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『農業が日本を救う』(財部誠一)

2009-05-24 16:12:18 | 読書日記
 「アメリカの農家は金に執着するが、日本の農家は土地に執着している。これが日米の農家の最大の違いだ」
 「日本農業を呪縛するのは「農地」に尽きる」
 「農地をめぐる問題は大きく二つに分かれる。「耕作者主義」と「転用期待」だ」
 「いま耕作放棄地の急増が問題となっているが、法制度上は耕作放棄地は絶対に発生しない」
 「新農地法は所有と利用の分離を目指す」
 「農業における経営資源というのは、私の理解では農地であり、人であり、技術であり、経営ノウハウです。それら全てを生産者が自由に使いこなし、創意工夫のできるような法的措置をしたい」
 「農協は生産者しか見ない。我々は消費者を見る。」

 中国産餃子事件など、食の安全に対する要求が高まり、国内農産物にも注目が集まっている。
 しかし、日本の農業の現状は、農業の担い手が年々減り続け、さらには高齢化が進むとともに、埼玉県の面積に匹敵するような耕作放棄地が存在するほど、厳しい状態に置かれている。

 この原因を行政の無策によるものと決め付けるだけでは解決しないことを本書は強く訴えています。
 
 もともとは経済の専門家がジャーナリスト的見地から書き上げた作品だけに、「消費者」の目を意識したものとなっています。

 本書の中でも言われていますが、これまでの行政は「農業=善」「農家=弱者」とういう前提に議論されてきた。したがって、農家への直接公費支出も躊躇なくほどこされてきた。
 しかし、結果として農家の”力”は強化されたか?後継者のいない高齢者の農業者が増え、挙句のはてに農業を続けられなくなり、耕作放棄地が増える。
 たとえ耕作しなくとも、今後の「転用期待」から決して農地は手放さない。

 これからは「消費者」の視点も踏まえた行政が必要になるのではないか。確かに、農業、特に食の安全保障的観点からは、すべてをビジネスベースで割り切ることはできないことである。したがって、いかに農家と消費者との考え・思いをくみ取った政策をすることができるかが重要。
 そのためには、多くの人に農業・農家の置かれている現状をよく理解してもらうことが大事では。
 そんな時の入門書として、本書は適している作品ではないでしょうか。

 


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