ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

「コルチゾール過剰症候群」とステロイド剤の副作用 (5)

2012年08月15日 |  症例(その他)

 今回も前回記事の続き。ステロイド剤(ステロイド系抗炎症剤)の副作用の項目別に、問題の症状へのコルチゾールの関与の仕方、関連する疑わしい症例をあげていこう。

(5) 骨粗しょう症

 骨という組織も、日々の管理・修繕があってその機能を維持している。一説によけば、骨は新陳代謝(再構成(リモデリング)とも呼ばれる)のため3年程で全て作り替えられるとの話もある。脆くなったり古くなったりした部分を壊す作業(破骨。あるいは骨吸収(カルシウムが血液中に出て行く点を強調した名づけ方))と新たに骨を作る作業(骨形成)とがバランスよく行われ、骨の機能が維持されているのである。このあたりについては、例えば、武田薬品のサイト「骨粗しょう症のはなし」から、

骨の再構築(リモデリング) http://www.takeda.co.jp/pharm/jap/seikatu/osteoporosis/shikumi/04.html (リンクはココ

 以前の記事でも触れたけど、縄文人が野生動物に囲まれて危険を感じて身を隠しているような状況では、生命の危険というストレスを受けてコルチゾールが分泌されるフリージング(すくみ)反応が起こり、その反応は、筋肉などを分解して近く起きるであろう闘争・逃避反応の準備をしいると解されるのであった。

 さて、このような危険な状況で待機しているとして、筋肉を分解しつつエネルギーを得て、通常どおり骨の新陳代謝の水準を維持する必要があるのだろうか。多分ないだろう。コルチゾールの基本的な作用には、以前の記事で触れたように、抗炎症作用と免疫抑制作用とがあった。骨の新陳代謝よりも重要そうな分野(炎症、免疫)で活動水準を下げてまでエネルギーを節約しているわけで、骨の管理・維持もエネルギー節約のため当然に手抜きも許されるだろうと考えられる。なぜなら、2、3日間手抜きをしたところで、即座に影響はでないと推測されるからだ。

 この議論は今後も何度も出てきそうなので、この観点からコルチゾールの基本的作用を再整理すると、次のようになるだろう:

(a) 抗ストレス作用、
(b) 闘争・逃避反応に役く立ちそうな機能・作用の増強(糖新生・血糖値の上昇、脂肪分解促進など)、
(c) 闘争・逃避反応との関連性が薄い機能・作用については、エネルギー節約のために抑制(抗炎症性、免疫抑制など)。


 前置きはこれ位にして、骨粗しょう症の一般的な解説については、例えば、gooヘルスケアから、
 
骨粗鬆症 http://health.goo.ne.jp/medical/search/109A0100.html (リンクはココ

骨粗鬆症とはどんな病気か
 骨量の減少と骨組織の微細構造の異常の結果、骨に脆弱性(ぜいじゃくせい)(もろくて弱くなること)が生じ、骨折が生じやすくなる疾患です・・・

症状の現れ方
 通常、骨量の低下のみでは症状が出現することはありません。骨折に伴って疼痛や変形が出現します。
 原発性骨粗鬆症では、股関節の骨折(大腿骨頸部骨折)、手首の骨折(撓骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ))、脊椎(せきつい)圧迫骨折が多く発症します。一方、ステロイドによる二次性骨粗鬆症では脊椎椎体(ついたい)骨折が多く、関節リウマチによる二次性骨粗鬆症では、脊椎、四肢に限らずあらゆる部位に骨折がみられます。
 脊椎椎体圧迫骨折では、後弯(こうわん)の進行や潰れた椎体により脊髄が圧迫され、後になってから下肢の運動・知覚麻痺や排尿・排便障害が現れることがあるので注意が必要です。また、骨折した脊椎が癒合(ゆごう)しないため(偽関節(ぎかんせつ))、頑固な腰背部痛が残ることもあります。


 症状の現れ方については、簡単な記述しかないので少し補足しておくと、厚労省作成の資料から(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のサイトから入手可能。なお、同種のマニュアルの一覧は同サイト内 http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/juutoku_index.htmlを参照。リンクはココ)、
 
重篤副作用疾患別対応マニュアル(医療関係者向け) 骨粗鬆症 平成21[2009]年5月
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0905013.pdf (リンクはココ。pdfファイル)

2.副作用の概要
 ステロイド性骨粗鬆症とは、経口ステロイド薬による骨代謝系への直接または間接作用により骨粗鬆症が生じ、骨折が生じやすくなる状態である。骨折が生じる部位により関連した部位に疼痛、神経麻痺症状など多彩な症状を呈する。

