伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

珈琲店タレーランの事件簿 1~8

2024-07-28 21:32:45 | 小説
 京都市中京区富小路通り二条上がるにある珈琲店タレーランを切り盛りしている1巻時点では23歳(8巻の終わりは1巻の初めの4年4か月後)のバリスタ切間美星が、知人から相談されたり客の話を聞いて日常の小さな謎を解いていくという体裁のミステリー小説。
 語り手の1つ年下の青年「アオヤマ」の語りが、ミステリーの宿命というか作者のクセなのか今ひとつ十分誠実とは言えないこともあり、ほぼ切間美星の魅力で読ませる作品となっています。その切間美星がまっすぐすぎるために「アオヤマ」をいじっているのかも知れませんが。
 作者のデビュー作の1巻は短編連作的な指向で、2巻でそこに通しテーマを入れて長編的な性質も持たせ、3巻はふつうに長編作品、4巻は短編集、5巻と6巻が長編で7巻がまた短編集、8巻が長編と、あちこちに行っているというのか、長編は長編、別途短編集も出すと分けるようになってきているようです。私としては、ミステリーとしては3巻が、ラブストーリーとしては5巻がいいかなと思いました。
 私の個人的な指向と関心からは、(おいしい)コーヒーを入れる専門職人バリスタ(barista:イタリア語)という呼称が、私たちの業界で法廷弁護士を指す barrister (英語)と絡んで興味を惹いたのと、学生時代(って、40年あまり前)に住んでいた京都の地理感が生きて楽しく読めました。


岡崎琢磨 宝島社文庫
1巻 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を 2012年8月18日発行
  「このミステリーがすごい!」大賞・隠し玉:受賞作ではないことに注意
2巻 彼女はカフェオレの夢を見る 2013年5月9日発行
3巻 心を乱すブレンドは 2014年4月7日発行
4巻 ブレイクは五種類のフレーバーで 2015年2月19日発行
5巻 この鴛鴦茶がおいしくなりますように 2016年11月22日発行
6巻 コーヒーカップいっぱいの愛 2019年11月21日発行
7巻 悲しみの底に角砂糖を沈めて 2022年3月18日発行
8巻 願いを叶えるマキアート 2022年8月18日発行

コメント
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