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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「異様を異様と感じなくなる時代の異様」(高村薫)

2016年04月02日 09時27分34秒 | 読書
 昨日届いた岩波書店の「図書4月号」。いつものとおり、表紙の写真とその解説(伊知地国夫)、「詩のなぐさめ」(池澤夏樹)、「美術館散歩」(三浦佳世)、「作家的覚書」(高村薫)にまず眼を通した。
 三浦佳世氏の「美術館散歩」は4回目で「浮世絵の視線」。広重・春信の浮世絵に登場する人物の視線の解析、そして西洋の絵画作品に登場する人物の視線との比較・解析はなかなか面白い。澁澤龍彦の「幻想の肖像」(河出文庫)の存在を教えてもらった。機会があれば読んでみたい。
 池澤夏樹の「詩のなぐさめ」は49回目である。この連載は読んだり読まなかったりである。今月は眼は通したが、まだよく理解できていないところがある。
 ひうひとつ「「こころ」論-語られざる「遺言」」(若松英輔)の第1回が始まった。私に何かを示唆してくれるものか、第1回を読む限りまだ何とも言えない。
 雑誌の連載というのは苦手である。前回までの論を思い出すのが面倒である。できればまとまってから読みたいのだが、単行本になると高価になる。単行本にならないものもある。パラパラとめくりながらいつも読んですぐに忘れてしまう。高村薫と三浦佳世の連載だけは続けて読んでいる。もっとも毎号、論としての完結性が強いので読みつづけることが出来ている。



 その高村薫氏の文章、大体が政治批判である。今回は文章の最後を引用しておこう。「多数の負傷者に即応するだけの外科処置の能力を持たない自衛隊が、戦場へ出てゆくことの異様。そもそも敵地攻撃能力など端から持っていないのに、その可能性が大声で語られる異様。輸送艦が三隻しかないのに、集団的自衛権に地理的制約はないとされる異様。平和な朝のいつもの新聞のすみずみに、異様を異様と感じなくなった時代の異様が覗いている。」

 忘れないように記しておきたい。3月下旬から沖縄戦が始まり、沖縄本島への米軍の上陸が開始されたのが71年前の1945年4月1日である。


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