shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋)

2024-07-25 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は、表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その①(姿見駅→旭岳)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


旭岳(標高2291m)は北海道の最高峰であり、当然今回の縦走路でも旭岳が最高峰で、旭岳からは下りとなった。
すぐに残雪が現れると思っていたが、しばらく砂礫の急坂が続いた。途中いくつかの樹木の花が観られた。

・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)
日本では北海道から中部地方までの高山帯から亜高山帯上部にかけて自生する。分布域がアズマシャクナゲやハクサンシャクナゲよりさらに高地であり、生息環境が厳しいため樹高は3~40cmにしかならない。


・メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、Sibbaldia miyabei、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)
北海道の硫黄山、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、大雪山系、羊蹄山に分布し、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する。北海道以外では千島列島に分布する。


砂礫の急坂を20分ほど下ると、ようやく雪が現れた。ここでアイゼンを着用した。砂礫より締まった雪の方がずっと歩きやすい。相変わらずガスが濃かったが、GPSがあるので道を見失う心配はなかった。
 

雪渓を抜けると平坦な砂礫の道となった。所々にお花畑があり、特にキバナシャクナゲの群落が見事だった。風雪が厳しい環境のため樹高は20cmほどしかない。
この先で前を歩いていた二人組に追いつき、白雲岳避難小屋まで一緒に歩いた。
 

・キバナシャクナゲ


ガスに加え風が出てきて、お花の撮影が難しくなってきた。それでも可愛いお花たちにカメラを向けてしまう。

・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)
日本では、本州中部地方以北、北海道に分布し、高山帯の風当たりの強い岩場の裂け目などに張り付くように生える。


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・エゾタカネスミレ(蝦夷高嶺菫、Viola crassa subsp. borealis、スミレ科スミレ属)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山脈、羊蹄山に分布し、高山の礫地に生育する。


前を歩いている二人も風で歩きにくそうだった。


・イワウメ(岩梅、Diapensia lapponica L. var. obovata、イワウメ科イワウメ属の常緑の小低木)
日本では北海道から本州中部にかけての高山帯に分布し、岩礫地や岩壁に張り付くように生育する。


時折ガスの切れ間から噴火口跡の景色が見えた。


10時39分、間宮岳分岐に到着。ザックを下ろして空荷で間宮岳へ向かった。2分ほどで間宮岳に到着した。標柱がないとどこが山頂か分からない。


すると奇跡的に数分の間、御鉢平カルデラのガスが晴れて、黒岳(標高1984m)の雄姿を観ることができた。


間宮岳分岐にに戻り、荒井岳(標高2183m)、松田岳(同2136m)を通り、北海岳(同2149m)を目指す。


・クモマユキノシタ(別名ヒメヤマハナソウ、雲間雪の下、Saxifraga laciniata、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山地に分布し、高山の湿った礫地に生育する。


・イワヒゲ




・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


・イワブクロ(別名タルマイソウ、岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)
北海道から東北地方の高山帯に分布する。火山系の山の岩場や砂礫地に多い。




北海岳に向かって、最後の登りを頑張る。嬉しいことにガスが晴れてきた。


11時36分、北海岳に到着し、ザックを下ろして昼食を摂った。白雲岳避難小屋までは3.5kmだ。
 

ガスが晴れてきたので、山々が見渡せた。
烏帽子岳(標高2072m)のようだ。


右が黒岳(標高1984m)、左が桂月岳(同1938m)のようだ。大雪山には2000m級の山が立ち並んでいる。


北海岳から白雲岳に向かう道はお花畑が続いていた。表大雪でも有数の規模のお花畑のようだ。




・イワブクロ


・イワヒゲ


・エゾツツジの蕾(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)
日本では本州北部(早池峰山・岩手山・秋田駒ヶ岳)と北海道の高山に分布する。高山の過酷な環境のため、高さ10~30cm程度にしかならない。


・キバナシャクナゲ


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道に分布する。高山の湿った所に生育する。


チングルマの群落が続いていた。


・ヒメイワタデ(姫岩蓼、Pleuropteropyrum ajanense、タデ科オンタデ属の多年草)


・キバナシオガマ( 黄花塩竃、Pedicularis oederi var. heteroglossa、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
日本では北海道の大雪山系と空知のみに分布する。高山の乾いた草地に生える。




・エゾオヤマノエンドウ(蝦夷御山の豌豆、Oxytropis japonica var. sericea、マメ科オヤマノエンドウ属の多年草)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
北海道と本州の飯豊山以北の東北地方に分布する。花序は長く、細毛を密生し、花は7~12段つく。花冠と萼との境で背軸側に曲がる。


晴れていたら白雲岳(標高2230m)に登頂するつもりだったが、厚い雲がかかっていたので避難小屋の方へ直接向かった。

途中に観たエゾノツガザクラの大群落も見事だった。


岩場にはキバナシャクナゲが群生していた。


・キバナシャクナゲ


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
北海道から東北地方北部の高山帯に分布する。ハクサンイチゲとの違いは、葉の幅が広く先端がとがらない。




・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)
北海道から東北地方北部の亜高山帯に分布する高山植物。大雪山などでは登山道から大群落が見られる。


・チシマノキンバイソウ(千島の金梅草、Trollius riederianus、キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草)
北海道から中部地方以北の高山帯に生える高山植物。雪渓が溶けたあとの湿った草原に生える。






白雲岳避難小屋が見えてきた。あと少しの頑張りだ。


・ミヤマバイケイソウの蕾(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)


もう少しで避難小屋に到着だ。


・トカチフウロ(十勝風露、 Geranium erianthum f. pallescens、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
チシマフウロの1品種で、主として大雪山系および日高山脈に見られる。母種のチシマフウロとの相違点は花色が淡い点にあり、チシマフウロの淡紅紫色に対して、トカチフウロでは淡青紫色である。




・ミヤマアズマギク(深山東菊、 Erigeron thunbergii subsp. glabratus、キク科ムカシヨモギ属の多年草)
日本の北海道から中部地方以北に分布し、高山帯の乾いた礫地や草地に生える。


白雲岳避難小屋のキャンプ指定地に13時43分に到着した。テントを張り終わるとしばらくして雨が降り始めた。日が暮れてから雨が強くなり、嵐のようになった。
この日から4日間、天気予報では晴れだったので、軽量化のためテント(1.9kg)ではなくツェルト(0.8kg)にしようかとも思ったが、テントを持参して良かったと思った。
雨は翌朝に上がった。翌日雨の中を歩くことはなかったが、濡れたテントの所為で荷物がいっそう重くなったのは仕方ないことだった。

この日は避難小屋が満杯で、まるでイワシの缶詰のような状態だった。テント場も混雑していたが夕刻に到着した人でもテントを張れたようだった。

1日目に歩いた距離は10.7km、累積標高差は登りが1032m・下りが640mで、歩行時間は途中休憩(42分)を含めて6時間50分だった。
表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳) に続く。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その①(姿見駅→旭岳)

2024-07-24 05:30:00 | 山行・旅行
7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


全行程は44.7km、累積標高差は登りが2526m・下りが3481mで、歩行時間は途中休憩を含めて31時間あまり(宿泊地到着後の時間は含まず)となった。全行程が単独でのテント泊のため荷物が重く、タフな山行だった。撮影した写真は、高山植物を中心に800枚あまりとなった。それらの中から選りすぐったものを、撮影順にご覧いただきたいと思う。

大雪山旭岳ロープウェイの姿見駅を6時48分に出発した。天候は曇りで駅を出ると正面に旭岳が望めた。窪地に雪が残っていた。
 

姿見駅を出るとすぐにお花畑が広がっているのが嬉しい。先ずは夫婦池を経由して、姿見の池に向かった。


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
日本では東北地方以北に分布し、高山帯の適度に湿り気のある岩場や草地に群生する。


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)


・ウラジロナナカマド(裏白七竃、Sorbus matsumurana、バラ科ナナカマド属の落葉低木)


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


・ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草、Solidago virgaurea subsp. leiocarpa、キク科アキノキリンソウ属の多年草)


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道に分布する。高山の湿った所に生育する。




・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


地獄谷から絶えず噴煙が上がっていたが、風向きの関係で匂いはしなかった。
 

7時22分、姿見の池で旭岳を眺めながら朝食を摂った。


ここまでは遊歩道だが、この先はいよいよ登山道に入る。旭岳には5年前に登っていて、砂礫が多い登山道のことはよく覚えていた。


この先は咲いている花が少なく、ペースを一定にしてゆっくり黙々と登った。六合目までで観られた花はキジムシロの仲間のこの花だけだった。自信がないがエチゴキジムシロのように思えた。
(モウズイカさんよりエチゴキジムシロは大雪山にはないとのご指摘がありました。そこでメアカンキンバイに訂正しました。)
・メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、Sibbaldia miyabei、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)
北海道の硫黄山、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、大雪山系、羊蹄山に分布し、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する。北海道以外では千島列島に分布する。


8時2分に六合目に着き、振り返るとまだ姿見駅が見えていた。
 

その後ガスが濃くなってきた。風はそれほど吹いていなかった。8時21分に七合目を通過し、8時43分に八合目に着いた。ここで雨具を着用した。
 

9時8分に九合目に到着した。近くにイワツメクサに似た花が咲いていた。自信はないが生育場所からエゾイワツメクサと思われた(イワツメクサは本州に分布。オオイワツメクサは北海道の日高山系、夕張山系に分布)。


