目黒重夫昨日・今日・明日

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熱海殺人事件VS売春捜査官

2019-08-02 21:42:05 | 芝居・映画
熱海から辺野古へ
参院選が終わったら、一転猛暑が続いている。猛暑はつらいが夜のビールは格別この上ない。選挙も終わって一息、久々芝居に出かけた。「熱海殺人事件VS…」、題名にひかれたのだ。劇場が下北スズナリも気に入った。

スズナリは満席200人ぐらいのいかにも芝居小屋の雰囲気がたっぷり。下北はいま再開発が進んでいるが、この周辺だけは昭和が残されたままだ。

熱海殺人事件はつか時代から数々観てきた。今回はそれに売春捜査官を絡ませるという、いったいどんな芝居になるのか。予備知識は全く持たずに観ることになった。

木村伝兵衛部長刑事のもとに富山県警から熊田刑事が異動してくる。一つひとつのセリフはつか版と全く一緒、違うのは見慣れない役者だけ。風間杜夫、平田満時代の私には物足りない。

このまま終わったら「がっかり」もいいとこ、と思いきや熱海は突然沖縄・辺野古に飛んでいく。実はここがみそ、演出の坂手洋二が言うには、つかこうへいは1980年に「熱海殺人事件だからといって、高知でやるときも熱海でなければならないことはない。『桂浜殺人事件』と変えるのが作者への礼儀というもの」と雑誌「新劇」に記しているという。

坂手はつかの言葉通り、容疑者大山金太郎と恋人山口アイ子を辺野古の海岸に登場させ、基地反対闘争を顕在化させている。つかの逆説的な手法に坂手の問題意識がうまく絡まった2時間半だった。
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