ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

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〔メモ〕 細胞の傷害と早期老化

2013年11月30日 |  関連(生物学医学)

 引き続き手抜きで、素材貼り。

 ●の影響により、がんや白血病が増加すると言われている。コルチゾール過剰原因説で多くのことが説明てきそうと思っているけど(詳細はココ)、がんや白血病は別ではないだろうか。

 がんについては、コルチゾール過剰原因説で無理に説明できないことはないけど(免疫力の低下経由と解する)、白血病の方は、やはり細胞(骨髄造血細胞)の傷害を全面に出したほうがわかり易いと思われる。


 さて、細胞の傷害(あるいは老化)に関連して、これにより潜伏期間(いわゆる「直ちに影響はない」期間)を理解しようとする興味深い説をみかけたのでメモしておこう。ツイッターから、

@tokaiama  11月19日
放射線生物学の基礎知識
アメリカのヘイフリックは「哺乳動物の体細胞は何回かの分裂を繰り返すと増殖を停止し、死滅する」ということを見出しました。これは「ヘイフリックの限界」と呼ばれ、 今日でも広く信じられています
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/vphome/web-rouka/rouka/di1zhang_lao_huato_shou_ming.html

@tokaiama
細胞は絶え間なく入れ替わっているが、遺伝子が正常にコピーできる回数は限られている 各臓器、器官によって寿命は異なるが、肝細胞は五年程度で死滅、このときDNA情報が損傷していると正常コピー不能になり臓器器官が死滅に向かう この五年という期間が放射線被曝の潜伏期間に一致する


 この潜伏期間に関する説は面白そうなのだが、個人的によく理解できない点があるので全面的には信じていない(これは、生体において幹細胞と一般体細胞とがどのように連携しているのかの点について、理解できていないためだと思われる)。現状では、コルチゾール過剰原因説の方が潜伏期間をも含めいろいろ説明できる感じがしている(その詳細は 〔おさらいメモ〕 ストレス反応とセリエ説 2013/6/4)。 


 では何故メモしておくのかといえば、引用URLの資料がかなり興味深いからである。この資料は、中山裕之氏(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室)が書いた次の文の第1章らしい。

老化の比較生物学 ― 「老化の進化学」の提案
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/vphome/web-rouka/rouka/index.html


 上記資料では
   細胞の老化は分裂回数と傷害刺激の蓄積によって生じる
という点について分かり易く解説してあるので、引用しておこう。●の影響で早期老化が起きることがよく理解できるのではないだろうか。

第1章 老化と寿命
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/vphome/web-rouka/rouka/di1zhang_lao_huato_shou_ming.html

2)細胞の老化

   [中略]

 それでは、細胞の老化、細胞寿命の決定のメカニズムはどうなっているのでしょうか。10年程前から「テロメア」あるいは「テロメラーゼ」という言葉が新聞の科学記事、科学雑誌などに登場するようになりました。テロメアというのは遺伝子の端に存在する意味を持たない構造体と考えてください。遺伝子とは細胞の中に存在し、生物が生きていくのに必要な情報を保存している化学物質で、生命現象をコントロールするプログラムが書かれています。重要な遺伝子に傷がつくと細胞は死滅したり、あるいは異常に増殖して癌になったりするのです。そして遺伝子は細胞分裂のたびに端のほうからだんだんと短くなっていきます。遺伝子が短くなっても端にテロメアがあるうちはテロメアのみが減っていくだけなので、重要な遺伝子に傷はつきません。ところが細胞が何回か分裂するとそのたびにテロメアが短くなり、とうとうなくなって、遺伝子までもが欠損するようになります。こうなると細胞は増殖できず死滅してしまいます(図7)。これがヘイフリックの限界を定めているメカニズムなのです。テロメアとは細胞分裂の回数券で、使い切ると細胞が死んでしまうのです。このテロメア短縮によっておこる細胞老化メカニズムを「プログラム説」と呼びます。細胞の老化・寿命は遺伝子によってあらかじめ決定されている、というものです。蛇足ですが、生殖細胞や癌細胞の中には無限に増殖するものがあります。このような細胞には分裂によって短くなったテロメアを伸ばす酵素が存在し、テロメラーゼと名付けられています。テロメラーゼがあれば、テロメアはいつまでたってもなくなりませんので、細胞も不死化するのです。

 一方で、細胞は外部から様々な有害刺激を受けています。紫外線、熱、放射線などの物理的刺激、発癌物質、アレルゲンなどの化学物質、ウイルス、細菌、寄生虫などの生物学的刺激です。こういった刺激が直接または間接的に細胞の遺伝子を傷害し、それが蓄積して、ついに細胞死がおこります。

 このように細胞への傷害が累積し、遺伝子が変化、細胞が老化、死滅するメカニズムを「エラー破局説」といいます。図8の左はヒト心臓筋のミトコンドリア DNA(mtDNA)の異常、右は8-OHGという異常DNAの割合をしらべたものです。いずれも60歳を超えると急激に増加しています。こうした遺伝子を傷害する刺激の蓄積によって異常な遺伝子DNAが増加することを示しています。

 プログラム説とエラー破局説、どちらの説が正しいのかまだ分かりません。多分両方正しいのでしょう。両方のメカニズムが相まって、細胞が老化し、死滅していくのだと思います。 (図は省略)