色づき始めようとしているアジサイを見つけた。あとどのくらいで色がにじみ出てくるのかはわからないが、やはり今年は早そうである。
この街路樹の下のアジサイは毎年鮮やかな濃い紫色の花だったと記憶強いる。ただしあくまでも記憶である。実際に咲くと違うかもしれない。自信はない。
今咲いているシャクナゲとともにアジサイは好きな花のひとつ。これからが楽しみである。
★紫陽花や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴
★紫陽花に吾が下り立てば部屋は空ら 波多野爽波
★紫陽花の咲けば咲かねば悔ひとつ 加藤秋邨
第2句、不思議な気分になる。たぶん自分の部屋を出て、外に色鮮やかに咲いている紫陽花を見て、窓から見える自分の部屋の空疎・不在・昏さをあらためて実感したというのだろう。内面の空虚、暗闇を抱えている自分を認識したというのは、深読みのしすぎかもしれない。