


「百鬼夜行図屏風」(1872-90)のことを記載した部分で書き忘れたことがあった。右隻の右上部に楕円形の球体の顔から直接羽が生えた妖怪が描かれている。一見蝙蝠から胴体を無くしたような姿態である。私はこの形を見た時に、カトリックの絵画で描かれる「セラフィム=熾天使」を思い出した。天使の9つの位階の最上位の天使である。生保マリアの昇天図などに子どもの顔から直接羽が生えた図像で描かれる。一見赤子のような形である。ムリーリョ「無原罪の御宿り」では左上に描かれている。
1872(M4)年以降、キリスト教が合法化されて以降に暁斎は多分このような絵画は見ていると思われる。それがこの「百鬼夜行図屏風」にも反映されているのではないか」と思った。
いろいろなものを貪欲に吸収し、描き尽くそうとした暁斎ならではの作品のように感じた。