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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

加藤楸邨句集「火の記憶」から その3

2016年12月20日 17時28分46秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 三月十六日、午前警報あり
★冴えかへるもののひとつに夜の鼻

 三月十七日、午後警報、義兄矢野徳三郎一家再度焼亡、無事訪ね来る
★木の芽だつ生きて逢とも言寡な

 三月二十日、一機侵入
★牡丹の芽萌えむとすなり見ておかむ

 三月三十日、西小山付近強制疎開、三月三十一日、一機侵入、四月一日晴、南西諸島激戦報、一機東京に入り投弾、四月四日払暁、空襲
★髪焦げて教へ子は来ぬ桃を抱き

 すでに3月の段階で、作者は空襲による被害をただ見ていることしかないことを否応なく知ることになっている。しかしただ「眺める」ことには終わらない。3句目の「見ておかむ」のように、すべてを意志的に「見」ようとしている。その強い意志も感じることもできる。人間の打ちのめされる面と、意志的な面、それはどちらも人間の側面である。


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