伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

ココロブルーに効く話 精神科医が出会った30のストーリー

2024-07-20 22:06:34 | エッセイ
 精神科医で産業医の著者が診療や相談で出会った事例を紹介し感想等を述べた本。
 統合失調症と診断された妻が失踪し海で溺死体として発見された夫が8歳の娘に妻/母の死亡やその原因を伝えることができずに長らく思い悩む様子(47~55ページ)や、過敏性腸症候群を抱えた受験生に寄り添う幼なじみ(71~80ページ)など、ほろりとくるエピソードが味わい深く思えました。
 また、急に話せなくなり歩けなくなった認知症患者を救急外来の医師は認知症のせいだと判断したが、不審に思った著者が診ると話せないのは顎関節脱臼を起こしていたため、歩けなくなったのは下痢が続いて体内のカリウムが排出されすぎたことによると推測される低カリウム血症とわかったというエピソード(137~143ページ)には、先入観の怖さ、医師という専門家でもそういう事態に陥るという怖さを実感しました。


小山文彦 金剛出版 2024年4月15日発行
「ヨミドクター」連載
コメント
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