(1) 自覚的症状
 原則的に骨折が生じなければ自覚症状はない。骨粗鬆症性の骨折は一般的に軽微な外傷により生じるが、骨の脆弱性が特に著しい場合には、外傷がなくとも骨折を生じる場合がある(体幹荷重や通常歩行のみによる慢性的な負荷がかかった場合や筋の強力な緊張がかかった場合など)。骨折部の疼痛は安静時よりも運動時に強い。骨粗鬆症による骨折は海綿骨が豊富な部位に生じやすいため、脊椎椎体と四肢長管骨の骨幹端部が好発部位である。また、骨折は肋骨にも好発する。骨折が治癒しても変形を残す場合には持続的な疼痛などの症状が生じることがある。

脊椎椎体骨折による症状:腰背部痛(骨折による急性の疼痛と、骨折後に残存する椎体変形に由来する脊柱変形により生じる慢性の疼痛)のほか、骨折椎体高位の神経支配域の放散痛(体側部痛)や殿部痛を伴う場合がある。脊柱管内への骨片の突出が大きければ下肢の筋力低下や知覚障害、膀胱直腸障害などの神経麻痺症状を生じる。骨折が治癒せずに偽関節を生じると、不安定性による遅発性の脊髄麻痺を生じることがある。また、椎体骨折や脊柱変形に伴い身長が低下する。50 歳以後で2cm以上、若い頃から4cm 以上身長が低下した場合には椎体骨折が生じている可能性がある6)8)。

四肢の骨折による症状:骨折部の疼痛、腫脹、変形などが生じる。下肢骨骨折の場合は歩行困難または不能となる。 (同資料9-10頁から)

 ついでに、公益財団法人 骨粗鬆症財団のサイトから、骨粗しょう症関係の用語集と、イラスト入りの症状の現れ方も紹介しておこう。

用語集 [骨粗鬆症関係]
http://www.jpof.or.jp/grossary.html (リンクはココ
骨粗鬆症ってなに? - どんな症状がでるの?
http://www.jpof.or.jp/about-sympson.html (リンクはココ


 次に、骨粗しょう症へのコルチゾール関与の仕方については、わかりやすそうな解説をみつけたので、先ずは他力本願でいくと、「六号通り診療所所長のブログ」から、

ステロイド性骨粗鬆症は何故起こるのか?
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12 (リンクはココ

 このように有用性の高い薬であるステロイドですが、皆さんも御存知のように、多くの副作用が存在します。
その中で、これまでやや軽視されることの多かったのが、ステロイドにより骨の健康が損なわれ、骨折や骨壊死などが起こるという、骨への有害作用です。
ステロイドの使用は骨粗鬆症の原因となり、かつまた骨壊死という特殊な骨の病変の、原因ともなります。

 ステロイドによる骨の病変は、どのくらいの頻度で起こるのでしょうか?
 [長いので、中略]

 しかし、事前の骨塩量が正常でも、ステロイドによる骨折のリスクは増加し、そのし易さを、その数値で推測することは出来ないのです。
何故そうなのか、ということを考えるには、ステロイドが何故骨を脆くするのか、という原因を考える必要があります。

 骨には骨細胞があり、それ以外に骨を造る働きを持つ骨芽細胞と、骨を壊す働きを持つ破骨細胞があります。
通常の閉経後の骨粗鬆症では、破骨細胞の機能が相対的に高まるので、骨は破壊される方向に働き、骨の破壊が進行して、それにつれて骨塩量も減少します。
つまり、こうしたタイプの骨粗鬆症では、骨塩量すなわち骨量を、定期的に測定することが、骨折のリスクをある程度推測する上で、意味のあることなのです。

 一方でステロイドによる骨病変では、病変の主体は骨細胞そのものにあります。
ステロイドの影響により、骨細胞は壊死をし易くなり、その寿命が短縮するので、骨自体の栄養状態が悪化し、骨の中の細胞数が減少します。これはステロイドが骨の成長因子を、強く抑制する作用によると考えられています。
破骨細胞や骨芽細胞は、双方とも壊死し易くなり減少しますが、より骨芽細胞の減少の影響の方が大きいので、長期的には骨の破壊は進行し、骨塩量も減少に向かいます。