・エゾイワツメクサ(蝦夷岩爪草、 Stellaria pterosperma、ナデシコ科ハコベ属の多年草)
北海道の大雪山系に分布し、高山帯の砂礫地などに生育する。


9時26分に旭岳山頂(標高2291m)に到着した。ガスで展望は全くなかった。十数人が休んでいたように見えたが、ここでは休まず先へ進むことにした。
 

標識とGPSを照合して、慎重に進むべき道を確認した。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋) に続く。
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その④・最終回)

2024-07-04 05:30:20 | 山行・旅行
この記事は『四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その③)』の続きです。

(地図をクリックすると大きくなります。)


昼食が終わり一息ついたところで、ザックにコンロや水筒などを仕舞い、立ち上がった。
今度は頭をぶつけるようなものはない。ゴミを落としていないことを確かめて歩き出した。

地図でお分かりのようにここから数百mの間は急坂が続く。岩や木の枝をつかみながら慎重に下った。
途中ツマトリソウ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、イワカガミを観たが、ほとんど写真を撮る余裕はなかった。
・ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)


・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)


あらかた下り終わった所で、根子岳がきれいに見えていた。


ここが鞍部の底で、ここから170mほど登る。途中見晴が良さそうなピークが見えた。


そのピーク(地図に2039mの記載がある)まで登って来て休憩した。今回行動食に持ってきたハニーバターアーモンドが美味しかった。


ここで20分あまり休憩して、再び根子岳への登りに取りかかった。
歩き出してしばらくしてクロマメノキが観られた。
・クロマメノキ(黒豆の木、Vaccinium uliginosum var. japonicum、ツツジ科スノキ属の落葉低木)


岩の間にハナニガナが咲いていた。
・ハナニガナ(花苦菜、、Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia、キク科ニガナ属の多年草)
日本全国に分布する。茎の高さは40~70cmほどになり、茎葉は茎を抱く。茎の上部で枝分かれし、多数の頭花をつける。花期は5〜7月。頭花は舌状花だけで構成されており、ニガナの小花が5個であるのに対し、7~11個程度ある。シロバナニガナ(白花苦菜、Ixeris dentata var. albiflora)の花が黄色のものをいう。


11時53分に根子岳山頂に到着した。四阿山が少し遠くなっていた。


根子岳の山頂は広く、西を向いて祠が建っていた。


遠足で来ていた50人ほどの小学生が、ばらばらに座って食事を摂っていた。
深田久弥氏は「日本百名山」の中で根子岳についても記しているので、引用しよう。
「菅平へ雲集するスキーヤーで根子岳へ登る人は多いが、四阿山まで足を伸ばす人は千人に一人くらいしかいないという。根子岳なんて四阿山の附録みたいなものである。私たちは附録では満足できない」。
ずいぶんひどい書き方である。

50人ほどの小学生の一行が、そろそろ出発しそうだった。彼らが下りる前に行った方がよいだろうと、先へ進んだ。
先に書いたとおり、根子岳は田中澄江氏が選んだ「花の百名山」の一つである。登山道脇にたくさんの花が観られた。しかしそれらは四阿山で観たものと同じだった。
レンゲツツジも多く観られた。
・レンゲツツジ(蓮華躑躅、Rhododendron molle subsp. japonicum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)




菅平牧場まで下ってきた。


振り返って観る根子岳は、確かにスキーで登るのに良さそうな山に見えた。


ここまで下るとこれまで観た花とは違った花も観られるようになってきた。お花の写真を撮りながら、ゆっくりと下山した。
・ウツボグサ(靫草・空穂草、Prunella vulgaris subsp. asiatica、シソ科ウツボグサ属の多年草)




・グンバイヅル(軍配蔓、Veronica onoei、オオバコ科クワガタソウ属の多年草)




・ハクサンフウロ(白山風露、Geranium yesoense var. nipponicum、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)


・アヤメ(菖蒲、文目、綾目、Iris sanguinea、アヤメ科アヤメ属の多年草)


・オオヤマフスマ(大山衾、Arenaria lateriflora、ナデシコ科ノミノツヅリ属の多年草)
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の夏緑樹林内、その林縁または草原に生育する。
茎は細く、高さ10~20cmになり、単一または多少分枝し、下向きの細く短い毛が生える。葉は対生し、葉身は広楕円形から倒披針形で、長さ1~3cm、幅3~10mmになり、先端は鈍頭から円頭で、縁は全縁となり、葉柄は無い。葉の両面に毛が生え、縁と裏面の葉脈上の毛が著しい。
花期は6~8月。花の径は約1cm、1~3個が茎先または葉腋につき、花柄は細く下向きの短毛が生える。萼片は5個、卵形になり長さは2~3mm、背面の中肋に毛が生える。花弁は白色で5個、長倒卵形で長さ5~8mmになり、萼片の2倍の長さとなる。雄蕊は10個あり、花糸の基部に毛がある。子房の上に3個の花柱がある。


13時13分にスタート地点と同じ、菅平牧場の駐車場に戻って来た。牧場で新鮮な牛乳を飲んで帰路についた。

合計時間:7時間6分(うち休憩:1時間19分)、距離:9.6km、累計標高差:974m。

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(完)
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その③)

2024-07-03 05:30:04 | 山行・旅行
この記事は『四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その②)』の続きです。

(地図をクリックすると大きくなります。)


中四阿を過ぎると、しばらくオオシラビソの間の道を歩き、やがて新旧二つの道標を見た。
 

地図を照らすと南へ進む道がここで分岐していた。
これまで観られなかったイワカガミ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナが観られるようになった。中でも岩の間に咲いていたゴゼンタチバナがきれいだった。
・イワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の多年草)


・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)




分岐点の標高は2215mほどあり、既に根子岳(標高2207m)の高さを越えていた。眼下に根子岳の緩やかな尾根が見えていた。


さらに15分ほど歩くと根子岳との分岐に着いた。
 

分岐の近くにもたくさんの花が咲いていた。
・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idae、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)




・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)


・イワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の多年草)




ここまで来ると山頂は近い。
あとは深田久弥氏が言う「乳首のような頂上」に向けて「最後の一頑張り」をするだけだった。
5年前に来た時はこの辺りから雪が深くなり、ワカンを装着した。しかし夏道では木段になっているとは意外だった。

木段の途中に右への分岐があり、標柱が立っていた。登る際には見えたのは「植生復元作業をしています。木道から外れた所に踏み込まないで下さい」の表示だったが、下りの際に見ると「鳥居峠7.2km」と記されていた。
この道は「ぐんま県境稜線トレイル」に指定されている、100kmものロングトレイルの一部である。いずれ歩いてみたい道である。
 

さて最後の一頑張りを終えて、9時22分に四阿山の山頂に立った。
手前に信州祠、奥に上州祠の二つの祠があり、その間に山頂の標柱が立っていた。
 

四阿山の名前の由来だが、「日本百名山」には二つの由来が書かれている。
一つは「日本武尊が東征からの帰り、鳥居峠の上に立って東を振り返り、弟橘姫を偲んで「吾妻はや」と嘆かれた。そこで峠のすぐ北にそびえる山を吾妻山と名づけた、と言われる。(中略)上州の吾妻山は信州では四阿山と呼ばれる」。
もう一つは「山の形があずまや(四方の柱だけで、壁がなく、四方葺きおろし屋根の小屋。庭園などの休憩所とする)の屋根に似ているところから、その名が由来したと言われる」と書いている。

天候は下り坂で、先ほどまで見えたいた北アルプスはおろか、戸隠や志賀高原の山々すら見えなくなっていた。
山頂付近ではクロマメノキ、マイヅルソウ、イワカガミ、ツマトリソウが観られた。もう一つたくさん咲いていたのがこの花だった。
・セイヨウタンポポ(西洋蒲公英、、キク科タンポポ属の多年草)
総苞外片は色が淡く、つぼみの時に下方へ反り返る(在来タンポポ類では反り返らない)。


山頂に10分ほどいて、根子岳との分岐まで下って昼食を摂った。この日は保温水筒に入れてきたお湯をガスコンロで沸かして、カップ麺を食べた。
休んでいる間に何組かのハイカーが通過していったが、根子岳から登ってきた人は、概ね疲れた顔に見えた。
先に述べたように、根子岳との間には大隙間(大隙間爆裂火口)と言われる鞍部がある。ここから240mほど下り、170mほど登り直さなければならない。
さあ、頑張ろう。

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その④)に続く。
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その②)

2024-07-02 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は『四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その①)』の続きです。

(地図をクリックすると大きくなります。)


標高が1918mある小四阿を過ぎると、道は陽当りのよい尾根歩きとなり、レンゲツツジの他に見慣れた植物がいくつも観られ出した。
・レンゲツツジ(蓮華躑躅、Rhododendron molle subsp. japonicum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)




・ニシキウツギ(二色卯木、Weigela decora、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)
日本の本州の宮城県以南、四国、九州に分布し、主に太平洋側の山地に多く見られ、日本海側にはない。山地の明るい場所に生える。
花期は5~6月。枝の先端か葉腋に1~3個の花を散房状につける。1本の木に白色とピンク色の2色の花を咲かせる時期があるが、これは咲き始めが白色で、徐々にピンクや紅色へと変化するためである。


・ハクサンチドリ(白山千鳥、Dactylorhiza aristata、ラン科ハクサンチドリ属の多年草)




・ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)


・ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草、Pyrola asarifolia subsp. incarnata 、ツツジ科イチヤクソウ属の常緑多年草)




・クロウスゴ(黒臼子、 Vaccinium ovalifolium、ツツジ科スノキ属の落葉低木)


途中に見た標識に「四阿高原へ」とあったが、分岐には気づかなかった。また地図にもそのような道は載っておらず不思議だった。
帰宅後調べたら、四阿高原は地図に「真田町長(おさ)別荘地」と記されている辺りのようだった。


・ミヤマニガイチゴ(深山苦苺、Rubus subcrataegifolius、バラ科キイチゴ属の落葉低木)
日本特産で、北海道から本州の近畿地方の山地や高山に分布する。
茎は高さ1mに達し、茎や枝は無毛であるが、全体に小さな刺がまばらにある。葉は長さ3~8cmの葉柄をもって互生する。葉は単葉で3裂するが、しない場合もある。葉身は長卵形で長さ4~10cm、中央の裂片は大きく長く、先端はとがり、基部は切形または心形で、縁は重鋸歯になる。葉の裏面は粉白色を帯び、葉脈と葉柄に刺がある。
花期は5~6月。前年枝の葉脈から長さ7~10cmの花枝を出し、3~4個の小さな葉をつけ、1~4個の花をつける。花は径~2.5cmになる白色の5弁花で、長さ1~4cmの小花柄がある。果実は径1~1.5cmの球形になって赤色に熟す。




8時17分に中四阿に到着した。
先ほどから何度か標柱にあった「ダボス牧場」だが、地図に載っていない地名だった。帰宅後調べたら「有限会社 ダボス牧場」は、市場に流通していない短角牛などの希少な種類の肉牛を育てている牧場らしい。「四阿高原」もそうだが、標柱に記す地名は、地理院地図にあるものを使って欲しいものだ。
ここまで来て、ようやく四阿山の山頂が見えた。
 

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その③)に続く。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その①)

2024-07-01 16:26:40 | 山行・旅行
6月27日、梅雨の晴れ間を見計らって、四阿山と根子岳の周回コースを歩いてきた。
四阿山は、長野県と群馬県の県境をなす志賀高原から続く火山帯の中の標高2354mの山で、浅間山 (標高2568m) に次ぐ標高がある。
一方、根子岳は四阿山の西に位置し、標高が2207mで四阿山より150mほど低い。

四阿山は深田久弥氏が選んだ「日本百名山」の一つである。深田氏は著書「日本百名山」の中で「菅平へスキーに行った人は、正面にそびえた二つの山をおぼえているだろう。四阿山と根子岳。あれがなかったら菅平の値打ちはなくなる」と書いている。
一方、根子岳は田中澄江氏が選んだ「花の百名山」の一つである。同氏が新たに選定し直した「新・花の百名山」には選ばれていない。

四阿山と根子岳の間には、大隙間(大隙間爆裂火口)と言われる鞍部がある。そこから四阿山へ上がる道は急登で、そのため今回は四阿山から根子岳へ回る反時計回りのルートを選んだ。


それでは歩いた順にご覧いただこう。
スタートは登山口に近い菅平牧場の駐車場である。そこを6時6分に出発した。登山届はオンラインで提出していた。ここは既に標高が1590mあるので、山頂までの標高差は760mほどだ。
 

実は5年前の積雪期に四阿山を歩いている。その時はもっと下から歩いた。また冬道では牧場の中を長い時間歩いた。
 

しかし今回歩いた夏道は牧場の柵の外側に付けられていた。「四阿山登山口 中四阿経由」と書かれた所から車道を離れて登山道に入る。しばらくは牧場の景色が見えているが、やがて沢沿いの山道となる。
 

15分ほど歩いて暑くなったので長袖の上着を脱いだ。
ここまで観た花をまとめておこう。といっても牧場近くでたくさん咲いていたアヤメと、沢沿いの道で観たクリンソウの2種だけだ。
・アヤメ(菖蒲、文目、綾目、Iris sanguinea、アヤメ科アヤメ属の多年草)


・クリンソウ(九輪草、Primula japonica、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道、本州、四国の山間地の比較的湿潤な場所に生育し、せせらぎや渓谷の湿地などに時に群生する。高さ30~90cmほどになり、日本に自生するサクラソウ科の植物のなかでは最も大型である。


道はやがて沢を離れて森の中に入っていくが、道幅が広く歩きやすい。花の数は少ないが、クルマムグラとヤマオダマキ、そして名前が不明な白い草花を見つけた。
名前が分からない植物は、図鑑で調べてヤマクワガタかグンバイヅルのように思われたが、結局自信がなくて教えてgooのお世話になった。
 

・クルマムグラ(車葎、Galium japonicum、アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属の多年草)


・ヤマオダマキ(山苧環、Aquilegia buergeriana 、キンポウゲ科オダマキ属の多年草)


・グンバイヅル(軍配蔓、Veronica onoei、オオバコ科クワガタソウ属の多年草)
日本固有種。本州(群馬県、長野県)の浅間山付近、四阿山、志賀高原、美ヶ原などの限られた場所に分布し、高地の日当たりのよい礫地に生育する。
茎は地面を這って長く伸び、節からひげ根を出して広がる。葉はつる状の茎に対生して2列にならび、葉身は円形または広楕円形で長さ13~25mm、幅8~25mm、先端は円く、鋸歯は細かな円頭または鈍頭で、葉柄はごく短い。葉質はやや厚く、表面につやがある。
花期は7~8月。地面をはった茎の葉腋から長さ6~13cmになる花序が直立し、やや密に多数の花をつける。


標高が1700mを越えると、お目当てのレンゲツツジがたくさん観られた。標高が低いところでは花が終わっていたが、高くなるにつれて蕾も観られた。
・レンゲツツジ(蓮華躑躅、Rhododendron molle subsp. japonicum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)
日本の北海道南西部から、本州、四国、九州まで分布する。高原などに生え、日当たりのよい草原や湿地にしばしば群生する。
高さ1~2mになる。株立ちして、よく枝分かれして、こんもり茂る。樹皮は灰褐色から茶褐色をしていて、浅い縦筋が入る。成木になると樹皮は薄く剥がれるようになる。葉は互生し、長さ5~10cmの倒披針形をしている。
花期は4~6月。落葉性のツツジの仲間で、新葉が出てくると同時に花が咲く。前年枝の先に短い総状花序を出して、2~8個の花をつける。花は直径5~6cmほどのロート状。雄しべは5個。花糸の下半部に短い開出毛が密生する。花柱の下半部に短毛があり、子房に長毛が密生する。全体に有毒成分をもつ。




さらに標高が1700mを越えた辺りから、ベニバナイチヤクソウが観られ出した。この花は標高2000m付近まで観られた。
・ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草、Pyrola asarifolia subsp. incarnata 、ツツジ科イチヤクソウ属の常緑多年草。
葉に長さ3~5cmの葉柄があり、葉身は円形または卵状楕円形で、長さ3~4.5cm、幅2~3.5cmになる。葉の先端は円く、基部は円いか、やや心形になり、縁には目立たない細かな鋸歯がある。
花期は6~8月上旬。葉の間から長さ15~25cmになる花茎を伸ばし、総状花序をつけ、8~15個の花がつく。花茎は赤みを帯び、1~3枚の広披針形の鱗片葉がある。苞は狭長楕円形で先は急に短くとがる。萼片は5個で離生し、狭卵形で、長さは幅の2倍になり、長さ2~3mm、幅1~1.5mmになる。花は桃色から濃桃色、花弁は5個あり離生して径約13mmの広鐘形になり、下向きに咲く。花柱は湾曲し、長さ6~8mmになり柱頭は小さく5裂する。


標高が1918mある小四阿に近づくと西側に展望が開けて、北アルプスの山々がよく見えた。5年前にしっかり見ていたので、望遠レンズを付けて撮るのは止めた。




また小さな花をつけた樹々もたくさん観られるようになってきた。
・クロマメノキ(黒豆の木、Vaccinium uliginosum var. japonicum、ツツジ科スノキ属の落葉低木)


・ミヤマヤナギ(別名ミネヤナギ;深山柳、Salix reinii、ヤナギ科ヤナギ属の落葉高木)


小四阿の標柱の脇に平たい石があったので、そこに腰かけてパンを食べた。20分ほど休み着替えもして、さあ出発と立ち上がる際、思い切り頭を標柱にぶつけた。


四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その②)に続く。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蔵王山ハイキング

2024-06-24 05:30:18 | 山行・旅行


40数年ぶりに蔵王山を歩いて来た。古い写真が残っているが、自分でどこをどう歩いたか記憶がない。そこでもう一度歩いておこうというのが動機だった。
出かけたのは6月22日で、この日は関東や北陸が梅雨入りしたものの、東北は晴れていて絶好の登山日和となった。

初めに蔵王山について簡単におさらいしておこう。蔵王山(蔵王連峰)は東北地方の中央部を南北に連ねる奥羽山脈の中にあり、深田久弥氏が選んだ日本百名山の一つである。主峰の熊野岳は標高1841mの活火山だが、山容はなだらかで威厳は感じられない(写真上)。むしろエメラルドグリーンの水をたたえた火山湖の御釜が、蔵王連峰のシンボルとなっている。40数年前に御釜の脇を歩いた写真が残っている。しかし今は危険なため立入りできないようだ。


