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読了・『アフリカの瞳』

帚木蓬生、2004、『アフリカの瞳』、講談社、¥1900
帚木蓬生の小説は、1993年の『三たびの海峡』(現・新潮文庫、映画にもなった)以来、出版のたびに購入し読み続けている。それ以前の著作についても、絶版もあるようだが、文庫本などで、すべてカバーしている。今は亡き大学院の先輩に勧められて読め始めた作家なのだが、決して文章やストーリー・テリングと言うという意味で上手とは思えない彼の著作(ファンの方には申し訳ないが、わたしには、いろんなところで、ぎこちなさを感じる)ではあるが、わたしはつい手が伸びて、読み進めるうちに何度か涙ぐんでしまう。
彼のセールスポイントは、あくまでもヒューマンなトピックに基づき、物語を構成することである。もちろん、各賞を受賞していて、コンスタントにヒットを飛ばす世上隠れおおしもない現代作家の一人である。
『アフリカの瞳』はわたしが単行本としては所有していない『アフリカの蹄』(1992年原著・講談社=品切れ、現・講談社文庫)の続編として書かれている。前著が「天然痘」の撲滅に関してアフリカの現状をふまえて描かれたのに対して、本著は、同じ主人公がアフリカのエイズ及びエイズを巡る製薬会社の陰謀に対して立ち向かう姿が描かれる。常に現代社会におけるトピックな課題に対して立ち向かってゆく人物像が描かれるのである。
著者の帚木蓬生は、現役の精神科医であり、著作が常にその社会性あるいは現代性を失わないのは「二股をかけ続けている」事によるものだろうと思う。もちろん、著作に専念すべく、兼職しない作家は多いのだが、わたしには、帚木蓬生の力強さとヒューマンさは彼の現場に常にいることによるのではないかと思う。また、セミ・ドキュメンタリーというか、彼の取り上げるトピックは、まさに、現代的な課題を追求するという目的を志向していて、フィクションとはいえ、その課題は読者に重く課題解決に向けての問いかけを迫るのである。

2004-09-21 22:21:37 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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