コルチゾールの働きによって、骨細胞も早死にするし、破骨細胞や骨芽細胞も早死にするらしい。細胞数が減るのだから、確かにエネルギーの節約にはなりそうだ。

 一般向けの解説ならこれでいいと思うけど、趣味に走ると(カルシウムの代謝に興味があると関連性が気になるよね)、より詳しく知るために先程と同じ厚労省作成の資料から、
 
2.副作用の概要
   [中略]


                  図1  ステロイド性骨粗鬆症の発症機序

(6) 発生機序
 ステロイド性骨粗鬆症の発症機序には、骨芽細胞などの骨形成系細胞への抑制を主体とする骨代謝系への直接作用と、内分泌系などを介した間接作用がある(図1)。

骨代謝系への直接作用:
 経口ステロイド薬の骨代謝系への直接作用の主因は、間葉系幹細胞から骨形成系細胞(骨芽細胞前駆細胞など)への分化を抑制し、さらに骨芽細胞と骨細胞のアポトーシスを促進することである9)10)。また、経口ステロイド薬は破骨細胞のアポトーシスを抑制し、破骨細胞の寿命を延長させる11)。結果として、骨組織において骨形成は著しく抑制されるとともに骨吸収は促進されるため、骨量は次第に減少し、骨粗鬆症を発症する。

内分泌系などを介した間接作用:
 経口ステロイド薬は性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の産生を抑制し、それに伴い黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)を減少させる。その結果、性ホルモン(エストロゲンやテストステロンなど)の分泌抑制を引き起こし、骨粗鬆症を誘発する12)。また、下垂体での成長ホルモン(GH)の産生を抑制することにより全身性および局所のインスリン様成長因子(IGF-I)の産生を減少させる。さらに、腸管からのカルシウムの吸収の低下と腎尿細管からのカルシウム再吸収の抑制に起因する二次性の上皮小体機能亢進症を誘発する。 (同資料11-12頁)
 

 「六号通り診療所所長のブログ」の主が言うところの「通常の閉経後の骨粗鬆症」は、主に内分泌系などを介した間接作用が大きく寄与するとみられる一方、ステロイド性骨粗しょう症は、これとは少し異なった病態になるとの指摘があるので、骨代謝系への直接作用が主なのではないかと推測される(深く掘り下げると余計分かり難くなったのは多分気のせいだろう・・・)。

 ついでに一言付け加えると、ここで、コルチゾールには性ホルモンや成長ホルモンの分泌を抑制させる働きがある、と指摘されているに留意してほしい(この点については、それぞれ後で記事にまとめる予定なので、今回は指摘のみ)。


 さて、関連する疑わしい症例を挙げていこう。

 軽度の症状の場合、骨折あるいは骨折後の変形により腰や背中の痛みが出るとされている。腰背部痛の報告はいろいろみかけたけど、個人的な認識だと、骨粗しょう症との関連性までみえてきたと思えた事例は残念ながらなかった(様々なことが原因で腰背部痛になり得るし・・・)。ということで、骨折を中心にみていこう。

 骨折については、以前の記事でも紹介したように、噂話のベースだと、件数が増加しているのでは、との印象を受ける。

〔メモ〕 骨折がはやっている???  2012/3/22


 また、最近は、芸能人が骨折したとの報道も、個人的には以前より多いのではないかと感じている。幾つか怪しい事例をあげてみると、例えば、サイト「Techinsight Japan」の記事から、

【エンタがビタミン♪】「医者には動くなと言われている」。肋骨を骨折していた杉本彩。休まずに予定通り活動を続ける模様。
2011年10月17日 19:00
http://japan.techinsight.jp/2011/10/sugimotoaya-rokkotu20111017.html (リンクはココ

 タレントの杉本彩がテレビ番組で肋骨を骨折したことを明かした。彼女は以前、テレビ番組で社交ダンスを踊る企画に挑戦した際にも肋骨を骨折した状態で踊ったことがある。・・・

 番組で彼女は気管支炎を患い、数日間「夜中じゅう咳き込んでいたら、ある日肋骨が大変なことになっていた」と状況を語った。咳をして肋骨が折れるという話は杉本彩も聞き知っていたが、「まさか本当になるとは」と自分が経験して驚いたそうだ。

 別の例だと、j-castニュースの記事から、

川島なお美が肋骨骨折 夫は「なんも心配してくれない!」
2012/5/26 16:22
http://www.j-cast.com/tv/s/2012/05/26133439.html (リンクはココ

