「シェクスピアの庭(字幕版)」
ロンドンのクローブ劇場が炎上し、筆を折って故郷のストラットフォード・アポン・エイボンに帰ったウィリアム・シェイクスピアの亡くなるまでの3年間の物語。20年もロンドンで活躍しほとんど帰郷しなかったウィリアムは、妻と娘二人との距離感を味わう。家長として働き金を送り家を支えたという自負があるが、彼が帰郷したのは幼くしてなくした息子ハムネットを悼むために庭をつくるためだった。息子の書いた師をほめたたえるウィリアム。だが、謎が隠されていた。妹のジュリアの詩を書き取ったのは文字が書けた息子だったに違いないが、詩作したのはジュリアだった。疫病で死んだことになっていたがレジスターで疫病の年ではなかったことを知る。疫病の年には草刈り鎌で草が刈られるように大勢がまとまって死ぬが、そうでない年には短剣で刺されるように少数が死ぬ。息子の死んだ年は疫病の年ではなかったが、妻のアンは疫病のせいだったといいはる。しかし、ジュリアが真実を告白する。
作品の各所でシェイクスピアの作品が引用されて台詞となってでてくる。14歳で学校をはなれ旅行することもなかったのになぜ、様々なことを知り作品に書くのかと訪ねてきた若者に問われるが、すべて、自分から出てきた真実であると答えるウィリアム。本作品の原題は「All is True」でこのシーンが一つの焦点であろうが、同時にウィリアムの真実がすべての真実ではなく、家族それぞれにはそれぞれの、村人にも、そして、世界中の人々にも真実があるということだ。
ウィリアムが亡くなり、追悼文を文字を読み書きできなかったアン、続いて二人の娘が読んでいくシーンで幕を閉じる。