全世界連合の辺境の惑星、遠い昔、植民者が送り込まれてコロニーをつくったが、母船は引き上げ、残された人々は次第に技術を忘れ次世代が生まれにくくなり、人口を減らしつつある。唯一の拠点の町ランディンに暮らしている。彼らをファーボーンと呼んでいる原住民(ファーボーンたちは彼らのことをヒルフとよぶ)のトバールの少女ロルリーは町にやってきて(敵対関係はなく、彼女の父であり部族の長であるウォルドは、ファーボーンの妻を持ったことがあった)海岸の黒い岩山の砦を見に海岸におりる。ここで、心話(テレパシーのこと)で、危険を告げられて、かろうじて逃れ、心話をつかったファーボーンのリーダーのひとり、ジャコブ・アガトにであう。そして、曲折あって、恋に落ちる。この惑星は5000日にも及ぶ長い冬があるが、より北方に居住するがヒルフの一派であるガールは、この年、退去して、トバールとファーボーンを組織的に攻略して食料を略奪して南に退去して向かうべく行動を起こす。ジャコブ・アガトはトバールと連合してこれを迎え撃とうとトバールの族長ウォルドたちを説得しようとするが失敗に終わる。トバールはガールの一撃をうけ、ジャコブ・アガトの示唆により、ランディンに避難し、ファーボーンとガールの子どもを持つ女達とウォルドたちは、海岸の砦にこもる。やがて、ガールによる攻城戦がはじまるが、ブリザードが始まってしまい、ガールの大勢は攻城戦に時間をとるよりも、一部を残して、南方への道へ逃れることを選ぶ。残されたガールは、食料と暖をもとめて、門を破りやがては、市街戦に突入する。そして、ブリザードとともにやってきたスノーグール(雪鬼、人間ではなく動物らしい)も市街に侵入する。工房の末、ガールは断念して南方に去り、トバールとファーボーンとは残された寒々とした未来をともに生き延びていこうとする。
ファーボーンもヒルフもどちらも、自分たちのことを人間とよんでいて、相手のことを人間じゃないと言っている。ウォルドのファーボーン生まれの妻とは子どもをなさなかった。ロルリーとジャコブ・アガトの間もまた、愛を育むことはできるが、子をなすことができるかどうかは定かではない。このあたりが、どうも読めない。長い時間がたっている(数百年の植民期間を経ているファーボーン)のだが、その前からいるヒルフは、更にその以前に惑星にやってきた植民者であるのかどうか。また、心話を交わすことができ、言語による会話を交わすことができることは、両者の系統的な近接も想像させられる。『闇の左手』、『ロカノンの世界』、そして、この『辺境の惑星』と読み進んできたが、全体像を理解するにはまだもう少し読み進める必要があるようだ。