一方蔵王山自体へのアクセスは容易だ。宮城・山形の両県をまたぐ県道12号(蔵王エコーライン)と有料道路の蔵王ハイラインを使えば、標高1720mにあるレストハウスまで車で行くことができる。レストハウスから刈田岳(標高1758m)は目と鼻の先だ。刈田岳から熊野岳へは緩やかな登山道を1時間ほど歩けばよい。恐らく日本百名山の中で、もっとも登りやすい山の一つではなかろうか。

今回は蔵王エコーラインの刈田峠(標高1598m)駐車場から歩き出した。登りは早朝で運転開始前の登山リフトに沿って歩き、下山はほぼ平行して敷かれている登山道を歩いた。


本記事ではshuの花日記らしく、見かけた花を中心に記事をまとめてみた。
1.刈田峠駐車場で観た花(標高1590m付近)
名前が分からないキク科の植物。花径が4~5cmの大型の花をつけていた。蔵王エコーライン沿道にたくさん観られた。


ハクサンチドリ(白山千鳥、Dactylorhiza aristata、ラン科ハクサンチドリ属の多年草)。駐車場付近にたくさん観られた。




ノビネチドリ(延根千鳥、Neolindleya camtschatica、ラン科ノビネチドリ属の多年草)。ハクサンチドリに比べて数は少なかった。


アブラナ科の植物だが、名前が分からなかった。(山歩きさんからヤマガラシを示唆いただきました。)


ナナカマド(七竈、Sorbus commixta、バラ科の落葉小高木または高木)。


2.刈田峠駐車場~刈田岳で観た花(標高1600~1700m)
ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)。


マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)。


ミヤマオダマキ(深山苧環、Aquilegia flabellata var. pumila、キンポウゲ科オダマキ属の多年草)。


ハクサンチドリ(白山千鳥、Dactylorhiza aristata、ラン科ハクサンチドリ属の多年草)。


ウラジロヨウラク(裏白瓔珞、Rhododendron multiflorum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)。


タニウツギ(谷空木、Weigela hortensis、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)。


ナナカマド(七竈、Sorbus commixta、バラ科の落葉小高木または高木)。


イワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の常緑の多年草)。


(左)刈田岳から御釜と熊野岳を眺める。(右)刈田岳山頂付近で観た鳥。
 

3.馬の背~熊野岳周辺で観た花
マルバシモツケ(丸葉下野、Spiraea betulifolia、バラ科シモツケ属の落葉低木)。


ウラジロヨウラク(裏白瓔珞、Rhododendron multiflorum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)。


イワオトギリ(岩弟切、Hypericum kamtschaticum var. hondoense、オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草)。


オノエラン(尾上蘭、Galearis fauriei 、ラン科カモメラン属の多年草)。




イワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の常緑の多年草)。


アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)。


ミネズオウ(峰蘇芳、、ツツジ科ミネズオウ属の常緑小低木)。


コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)。
ロバの耳コースの熊野岳避難小屋から馬の背にかけて、多く観られた。




(左)幅広い馬の背。(右)熊野岳山頂。
 

4.蔵王エコーライン沿線(標高1000~1500m)で観た花
タニウツギ(谷空木、Weigela hortensis、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)。


アズマギク(東菊、Erigeron thunbergii 、キク科ムカシヨモギ属の多年草)。
本州の中部以北の山地の草原に分布する。茎の高さは20〜30cm程度で、群生する。花期は4〜6月。


オニアザミ(鬼薊、Cirsium borealinipponense、キク科アザミ属の多年草)。
北陸から東北にかけての日本海側の山地の草原に見られる。茎の高さは1m程であり、葉は深く裂け、縁にあるとげは鋭い。花期は6-9月で、下向きに数個の花をつける。花(頭状花序)は筒状花のみで構成されており、花の色は紫色である。




ハナニガナ(花苦菜、Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia、キク科ニガナ属の多年草)。ニガナの品種。
日本全国に分布する。茎の高さは40~70cmほどになり、茎葉は茎を抱く。茎の上部で枝分かれし、多数の頭花をつける。花期は5〜7月。


サルナシ(猿梨、Actinidia arguta、マタタビ科マタタビ属のつる性落葉樹)かもしれない。
サルナシは日本では北海道、本州、四国、九州に分布するが、北海道や東北地方に多い。


撮影:2024/06/22
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング(その③ 仙ノ倉山~平標山~平標山の家~登山口)

2024-06-15 05:30:00 | 山行・旅行
6月8日に群馬・新潟県境にある平標山(たいらっぴょうやま、標高1984m)・仙ノ倉山(せんのくらやま、同2026m)を歩いてきた。
その③では帰路に観た花を中心にご覧いただきたいと思う。

(地図はクリックすると大きくなります。)


ではその②からの続きで、仙ノ倉山の山頂からスタートしよう。
仙ノ倉山(標高2026m)は谷川連峰の最高峰で、山頂から360°の眺めが楽しめる。広い山頂はハイマツ等の低木に囲まれていて、人々が低木に向き合ったり、あるいは低木を背にしたりして、輪を描くように座っていた。
ちょうど一人が立ち上がったので、空いたスペースに腰を下ろした。低木越しに谷川岳(標高1977m)が見えていた。谷川岳と重なって手前に見える山は万太郎山(同1954m)で、いずれも昨年の今ごろに縦走してきた峰々だ。


山頂でパンを一つ食べて10分ほど休み、次のハイカーのために場所を空けた。
仙ノ倉山の山頂から前仙ノ倉山を見る景色も、雄大で素晴しかった。帰路は平標山までは同じ道を通るので、再びお花畑が楽しめる。


前仙ノ倉山に向かう途中にタカネザクラ(別名ミネザクラ;高嶺桜、Cerasus nipponica、バラ科サクラ属の落葉小高木または低木)がまだ咲き残っていた。


前仙ノ倉山に向かう稜線はなだらかで、好きなところだ。一方風が吹くと避けようがないので、怖い気もする。勿論この日はそんな心配は皆無だった。


前仙ノ倉山の標識は、先ほどは団体さんがつかえていて撮れなかったが、帰路は誰もいなかったのでゆっくり撮れた。この標識がないとここが山頂だと気づかないかもしれない。


前仙ノ倉山を過ぎ、右カーブにかかるところから平標山がよく見えた。山頂は広いが、山全体を見るとかなりの傾斜があり、均衡の取れたきれいな山容だ。


赤い標識はマツダランプと呼ばれている。谷川岳の肩ノ小屋から1kmごとに設置されていて、ここまでの距離は10kmとなっていた。付近にアズマシャクナゲやタカネザクラが咲いていた。


ムシカリ(別名オオカメノキ;虫刈、Viburnum furcatum、ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または落葉小高木)も近くで観られた。この山にはそれほど多くないように思う。


登山道脇にミツバオウレンが群生していた。登りでも気づいていたが、団体さんの後に続いていたので撮らなかった花だ。




開き初めで紅色が濃いアズマシャクナゲ。


チングルマ。




ミツバオウレンの群落。


ハクサンイチゲの群落。


ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、エチゴキジムシロの群落。


エチゴキジムシロ。




ハクサンイチゲ。


ハクサンコザクラ。


ミネズオウ(峰蘇芳、Loiseleuria procumbens、ツツジ科ミネズオウ属の常緑小低木)。




ハクサンイチゲの蕾。




この花は名前が分からなかった。帰って調べたらクロミノウグイスカグラ(別名ハスカップ;黒実鶯神楽、 Lonicera caerulea var. emphyllocalyx、スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木)のようだった。
クロミノウグイスカグラは、日本では北海道を中心に、本州でも中部以北の高山に自生し、北海道では檜山・留萌を除く各地に自生する。本州以南では岩手県の早池峰山、栃木県の戦場ヶ原など、標高の高い地域に自生する。


お花畑でたくさん写真を撮り、最後は木段をゆっくり登って平標山の山頂に戻ってきた。時間は11時30分になっていて、山頂は先ほど来た時以上に混雑していた。
山頂を通り過ぎ、左へ折れて平標山の家の方へ向かった。

数百メートル歩くと左に10人ほどが座れるベンチ群がある。これまでもここで休んでいた。奥に空きがあったので座り、ミックスナッツとドライフルーツを食べた。休んでいる間は靴を脱ぎ乾かすようにしている。そうすることで足指先への負担が軽くなる。15分ほど休んで出発した。

平標山の山頂から平標山の家までは、一直線の下りだ。大半が木段なので歩きやすい。
 

その木段の脇に小さな青い花を見つけた。通りかかった人がハルリンドウだと教えてくれた。
ハルリンドウの茎葉は少し横に開いているが、タテヤマリンドウの茎葉は開かず茎を抱く。上から観たらよく分からなかった。
帰ってからネットで検索したら、平標山で観られるのはタテヤマリンドウ(立山竜胆、Gentiana thunbergii var. minor 、リンドウ科リンドウ属の越年草)のようだった。




少し進んだところにイワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)も観られた。


イワカガミはたくさん観られたが、この花がきれいだったので撮った。


こちらはワタスゲ(綿菅、Eriophorum vaginatum、カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草)だろうか。




ぽつんとムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅、 Rhododendron albrechtii、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)が咲いていた。


