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カンチャン狂騒曲

日々の事をあれこれと、大山鳴動してネズミ1匹がコンセプト。趣味さまざまなどを際限なく・・。

当たり外れもあって本は面白い

2015-05-12 11:22:06 | 本と雑誌
 本もいろいろあって、面白そうだと思って借りたり買ったりしてもちっとも面白くなかったり、そうかと思うと大して期待もしていなかったのに、感動させられたりと様々である。

 
 「シッダルータの旅」竹田武史(構成・写真)ヘルマン・ヘッセ(著)高橋健二(訳)2013.4新潮社(刊)

 ヘルマン・ヘッセの「シッダルータ」に魅せられて、小説の舞台になったインドの仏跡・聖地を巡礼し、物語に描かれた心象風景を追って撮影した詩情豊かな写真と、ヘッセの美しい文章を道標として原作世界を旅する小さな写真集と紹介されている。

 シッダルータはいわゆる仏陀ではなく、ヘッセの創作した同名の別人物なのだがその人生は仏陀の生涯にシンクロしている。

 シッダルータは川が奏でる千の声の大きな歌の中にただ一つの言葉すなわちオームを聞き、輪廻する世界をそのままに受け入れる境地に達する。

 死者が川岸に置かれ水に浸されやがて荼毘に伏される写真には圧倒される。

 
 「秘伝「書く」技術」夢枕獏(著)2015.1集英社インターナショナル(刊)

 いわゆるマニュアル的技術論ではない。心構え論と言うべきかあるいは作家業感というべきか。

 作者が良い文章として宮沢賢治の「永訣の朝」という詩を紹介しているが、私も思わず涙腺が緩んでしまった。

 死の床の妹の枕元でなすすべもない兄賢治に、妹が「あめゆじゆとてちてけんじゃ」というのである。

 折から降り出した「雪混じりの雨が食べたい、取ってきて賢治兄さん」という妹の頼みに救われて、最後にしてやれることの為にミゾレの中に飛び出して行く。ささやかな満足の気持ちを兄に残してやろうとする妹の心遣いがたまらない。
 賢治自身もそのことに感謝してこの詩をつくったのだという。

 まったく目的は異なったが、この詩の部分だけで読んで良かったと思った1冊。

 
 「連句遊戯」笹公人・和田誠(共著)2010.7白水社(刊)

 句を連句季題表によって作者の二人が交代しながら、作句したものをFAXでやり取りして進めていったものらしい。

 連句遊戯ということで、言葉遊びをことのほか意識したものらしいのだが・・・・。

 全ページ199ページのうち連句(歌仙篇)は37ページ、まえがき・あとがきに36ページで、解説対談篇に106ページを使うという配分にはいささか遊戯が過ぎるなと思った。

 まえがき・あとがきの頁数と連句そのものが同じページ数というのもビックリだが、面白いことをやった後に「何故面白いかと言うと・・・」等と解説するのは、笑いの理解できない人に漫談家が説明するという寄席の舞台に似ている。

 まあ言葉遊びですから、そうおっしゃらずに・・・・ですか?

 
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コメント
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