症)」としてもよいだろう(段取り悪くてスミマセン)。

●の影響 →酸化ストレスの亢進 →交感神経の緊張
 

 先ずは、普通の不整脈について。最近眺めている本の次の一節は、過労による交感神経の緊張下での状況を解説したものだが、他の要因で長期にわたって交感神経が緊張する場合にも、当然あてはまるものと考えられる。小坂眞一 著「心臓病の9割は防げる」(講談社、2008.10月)から、

 過労の一番の問題は、働く時間が長いため交感神経の緊張が高まり、副交感神経へのバトンタッチがうまくできなくなることです。

 過労によって交感神経の興奮が長く続くことは、常に心臓を高ぶらせて、心臓の筋肉への負担を増大させます。もともと不整脈を起こしやすい人はその頻度が増え、また致死率の高いタイプへ変化する可能性があります。

 また、先に述べた、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈の壁が緊張しやすい人は、冠動脈の痙攣を起こし、容易に狭心症になることがあります。・・・ (前掲書182-183頁)


 前半は不整脈について、後半は異型狭心症(あるいは冠れん縮性狭心症)について述べたものだ。後者については前回記事で触れたので(ココ)、前者についてみよう。心拍の乱れが起こる理由を理解するには、心拍と自律神経の関係を頭に入れておく必要があるだろう。サイト「ストレスと自律神経の科学」から、

自律神経活動が心拍変動を発生させる仕組み その1
http://hclab.sakura.ne.jp/stress_novice_autonomicnerve.html

洞房結節とは

 心臓には、「洞房結節(どうぼうけっせつ)」と呼ばれる部位があり、拍動を統括しています。・・・この大きな電気信号の発生、つまり、洞房結節の発火は周期的に繰り返され、この電気信号が心臓全体に伝搬することにより、心臓が拍動するのです。平たく言うと、洞房結節は、「心拍のペースメーカー」なのです。

  [中略]

内因性心拍数とは

 このように、交感神経と副交感神経の活動のバランスによって、洞房結節のペースメーカ細胞の発火の頻度は変化するのですが、薬物で自律神経活動の影響を抑えたり、物理的に自律神経を切断することで、交感神経と副交感神経の活動の影響を受けなくすることができます。自律神経の影響を受けずにペースメーカ細胞が自分だけのペースで発火する場合の心拍数を内因性心拍数(ないいんせいしんぱくすう)と呼びます。内因性心拍数はかなり高い値で、20歳前後で毎分110拍程度、年を経ると徐々に下がっていって、70歳前後では80拍程度になります。私たちの心拍数は、平常状態で毎分60~70拍程度ですから、副交感神経の活動により心拍数を抑えられていることがわかります。


 洞房結節の細胞は「特殊心筋」(あるいは「刺激伝導系」)とよばれることがあるが、上記によれば、これらの細胞は自然の状態では心拍数が大きくなりがちで、副交感神経がこれを抑制することによって普段の活動が行われるとされている。このため、交感神経の緊張が継続するようであれば、副交感神経が興奮しずらくなり上記の抑制作用に支障をきたすのであろう。


 不整脈の解説については、救心製薬株式会社のサイトとgooヘルスケアから、

不整脈を知りましょう(刺激伝導系) http://www.kyushin.co.jp/advice/advice_a02.html

不整脈<子どもの病気> http://health.goo.ne.jp/medical/search/10152700.html
不整脈<お年寄りの病気> http://health.goo.ne.jp/medical/search/10240300.html


 ついでに、心筋の働きについてより詳しく知りたい場合は、東邦大学のサイトから、

心筋 - 心臓は電気とカルシウムイオンで動いている!
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/shinkin/index.html


 次に、不整脈の一形態である「心房細動」にも触れておこう。再び前掲書「心臓病の9割は防げる」の一節から(前回記事でも少し触れたけど「タバコによる」交感神経の興奮という部分は個人的によく分からないのだが、細かいことは置いといて)、

・・・タバコによる交感神経の興奮によって不整脈が起こりやすくなるのです。特に心房細動や発作性上室性頻拍症などの「心房性不整脈」や「心室性期外収縮」などの不整脈が起こりやすくなるのです。

 この中で一番問題になるのが、心房細動です。

 心房細動とは心臓の4つの部屋のうち、心房という2つの部屋が正常に収縮せず細波(さざなみ)のごとく揺れた状態になることで、実際に手術中に心臓をみていると心房が痙攣しています。

 心房細動になると心房の収縮がなくなるぶん、心臓から出る血液が15~30%も減り、血圧も低下します。ただし、一番の問題は、心房内側に血栓ができることなのです。特に左心房の中の左端にある左心耳(さしんじ)という小さな袋状の場所は血液がよどむために、血栓ができやすいのが特徴です。血液は流れなければ10分以内に固まりますから、極端に言えば、心房細動が10分続けば血栓ができてしまいます。そして11分後に心房細動が収まり、血栓がはがれると全身に飛んでいきます。はがれた血栓の30%は脳に行くので、心房細動が起こると高い確率で脳梗塞が発生することになるのです。 (前掲書114-115頁)
 

 このメカニズムは、タバコでなくとも何らかの別の原因で交感神経の緊張が起こる場合にも当然あてはまるものと考えられる。心房細動から脳梗塞になった例は、著名人ではいずれも3.11前だけど、長嶋茂雄元プロ野球監督とかオシム元サッカー日本代表監督の例があるらしい(前掲書26、34頁)。


 ここでなんとなく思い浮かんだのは、次の記事である。何故かはよく分からないけど、若くて女性だと動脈硬化というのも「?」という気がして。ニッカンスポーツの記事から、

大橋アナ34歳脳梗塞「まさか自分が…」
2013年1月19日7時59分
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20130119-1073819.html

 大橋アナはこの日、同局を通じてマスコミ各社にファクスを送付。「少しの間お休みをいただくことになり、多くの皆様にご迷惑をおかけしますことを、この場を借りて、おわび申し上げます」とコメントを発表した。その上で、「今まで健康診断でも血圧やコレステロールで注意を受けたこともなく、まさか自分がと驚きました」と、これまで何も兆候を感じたことがなく、突然、襲ってきた病気だったことを明かした。 (強調は引用者)


 最後に、不整脈中心に書いてみたけど、他力本願でいくと、類似の話題で手短にまとまっている次の記事もどうぞ。「内科・循環器科 あおやまクリニック」のサイト(愛知県所在、http://www1.s3.starcat.ne.jp/aoyama_c/)から、

ストレスは交感神経を刺激する
http://www1.s3.starcat.ne.jp/aoyama_c/backnumber/1-4.html


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