こちらは標高が高いところで観たものとやや違うように見えるが、やはりエチゴキジムシロのようだ。


12時22分に平標山の家のテント場に着いた。山の家で水筒に水を補給した。


山の家の分岐を南進すると三国峠に達する。いずれ歩いてみたい道だが、クマの心配があるので一人で行く気にはなれない。
分岐を右折して登山口に向かった。

標高が1500m過ぎまで下ると樹林帯となり、エゾハルゼミの大合唱の中に入った。3年前にショウキランに出会ったので慎重に観ながら歩いたものの、成果はなかった。


樹林帯で観た花を最後に上げておこう。
ミヤマニガイチゴ(深山苦苺、 Rubus subcrataegifolius、バラ科キイチゴ属の落葉低木)。


ズダヤクシュ(喘息薬種、Tiarella polyphylla 、ユキノシタ科ズダヤクシュ属の多年草)。


ツクバネソウ(衝羽根草、Paris tetraphylla A.Gray 、シュロソウ科ツクバネソウ属の多年草)。




13時16分に林道に面した登山口に到着した。


最後はひたすら林道を歩いて駐車場まで戻った。今日も無事に山を歩けたことに感謝したい。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング (完)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング(その② 松手山~平標山~仙ノ倉山)

2024-06-14 05:30:00 | 山行・旅行
6月8日に群馬・新潟県境にある平標山(たいらっぴょうやま、標高1984m)・仙ノ倉山(せんのくらやま、同2026m)を歩いてきた。
その②では、平標山から前仙ノ倉山にかけての鞍部に広がるお花畑に咲いている花々を中心に、花いっぱいの様子をご覧いただきたい。

(地図はクリックすると大きくなります。)


では、その①の続きから始めることとしよう。
松手山の山頂を示す標柱のすぐ後に、その花は咲いていた。


シャクナゲ、それも驚いたことにハクサンシャクナゲ(白山石楠花、Rhododendron brachycarpum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)だった。


平標山を含めて谷川連峰ではシャクナゲが有名だが、そのシャクナゲはアズマシャクナゲだ。アズマシャクナゲについては、この記事の後半にいくつか写真でご覧いただくつもりだ。昨年谷川主脈を縦走した際には、峰々でアズマシャクナゲを観てきた。
しかしここで咲いていたのは、明らかにハクサンシャクナゲだ。

アズマシャクナゲとハクサンシャクナゲを比較して観ておこう。
アズマシャクナゲは、本州東北地方の岩手県・宮城県・山形県以南、関東地方、中部地方の長野県・静岡県までの範囲に分布し、亜高山帯の林内、稜線上などに自生する。一方ハクサンシャクナゲは、北海道・本州(中部地方以北)・四国(石鎚山)、および朝鮮半島北部の亜高山帯から一部はハイマツ帯まで分布する。高山の針葉樹林に生える。
アズマシャクナゲの花期は5~6月で、、花冠は直径4~5cmの漏斗形で5裂する。花色は紅紫色で、蕾のうちは色が濃いが、開花するにつれ薄くなる。一方ハクサンシャクナゲの花期は6~8月で、花冠は直径3~4cmの漏斗形で5裂する。 花色は白色から淡紅色で、内側に薄い緑色の斑点がある。
この個体では花冠の内側に緑色の斑点がよく目立っていた。


アカモノもたくさん咲いていて、イワカガミやマイヅルソウも多く観られた。ツマトリソウも咲いていた(写真はイワカガミ)。


標高1680m付近の稜線上に休めそうなところがあったので、そこでザックを下ろし、早めの昼食を摂った。サンドウィッチが美味しかった。
振り返ると歩いてきた道が見え、遠くに苗場山(標高2145m)や佐武流山(同2192m)が見えた。


休憩後は標高1880m付近までいっきに登った。途中黄色いスミレを観た。ナエバキスミレ(苗場黄菫、Viola brevistipulata var. kishidae)のように思えた。


陽当りのよいところにヨツバシオガマ(四葉塩釜、Pedicularis japonica、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)も観られた。ハクサンチドリらしい葉をつけた植物も観られたが、花はまだ咲いていなかった。


標高1880m付近から、お待ちかねのハクサンイチゲ(白山一華、Anemone narcissiflora、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)が出てきた。


今年は霜害も無く、たくさん咲いていて見事だった。


多くのハイカーが足を止めて撮影していた。


標高が1700m付近で花が終わっていたエチゴキジムシロ(越後雉子筵、Potentilla togasii、バラ科キジムシロ属の多年草)が、ここではきれいに咲いていた。


アズマシャクナゲ(東石楠花、Rhododendron degronianum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)も観られるようになってきた。


そして山頂のすぐ手前で、ミツバオウレン(三葉黄蓮、Coptis trifolia、キンポウゲ科オウレン属の多年草)が群生していた。


9時30陣に平標山の山頂に到着した。広い山頂に輪を描くようにして大勢のハイカーが休んでいたが、写真の方向だけは人がいなかった。
標柱の写真だけを撮って、すぐに仙ノ倉山に向かった。


さてここからがお花畑の始まりだ。仙ノ倉山までのコースタイムは、標柱に記された時間だと55分だが、撮影に時間がかさむので、さてどのくらいかかるだろうか?
先ずはエチゴキジムシロ。




続いてハクサンコザクラ(白山小桜、Primula cuneifolia Ledeb. var. hakusanensis、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)とハクサンイチゲのツーショット。背景にエチゴキジムシロ。


エチゴキジムシロ。


チングルマ(稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属またはダイコンソウ属の落葉小低木)。




ハクサンイチゲの群落。蕾が多くあり、まだこれから花数が増えそうだ。


お花畑がずっと続いている。


ハクサンコザクラ。


ハクサンイチゲ。


ハクサンコザクラ。




アズマシャクナゲ。




数百メートル続いた鞍部を抜けて、前仙ノ倉山(標高2021m)に向けて登っていく。先を行く団体さんに追いついてその末尾をずっと歩いた。


足元にもハクサンイチゲ。


前仙ノ倉山付近の稜線から観た南方向の眺め。




10時23分、仙ノ倉山(標高2026m)に到着した。平標山からは53分で、ほぼコースタイム通りだった。
 

『花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング(その③ 仙ノ倉山~平標山~平標山の家~平標登山口)』に続く。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング(その① 登山口~松手山)

2024-06-13 05:30:00 | 山行・旅行
6月8日に群馬・新潟県境にある平標山(たいらっぴょうやま、標高1984m)・仙ノ倉山(せんのくらやま、同2026m)を歩いてきた。
二つの山は花の名山として知られており、女性ハイカーに特に人気が高い。この時期はハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、アズマシャクナゲの群生が見事だ。
この山の登山口は国道17号沿いにあり、新幹線が停まる越後湯沢駅から乗り換えなしのバスの便もあるし、車の場合は関越道の月夜野インターから45分ほどで到着する。そんなことから首都圏からのハイカー(かく言うshuもそうだが)も多いようだ。






この日は平標登山口→松手山→平標山→仙ノ倉山→平標山→平標山の家→平標登山口の順に歩いた。YAMAPのログで、タイム8時間12分(うち休憩1時間23分)、距離13.8km、累計標高差1316mであった。


それでは歩いた順にご覧いただこう。
平標登山口(新潟県湯沢町、標高980m)に着いたのは5時40分で、その時点で国道沿いにある駐車場(200台収容可能)は9割方埋まっていた。係員に誘導されて一番奥のスペースに駐めることができた。6時ちょうどに駐車場を出発した時点では、山際にある臨時駐車場に車が誘導されていた(結局この日は500~600台が駐車していたようだ)。

平標山松手山コースの標柱が出ているところから森の中に入ると、いきなりの急登が続く。このコースはここから標高1410mのところにある鉄塔までの間が一番の急坂だ。何人ものハイカーに追い越されたが気にせずゆっくり登った。
 

道沿いの花は、初めは低山に咲く山野草が観られ、徐々にヤマツツジ、アカモノなどが観られるようになっていった。いくつかをご覧いただこう。

クルマムグラ(車葎、Galium japonicum、アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属の多年草)。


チゴユリ(稚児百合、Disporum smilacinum、イヌサフラン科 チゴユリ属の多年草)。


ヤマツツジ(山躑躅、Rhododendron kaempferi var. kaempferi、ツツジ科ツツジ属の半落葉低木)。


アカモノ(別名イワハゼ;赤物、Gaultheria adenothrix、ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木)。


タニウツギ(谷空木、Weigela hortensis、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)。


長い毛に包まれたこの果実は見慣れないもので、帰ってから調べたらミヤマヤナギ(別名ミネヤナギ;深山柳、Salix reinii、ヤナギ科ヤナギ属の落葉高木)のようだった。


ミヤマヤナギは北海道と本州中部以北に分布し、亜高山帯から高山帯に生える。今回見かけたのはこの個体のみだった。


花期は5~6月、葉の展開と同時に開花する。雌雄別株。果実はさく果、6~7月に成熟、綿毛で包まれた微小な種子をだす。
この個体は雌株なので、近くに雄株もあるのだろう。


1時間10分かけて鉄塔までたどり着いた。ザックからミックスナッツを取り出してお茶とした。ここで10分ほど休んだ。


再びザックを担ぎ歩き出すと足元にカキドオシ(垣通、Glechoma hederacea subsp. grandis、シソ科カキドオシ属の多年草)のような花が咲いていた。
既に標高は1400mを越えていて、亜高山帯に差し掛かろうとしていた。こんな高地にカキドオシが咲くのだろうかと疑問に思った。
 

さらに進むとマイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、 キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)の群落が現れた。


続いてイワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の多年草)が現れた。イワカガミはこの先たくさん観られた。


稜線に出ると景色が広がり、植生は高山帯となった。この辺りではツツジ科の樹木が多いが、花の時期にはまだ2週間ほど早いようだった。
開き始めたばかりのウラジロヨウラク(裏白瓔珞、 Rhododendron multiflorum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)を見つけた。


7時55分に松手山(標高)の頂に到着した。頂は稜線上にあり、標柱が無いと分からないほどだ。ここで二居方面へ下る道と分岐する。
松手山の山頂では4~5人が休んでいて、人が入らないよう標柱のみを撮影した。


その標柱のすぐ側に、意外な花が咲いていた。
続きは『花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング(その② 松手山~平標山~仙ノ倉山)』でご覧願いたい。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その③)

2024-05-30 05:30:27 | 山行・旅行
5月24、25日で尾瀬山ノ鼻にテント泊し、尾瀬ヶ原からアヤメ平にかけてを山を眺め花や鳥を探しながら歩いて来た。
その③では、登山道から観られた動物を取り扱う。

先ずは早朝の尾瀬ヶ原を歩いていて観た鳥から・・
この時期よく見かけるのがこの鳥だ。鳴き声に気づいて探したら藪の中で餌を探していた。






木道の下に潜んでいて飛び出してくることもよくある。
頬が赤いのが特徴だ。
■ホオアカ
Chestnut-eared bunting

スズメ目ホオジロ科ホオジロ属
Emberiza fucata
頬赤/L16cm

しばらく待ったら藪から出て灌木の上に止まってくれた。






続いての鳥も木道周辺でよく見かける。やはり早朝の尾瀬ヶ原で撮影した。




胸のさび色が特徴の一つだが、待ったものの結局こちらを向いてくれなかった。
■ノビタキ
Siberian Stonechat

スズメ目ヒタキ科ノビタキ属
Saxicola torquata
野鶲/L13cm





続いては尾瀬ヶ原周縁の森で見かけた鳥だ。下ノ大堀川がヨッピ川に流れ込む付近の、橋のたもとで撮影した。








周辺を飛んでいる中で、同じ樹に何度も止まっていた。
■コムクドリ
Chestnut-cheeked Starling

スズメ目ムクドリ科ムクドリ属
Sturnus philippensis
小椋鳥/L19cm
コムクドリは夏鳥で、千島列島、サハリン南部、日本で繁殖し、冬季はフィリピン、ボルネオ島北部などに渡りをおこない越冬する。
写真はいずれも♂の成鳥で、♀は褐色味のあるクリーム色をしている。

川辺に下りて餌を採っていた。






続いても同じ場所で見かけた鳥だ。何やら巣材のようなものを咥えていた。


キセキレイだった。
■キセキレイ
Grey Wagtail

スズメ目セキレイ科セキレイ属
Motacilla cinerea
黄鶺鴒/L20cm
キセキレイは山ノ鼻のテント場にも来てくれた。








最後はアヤメ平から鳩待峠へ下る途中、森の中で観た鳥だ。






ご存じのウグイスだ。この日は3羽のウグイスを観ることができたが、近くでは観られなかった。
■ウグイス
Japanese Bush Warbler

スズメ目ウグイス科ウグイス属
Horornis diphone
鶯/L14~16cm
近くではシジュウカラの番も見かけた。嘴に虫を咥えていた。

2日間の散策中に観た鳥は、ホオアカ、ノビタキ、コムクドリ、キセキレイ、ウグイス、シジュウカラ、マガモ、ハシブトガラス、イワツバメ、トビの10種と低調だった。
声を聞いた鳥はカッコウ、ホトトギス、フクロウなどで、ホトトギスは3時頃から盛んに鳴いていたし、フクロウの声は深夜に近くで聞こえていた。

最後となるが、尾瀬で観た動物に、シマヘビも追加しておきたい。素晴しい保護色だと思う。


2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(完)
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その②)

2024-05-29 05:30:23 | 山行・旅行
5月24、25日で尾瀬山ノ鼻にテント泊し、尾瀬ヶ原からアヤメ平にかけてを山を眺め花や鳥を探しながら歩いて来た。
その②では、登山道から観られた植物を取り扱う。

■ムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅、Rhododendron albrechtii、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)
北海道、本州の東北地方および中部地方の日本海側に分布し、山地から亜高山の林縁や疎林内などに生育する。
見かけたのは鳩待峠から山ノ鼻への道中と、竜宮十字路から富士見峠へ向かう山中、それにアヤメ平から鳩待峠へ下る稜線上だった。








■イワナシ(岩梨、Epigaea asiatica、ツツジ科イワナシ属の常緑小低木)
高さが10~15cmほどしか無かったが、これもれっきとした樹木だ。本州の日本海側に分布し、山地から亜高山帯の林縁に生育する。
写真は鳩待峠の近くで撮った。


■ムシカリ(別名オオカメノキ、虫狩、 Viburnum furcatum、ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または落葉小高木)
今回の山行では鳩待峠から山ノ鼻の道中、竜宮十字路から富士見峠への道中で何度か見かけた。写真は鳩待峠から山ノ鼻の道中で撮影した。


■タカネザクラ(別名ミネザクラ、高嶺桜、Cerasus nipponica、バラ科サクラ属の落葉広葉樹の小高木~低木)
尾瀬沼や大江湿原でよく観られるサクラで、今回は山ノ鼻のキャンプサイト付近で見かけた。






■ヒメシャクナゲ(姫石楠花、Andromeda polifolia、ツツジ科ヒメシャクナゲ属の常緑小低木)
尾瀬ヶ原でよく観られる。今回は研究見本園で観たものを撮った。まだ咲き始めたばかりのようだった。
今回観られてとても嬉しかった花のひとつだ。




■ハウチワカエデ(別名メイゲツカエデ、羽団扇楓、Acer japonicum、ムクロジ科カエデ属の落葉小高木または落葉高木)
ブナ林の中にハウチワカエデやナナカマドが混生していた。アヤメ平から鳩待峠へ下る途中で撮影した。






■ミズバショウ( 水芭蕉、Lysichiton camtschatcensis Schott、サトイモ科ミズバショウ属の多年草)
この時期の尾瀬を代表する草花。その①でご覧になったとおり尾瀬ヶ原のあちこちで観られる。
ミズバショウは種を水の流れに沿って流し生育域を沢沿いに広げている。それでは上流域に広がらないのではと思われるだろう。上流域にはクマがミズバショウを食べ、種を排泄することで成育域を広げている。ミズバショウとクマは共生している。










■リュウキンカ(立金花、Caltha palustris var. nipponica、キンポウゲ科リュウキンカ属の多年草)
ミズバショウとともにこの時期の尾瀬を代表する花だ。尾瀬ヶ原の広い範囲で観られた。
写真は研究見本園と竜宮十字路付近で撮影したもの。






■タテヤマリンドウ(立山竜胆、Gentiana thunbergii var. minor、リンドウ科リンドウ属の越年草)
ハルリンドウの高山型変種で、ハルリンドウとの違いは葉の数が少なく、花茎の数も少なく、また花の大きさもやや小さい。
この時期に尾瀬で観られる花の中で、もっとも好きな花の一つだ。










■ショウジョウバカマ(猩々袴、Heloniopsis orientalis 、メランチウム科ショウジョウバカマ属の多年草)
ご存じの通りのスプリング・エフェメラルの仲間である。尾瀬ヶ原では雪解け後にまっ先に咲く花の一つだ。尾瀬ヶ原やアヤメ平、また樹林帯の登山道付近でもたくさん観られた。






■ヒメイチゲ(姫一華、Anemone debilis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
やはり雪解け直後に咲く花の一つだ。樹林帯と湿原の境の緑地で観られることが多い。写真は研究見本園で撮影した。




■ニリンソウ(二輪草、Anemone flaccida、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
筑波山などでは4月中旬に咲くニリンソウだが、尾瀬ヶ原では1ヶ月遅以上く咲く。ここでは咲き始めたばかりだった。スプリング・エフェメラルの仲間。
ニリンソウの葉には葉柄が無く、サンリンソウにはあるので、それで見分けられる。下の写真と比べていただきたい。


■サンリンソウ(三輪草、Anemone stolonifera、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
尾瀬ではニリンソウと混じって咲いているので、気をつけないと間違う。花だけを観ていたら分からない。スプリング・エフェメラルの仲間。


■エンレイソウ(延齢草、Trillium smallii 、シュロソウ科エンレイソウ属の多年草)
樹林帯の登山道脇に複数観られたが、どれも花は終わっていた。スプリング・エフェメラルの仲間。


■ミツバノバイカオウレン(三葉の梅花黄蓮、Coptis trifoliolata、キンポウゲ科オウレン属の多年草)
ミツバオウレンとの違いは茎が褐色なこと。尾瀬ではミツバオウレンが多く、ミツバノバイカオウレンは少ない。研究見本園で見かけた。




■コミヤマカタバミ(小深山片喰、Oxalis acetosella、カタバミ科カタバミ属の多年草)
鳩待峠の近くで見かけた。早朝だったので花は閉じていた。


以前に書いたshuの花日記を見ていて、コミヤマカタバミの花期が6~8月なのに気づいた。するとこの植物はミヤマカタバミかもしれない。
https://blog.goo.ne.jp/shu2702/e/4ad3d0271ad3e5a22fbc4232da5de97a