 タレントの川島なお美が5月25日(2012年)のブログで、肋骨を骨折していたことを明かした。

 6月中旬に始まるミュージカルのため5月5日、ポールダンスのスタジオに行った。苦手だという「ポールでの逆上がり」を何度も練習したら「ガツン」とポールに肋骨をぶつけてしまった。痛いのを我慢して翌日以降も仕事をするなどしていたが、ゴールデンウィーク開けに整形外科に行ってレントゲンを撮影したところ、肋骨にひびが入っていたという。

 最近の例だと、元はテレビ朝日の記事なのだけどみあたらないので、同記事に関連したものを某掲示板の芸能・音楽・スポーツ ニュース速報板から、

【芸能】品川庄司の品川祐、酔って走って止まって全治1ヵ月の骨折
2012/07/28(土)
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1343464291/ (リンクはココ

 品川庄司の庄司智春(36)が28日、山梨県・富士急ハイランドの新迷宮脱出アトラクション
「絶望要塞」のオープニング記念イベントで、相方・品川祐(40)が骨折していたことについて語った。 ・・・

 庄司は「(番組の)収録で会った時に、(品川から)ブログで書いていたような説明は受けましたけど。はしゃいで、走って、立ち止まったら、着地に失敗したのか、膝を骨折したって言ってました」と説明。
品川のブログでも、担当医から「走って止まって折れるなんて聞いたことないですね」と呆れられたと明かしていた・・・

 ついでに、メモ代わりに、この報道に関連した議論を某掲示板の放射能板から発掘すると(レス番819の内容は、上記の品川祐氏の骨折報道)、

822 : 名無しに影響はない(愛知県) : 2012/07/29(日) 10:22:12.11 ID:zdkFR4DW [2/3回発言]
  >>819 緊急自然災害板の方でも書いたけど、詳しい人いたら意見くださいな。

  >158 :地震雷火事名無し(関東地方):2012/07/29(日) 08:52:53.75 ID:9000qbbfO
  >イタイイタイ病きたか

  >159 :地震雷火事名無し(長野県):2012/07/29(日) 09:13:38.04 ID:BriNL3K30
  >>>157
  >長野の40代も、躓いて足を捻ったら(?)骨折したと言って入院した
  >健康でよく運動してる人だからびっくりしたが

  >これからは迂闊に転べないし躓けない

  >160 :地震雷火事名無し(愛知県):2012/07/29(日) 09:40:47.75 ID:X3Jbe1RG0
  >ガレキにはカドミウムも含まれているかもしれない、と言っていたが。
  >そんな大量に含まれてはいないよな。

  >161 :地震雷火事名無し(関東地方):2012/07/29(日) 09:46:20.25 ID:9000qbbfO
  >>>160崩壊後カドミウムになる核種があったはず

  >163 :地震雷火事名無し(愛知県):2012/07/29(日) 10:17:21.37 ID:X3Jbe1RG0
  >>>161
  >いいページがあった。放射性銀 110Ag → β崩壊 → 110Cd
  >http://trustrad.sixcore.jp/ag-110m.html

  健康被害を及ぼすほどの量を摂取するのかどうかはわからない。
  該当のページでは放射線ばかり注目して、β崩壊後のカドミウムの影響は
  考察されていない。

835 : 名無しに影響はない(東京都) : 2012/07/29(日) 14:51:54.17 ID:1AnUSChZ [1/1回発言]
  >>822 >>819
  詳しくないけど、カドミウム原因説かどかは、よくわからん。一般論だと、

  病的骨折 ttp://health.goo.ne.jp/medical/search/10510800.html

  汚染状況を踏まえると、

  骨内部に取り込まれた放射性ストロンチウム崩壊 →粗骨化 →易骨折性 
  あるいは
  放射能誘発の酸化ストレス →何かの異常? →カルシウム代謝の異常 →粗骨化 →易骨折性

  「何かの異常?」の部分は、いろいろ考えられるので、より詳しいデータが望まれる。

  山勘だと、初期被ばくで甲状腺にかなり負担がかかったようだから、
  副甲状腺機能亢進が関与しいてるのか???

  副甲状腺機能亢進症 ttp://www.ito-hospital.jp/02_thyroid_disease/03_2about_php.html


 この記事の前提であるコルチゾール過剰原因説のほか、放射性ストロンチウム原因説、カルシウム代謝異常原因説(例えば副甲状腺機能亢進原因説)あたりは、骨折の原因としてあり得るかもしれないと思われる。

 ただ、カドミウム原因説は、個人的には現状ではほとんど信じていない(疑わしい症状として、イタイ、イタイと叫ぶ症状のあるヒトが出現していないと思われるため)。


(つづく)

 

============

注) ・8/22 タイトル変更。