通り魔事件犯人に右目を刺され角膜移植手術をしたら紫色の虹彩を持つ「忌み目」により廃墟の「記憶」を知覚できるようになった27歳の巡査部長吉灘麻耶が、警察内部で疎んじられながらその超能力で事件を解決するという小説。
ミステリーとしての部分は、まぁそうだろうと予測する方向で何となく進んでいき、ひねりがない感じがしますが、特殊な設定で主人公等の運命の方を読ませる趣向で、事件そのものはシンプルな方がいいという考えでしょうか。角川春樹小説賞受賞でデビューした作者の受賞後第1作の文庫書き下ろし作品で、最初から続編予告しているとしか考えられないラストは、すごい自信だと思います。
ふだんは廃墟の「記憶」を黒のカラーコンタクトで保護/遮断しているという設定ですが、麻耶の知覚は画像/映像のみならず過去の人々の声/音声をも捉えています。画像のみなら黒のコンタクトレンズで遮断できるということでさほど違和感はないのですが、声が聞こえるのなら、耳栓ではなくコンタクトレンズで廃墟の「記憶」の音声が遮断できるのはなぜ?と気になってしまいます。

柿本みづほ ハルキ文庫 2020年7月18日発行
ミステリーとしての部分は、まぁそうだろうと予測する方向で何となく進んでいき、ひねりがない感じがしますが、特殊な設定で主人公等の運命の方を読ませる趣向で、事件そのものはシンプルな方がいいという考えでしょうか。角川春樹小説賞受賞でデビューした作者の受賞後第1作の文庫書き下ろし作品で、最初から続編予告しているとしか考えられないラストは、すごい自信だと思います。
ふだんは廃墟の「記憶」を黒のカラーコンタクトで保護/遮断しているという設定ですが、麻耶の知覚は画像/映像のみならず過去の人々の声/音声をも捉えています。画像のみなら黒のコンタクトレンズで遮断できるということでさほど違和感はないのですが、声が聞こえるのなら、耳栓ではなくコンタクトレンズで廃墟の「記憶」の音声が遮断できるのはなぜ?と気になってしまいます。

柿本みづほ ハルキ文庫 2020年7月18日発行