■スミレの仲間
いくつかのスミレの仲間を観た。黄色いスミレはオオバキスミレのようだ。
「尾瀬植物手帳」にはオオバキスミレの他に以下の種が掲載されている。チシマウスバスミレ、ツボスミレ、ムラサキコマノツメ、ジョウエツキバナノコマノツメ、ミヤマスミレ、オオバタチツボスミレ、スミレサイシン、オオタチツボスミレ。
スミレにお詳しいkeitannさんから、「上の2枚はオオバキスミレ、3枚目はツボスミレ、4枚目と5枚目はミヤマスミレ、最後は消去法で行くとオオバタチツボスミレ」とのご助言をいただいた。感謝申し上げる。












■スゲの仲間
スゲの仲間(カヤツリグサ科)はまったく分からない。最初の1枚がワタスゲのように思うが、それすら自信が無い。
「尾瀬植物手帳」にはワタスゲ、サギスゲ、タヌキラン、タカネクロスゲ、オオカサスゲ、アブラガヤが載っている。
最後の2枚は同じ個体である。カンスゲまたはホソバカンスゲかもしれない。














■タネツケバナ( Cardamine occulta、アブラナ科タネツケバナ属の越年草)
尾瀬には本来生育していない植物もたくさん観られる(侵入生物)。その一つがタネツケバナで、今では群落も観られる。
写真は研究見本園で撮影した。
尾瀬の入山口では靴底の土を落とすためのマットが敷かれている。しかしその目的が多くのハイカーに十分伝わっているようには思えなかった。






2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その③)では、今回の尾瀬行で見かけた動物(主に鳥)をご覧いただく予定でいる。
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その①)

2024-05-27 05:30:10 | 山行・旅行
5月24、25日で尾瀬山ノ鼻にテント泊し、尾瀬ヶ原からアヤメ平にかけてを山を眺め花や鳥を探しながら歩いて来た。
今日から3回に分けてその様子をご覧いただこうと思う。
その① コース、風景、その他
その② 植物(主に草花)
その③ 動物(主に鳥)

その①でご覧いただくのは歩いたコースと尾瀬ヶ原、アヤメ平の風景だ。ハイライトの中からミズバショウ群生地として有名な下ノ大堀川と、燧ヶ岳・平ヶ岳・至仏山が一望できるアヤメ平の様子を短い動画にまとめた。忙しい方はこれだけでもご覧いただければありがたい。その他日の出の時刻の絶景などを後半でご紹介したいと思う。

先ずは下ノ大堀川とアヤメ平の動画から。下ノ大堀川は尾瀬ヶ原を流れる川の一つで、ミズバショウ群生地として知られている。今年は霜害のため咲いているミズバショウは例年の半分ほどとなった。アヤメ平ではやや風があり、動画には風の音も入れている。見えている山は燧ヶ岳、平ヶ岳、至仏山で、振り向くと日光連山や赤城山もくっきり見えていたが、動画には撮っていない。この動画を撮影するためにちょっと重い三脚を持参した。


続いて歩いたコースをざっくりと説明する。
1日目は鳩待峠から山ノ鼻に入り、テントを設営後サブザックに行動食と飲料水を入れて尾瀬ヶ原を歩いた(下記歩跡はそこ迄で終了)。お昼に山ノ鼻に戻り研究見本園を2周した。歩行距離は約15kmになった。


2日目は日の出前に尾瀬ヶ原に出て、山ノ鼻と牛首の中間地点で日の出を待った。山ノ鼻に戻り昼食を摂り、テントを撤営後、竜宮十字路、富士見田代を経てアヤメ平へ向かった。時間があったのでアヤメ平でのんびり過ごし、その後は鳥を撮影しながら鳩待峠へ下った。歩行距離はやはり約15kmになった。


この後は歩いた順に、道中の様子などをお伝えしたい。
5時半頃に尾瀬戸倉の駐車場にクルマを駐め、乗り合いタクシーで鳩待峠に入った。相乗りの客は日帰りか小屋泊まりの様相で、皆ザックは軽そうだった。
一番最後にバス乗り場を出発し、1時間かけて山ノ鼻まで歩いた。
この日は80Lのザックにテント泊装備、食料、撮影機材などを入れて15kgほどを担いでいた他、2.7kgあるカメラを手に持っていたのでゆっくり歩かざるを得なかった。
(鳩待峠~山ノ鼻の光景)
 

(テントを設営中の様子、iPhoneで撮影)


テントを設営しコーヒーを飲んだ後尾瀬ヶ原へ出かけた。既に気温が上がり汗ばむ陽気になっていた。
 

(逆さ燧)


(至仏山)




(下ノ大堀川のミズバショウと至仏山)


竜宮十字路まで東進し、そこを左折して北へ向かった。ヨッピ吊橋では歩荷さんに出会った。
(ヨッピ吊橋)
 

お昼に山ノ鼻に戻り昼食(シーフードヌードルとソーセージ)を摂った。その後研究見本園を2周りし草花の撮影をした。今年は下ノ大堀川より研究見本園の方がミズバショウの数が多かったかもしれない。
その後山ノ鼻にあるビジターセンターを訪問した。ビジターセンターでは18時からスライドの上映があるそうなので、参加することにした。
(研究見本園での光景)
 

夕食は17時頃にアルファ米とレトルトカレーを使いカレーライスを食べた。17時を過ぎてもテント場は他に1張りがあるだけで、静かな夜が期待できそうだった。ところが17時半を過ぎたところで団体客がやって来た。彼らは自炊場を独占し、20時半を過ぎるまでうるさかった。しかしこの日は4時起きでけっこう歩いたこともあり、21時には眠りにつけた。
時間が前後するがビジターセンターでのスライド上映にも触れておこう。尾瀬の四季や季節ごとに観られる花々、クマを目撃したときの注意点などについて分かりやすく説明されていた。10名ほどの宿泊客が参加していた。
18時頃一瞬雨が降ったが、すぐに止んだ。夜は満月で星は見えなかった。

2日目は3時に目覚めた。結構寒かった。前日に用意していたお湯でカレーヌードルを作り食べた。3時50分頃に撮影に出かけた。
尾瀬ヶ原の木道は部分的に霜が降りていて、滑りやすかった。慎重にかつ急ぎ足で撮影ポイントへ向かった。
太陽は燧ヶ岳の南側(右側)から昇るはずだが、北側(左側)の空にたなびく雲が赤く染まっていた。




その景色を眺めながら、枕草子の一節を思い出していた。
「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは すこしあかりて 紫だちたる雲のほそくたなびきたる」


刻一刻空の様子が変わっていったが、太陽は燧ヶ岳の裏にあってなかなか顔を出してくれない。先に至仏山の山頂に陽が当たり、赤く焼け出してきた。至仏山の中腹に燧ヶ岳の影が映っていた。




至仏山全体に陽が当たってきても、まだ太陽は顔を出さない。
ようやく待ちに待って5時2分に燧ヶ岳の右の肩から、一条の太陽の輝きが差してきた。




陽が当たると尾瀬ヶ原一帯がいっきに明るくなり、色が戻ってきたように思えた。




テント場に戻ると団体客も起きてきていて前夜同様自炊場を占領していた。テントの前でガスコンロに火を点け湯を沸かした。コーヒーを淹れクルミとレーズンが入ったパンをゆっくり食べた。
前夜に少し降った雨は乾いていて、霜による濡れもなかった。シュラフを仕舞い、一切をザックに入れてテントをたたんだ。
6時40分過ぎにテント場を後にし尾瀬ヶ原へ向かった。鳩待峠から歩いて来たハイカーが既にたくさん来だしていた。


この時間私のような大きな荷物を背負っているハイカーはいなかった。また私より年長の人も見かけなかった。
それでも抜かれるのは癪なので、前の人についてとことこ歩いた。牛首を過ぎると人はまばらになり、私は歩くペースを落とした。

下ノ大堀川のミズバショウ群生地では前日と同じアングルで写真を撮った。


竜宮十字路まで来てザックを降ろした。前日はここから北上(左折)したが、今日は南下(右折)しアヤメ平を目指す。
 

竜宮十字路から山の方へ入った辺りもミズバショウの群生地の一つだ。ここは木道沿いに群生しているリュウキンカがきれいだったが、それは続編のその②でご覧いただこう。


道はすぐに森の中に入り、沢を渡ると勾配が急になっていく。昨年もテント泊装備でここを登っているので心配はなかった。
 

長沢頭を過ぎると雪が見え始めた。土場にあるベンチでザックを降ろし早い昼食とした。メニューは朝と同じでクルミとレーズンが入ったパン、それにソーセージとコーヒーだった。
土場から雪が増えたが危ないところはなかった。
 

富士見田代は雪が消えたばかりで、植物の芽生えは見えなかった。昨年来た時はタテヤマリンドウが群生していた場所だ。


ここからアヤメ平は目と鼻の先だ。深田久弥氏はアヤメ平から観る燧ヶ岳が最高だと言っている。


私はここまで来て初めて見える平ヶ岳やなだらかな至仏山の姿が好きだ。






また平ヶ岳とは真逆の方向(南東)に見える日光白根山の雄姿も立派だ。


アヤメ平ではゆっくり時間を取って過ごした。




鳩待峠への下山も慌てることはなかった。野鳥を観ながらゆっくりと歩いた。
 

それでも13時過ぎに鳩待峠に着いた。マイクロバスが次々に現れて下山するハイカーを呑込んでいった。

2024年初夏の尾瀬ヶ原~アヤメ平を散策(その②)に続く。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週も筑波山ハイキング(後編)

2024-05-22 05:30:09 | 山行・旅行
5月19に筑波山を歩いて来た。
前編に引き続き、鬼ヶ作林道で観た植物から順ご覧いただきたいと思う。

前編で樹木の花をご覧いただいたので、後編では草花をご覧いただきたい。
先ずは馴染みがあるシソ科のこの花なのだが・・


タツナミソウ(シソ科タツナミソウ属の多年草)の仲間だとすぐに分かったが、筑波山にはオカタツナミソウが観られるので自信がなかった。
帰宅後調べたら、オカタツナミソウは茎に下向きに曲がった毛が生えるとのことだった。またオカタツナミソウの葉は、卵形または三角状卵形で先がやや尖るとあった。
茎に生える毛についてはこの写真では分かりにくいが、拡大すると下向きに生えているように見えた。また葉の形からしてもオカタツナミソウのように思われた。


続いてはこの花が群生していた。


フタリシズカ(センリョウ科チャラン属の多年草)だが、下の写真を画像検索したらサンニンシズカと出てきたので、笑ってしまった。


黄色い5弁の花が陽当りのよいところに咲いていた。


ウマノアシガタ(キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草)のようだ。


こちらのキク科の花は舌状花が10個あった。


ハナニガナ(キク科ニガナ属の多年草)だ。
ここ数年観てきた中で、ハナニガナの舌状花の数は狭い範囲で場所によって異なることが分かった。
白山で観たものは11~12個、北アルプス(柏原新道)では11個、尾瀬では8~12個、吾妻連峰では9個、飯豊山では9~11個、高妻山では11個、越後三山の中ノ岳では10個であった。ちなみにウィキペディアには7~11個程度と書いてある。
尾瀬には毎年出かけていて、歩く場所も多様であった。そのためハナニガナを観た場所も都度異なった。舌状花の数が8~12個だったのもそのためであると思われるが、生育環境と関係があるのかは分からない。


次の花は地面近くに咲いていた小さな花だ。


画像検索ではサギゴケ(サギゴケ科サギゴケ属の多年草)が示唆されたが、花色が違った。
シロバナサギゴケかもしれないが、確信が持てなかった。
花の長さもサギゴケより小さいように見えたので、トキワハゼあるいはシロバナトキワハゼ(サギゴケ科サギゴケ属の一年草)かもしれない。
(なつみかんさんから、トキワハゼのように見えるとアドバイスいただきました。)

次も写真は1枚しかない。


ハンショウヅル(キンポウゲ科センニンソウ属のつる性低木)のようだ。
ハンショウヅルは本州、九州に分布し、林縁や林内に生育する。葉は長さ4~9cmの卵形の三出複葉で対生する。花柄の長さは6~12cmで、先端に紅紫色の鐘形の花を1個下向きに付ける。花期は5~6月。

テンナンショウの仲間がたくさん観られた。マムシグサなどはあまり好きでなく普段は撮らないが、これは葉に斑が入っていたので撮った。種名は分からない。


キャンプ場からは登山道を登っていく。先週まだ咲いていたユキザサ(ユリ科マイヅルソウ属の多年草)は、ほとんどが花を終えていた。
残花を見つけて撮った。


エンレイソウも数カ所で観られた。


これまでこの道を歩いたのはカタクリの時期が多かった。
カタクリはすでに葉も姿を消していて、気配すらなくなっていた。

次の花は女体山から御幸ヶ原に向かう途中で咲いていたものだ。


ヒイラギソウ(シソ科キランソウ属の多年草)だと思う。
ヒイラギソウは本州の関東地方の北西部に分布し、山地の半日陰の林縁にある崩壊しやすい斜面の草地などに生育する。花期は4~6月。花は青紫色の唇形で、茎の上部の3~5段になる葉腋ごとに、4~6個ずつ輪状につく。


男体山から自然研究路へ進んだ。先週見つけたヤマブキソウがまだ咲いていたが、写真は撮らなかった。
ニリンソウはすっかり終わっていたが、ようやく見つけたのがこの残花。周囲の個体はほとんど枯れてきていた。


帰路は長い階段を降りて、鬼ヶ作林道に出たところで一旦休憩し、15時前にクルマに戻った。
ちょうど小雨がぽつぽつと落ち始めてきていた。

今週も筑波山ハイキング(完)
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週も筑波山ハイキング(前編)

2024-05-21 05:30:27 | 山行・旅行
先週に続き、今週(5月19日)も筑波山を歩いて来た。
スタート地点は先週と同じだが、途中関東ふれあいの道ともなっている鬼ヶ作林道を歩き、筑波高原キャンプ場から女体山へ進んだ。


女体山から御幸ヶ原を抜けて男体山に登り、自然研究路を歩いて、帰路は先週同様薬王院へ下った。
上図に歩跡が記されているが、水色のところは植物を観ながら特にゆっくり歩いたところだ(山頂付近や自然研究路は人が多くてゆっくり歩かざるを得なかった)。
距離8.9km、累積標高差824m、時間4時間47分(うち休憩28分)で、先週より若干距離は伸びたものの林道歩きが多く、また曇り空だったこともあり疲労は少なかった。

では歩いた順に簡単にコースを振り返り、併せて見かけた花をご覧いただこう。
先ずは、薬王院コースの登山者用駐車場からスタート。時刻は10時を過ぎていて、下山してきたハイカーが既にいたので駐車場にクルマを駐められた。
 

陽当りのよいところにイチゴの実が観られた。ヘビイチゴのように思えた。その先ではこれから咲こうとしているナルコユリ(キジカクシ科アマドコロ属の多年草)が観られた。
 

40分ほどかけて鬼ヶ作林道まで着た。ここで岩に腰掛けてバナナを食べた。目の前に大きなヤマザクラの樹が見えた。


この時期の鬼ヶ作林道は樹々や草花の花の宝庫だ。残念ながら名前が分からないものが多かった。帰宅後調べて名前が分かるものは書くことにし、とりあえず写真だけはたくさん撮った。


先ずはいちばん多く観られたのはこの樹木の花だと思う。


帰宅して調べたら、コゴメウツギ(バラ科コゴメウツギ属の落葉低木)のようだった。


名前にウツギと付くが上述のようにバラ科の花で、アジサイ科のウツギに似た花をつける。
花期は5~6月で、今年枝の先端や葉腋から、花序軸を伸ばして総状花序を出し、径4~5 mmの黄白色の5弁花を多数咲かせる。


次も樹木の花だ。


上の写真だけ観ると分からないかもしれないが、下の写真ではお分かりかと思う。ちなみに上の写真は林道で撮ったもので、下の2枚は登山道で撮影した。


ツクバネウツギ(スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木)だ。1枚目の写真は花弁が落ちて萼片が残ったものだ。
花期は5~ 6月で、枝の先端から共通花柄を出し、5個の同じ長さの萼片をつけ、ふつう2つ花をつける。花冠は二唇状の鐘状漏斗形で、白色、黄白色、ときに黄色、まれにピンク色になり、長さは1.5~3 cmになる。


次の2枚は林道で観た花を撮ったものだが。一方3枚目の花は標高が高い自然研究路で観たものだ。


ご存じのガマズミ(ガマズミ科ガマズミ属に属の落葉低木)だ。


これまでガマズミは標高が低いところで観られ、標高が高いところではミヤマガマズミが観られると理解していたが、これもミヤマガマズミではなくガマズミだった。
確認したところ、ガマズミは標高10~1500mに分布するとの記載があった(筑波実験植物園の植物図鑑)。


こちらはキャンプ場近くで観たもので、斜面の陽当りのよいところに咲いていた。


タニウツギ(スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)に似ているように見えたが、筑波山に自生しているのだろうか?
ウィキペディアによると、タニウツギは北海道の西部、本州の東北地方、北陸地方、山陰地方に分布し、主に日本海型気候の多雪地で、日当たりのよい山地の谷沿いや斜面に多く見られる。関東地方はニシキウツギが多いが、信越県境付近から日本海側でタニウツギが多いとある。
どうやらニシキウツギ(スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)のようだった。
同じくウィキペディアによると、ニシキウツギは日本の本州の宮城県以南、四国、九州に分布し、主に太平洋側の山地に多く見られ、日本海側にはない。山地の明るい場所に生えるとある。


同じくキャンプ場近くではこの花も咲いていた。ずいぶん高い所に咲いていて、撮るのに苦労した。


ガマズミ属だとは分かったが、その場で名前が分からなかった。カンボク(ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木〜小高木)に似ているが、筑波山に自生するものか不明だったので、結局名前は分からなかった。

ここまで書いてきてすでに長くなってきた。そこで草本は続編でご覧いただこうと思う。本格的な登りはスタートから林道までの間と、キャンプ場から女体山までの間で、それぞれ40分ほどだった。


登山道に入るとヤマツツジ(ツツジ科ツツジ属の半落葉低木)がまだ観られた。


女体山御本殿(写真左)、男体山御本殿(同右)に参拝して下山した。
 

こちらは下山時に歩いた自然研究路で観たヒメウツギ(アジサイ科ウツギ属の落葉低木)。先週もご覧いただいたのでお分かりと思う。


さて、ウツギと名前が付く花はいくつあったかしら?

続編では林道以降で観た草本をご覧いただきたい。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする