内科医・臨床医である著者が、診断のあり方、診断の際の思考方法などについて論じた本。
検査をする前の医師の見積もりが重要で、その際にそれぞれの可能性に入れ込まない(1つの可能性に突き進まずにさまざまな可能性を考えておく)方がいい、闇雲に検査をしてもいけない(くも膜下出血のCT検査ですら、くも膜下出血を疑って医師が読影しても見逃すようなくも膜下出血もある。ならば、くも膜下出血の疑いも持たずにとりあえずCT検査をするというようなことをしたらなおさら見逃す)などの説明(14~19ページ)は、なるほどと思います。
素人とプロの違いについて、素人がネットで調べて思いつくくらいのことはプロはすでに検討済み、プロの思考、視野は素人が見ているものとは広さ、桁が違う、プロと素人の差は圧倒的、草野球と大リーガーくらいの差がおそらくある、プロが本来のパフォーマンスをするためにしている努力は素人に言われなくても平素やっているわけで素人はプロにとってnoisyになるようなことはあまりしないほうがいい(43~54ページ)という著者の言には、別領域ですが、同感することはよくあります。しかし、内心そう感じ、うっとうしいなぁと思っても、ここまではっきり言い切るのは、この著者がよほど自信家で短気なのだなぁとも思ってしまいます。
診断を向上させるために、自分の経験だけでなく症例報告を多数読み込みそれを元に考えるクセを付ける(198~203ページ:弁護士の場合だと裁判例の雑誌の要旨ではなくて事実認定とそれに基づく評価部分の読み込みと応用思考ですね)、頭の中に師匠の視点と監視を想定する(205~207ページ)などの提言は、別の分野でも使えそうです。
後半になると、時間圧とか四次元とか説明が観念的になり、独自の世界に入っていく感じでよくわからなくなり、投げ出したくなるのが、残念ですが、いろいろためになる思考方法が語られていたと思います。

國松淳和 ちくま新書 2020年11月10日発行
検査をする前の医師の見積もりが重要で、その際にそれぞれの可能性に入れ込まない(1つの可能性に突き進まずにさまざまな可能性を考えておく)方がいい、闇雲に検査をしてもいけない(くも膜下出血のCT検査ですら、くも膜下出血を疑って医師が読影しても見逃すようなくも膜下出血もある。ならば、くも膜下出血の疑いも持たずにとりあえずCT検査をするというようなことをしたらなおさら見逃す)などの説明(14~19ページ)は、なるほどと思います。
素人とプロの違いについて、素人がネットで調べて思いつくくらいのことはプロはすでに検討済み、プロの思考、視野は素人が見ているものとは広さ、桁が違う、プロと素人の差は圧倒的、草野球と大リーガーくらいの差がおそらくある、プロが本来のパフォーマンスをするためにしている努力は素人に言われなくても平素やっているわけで素人はプロにとってnoisyになるようなことはあまりしないほうがいい(43~54ページ)という著者の言には、別領域ですが、同感することはよくあります。しかし、内心そう感じ、うっとうしいなぁと思っても、ここまではっきり言い切るのは、この著者がよほど自信家で短気なのだなぁとも思ってしまいます。
診断を向上させるために、自分の経験だけでなく症例報告を多数読み込みそれを元に考えるクセを付ける(198~203ページ:弁護士の場合だと裁判例の雑誌の要旨ではなくて事実認定とそれに基づく評価部分の読み込みと応用思考ですね)、頭の中に師匠の視点と監視を想定する(205~207ページ)などの提言は、別の分野でも使えそうです。
後半になると、時間圧とか四次元とか説明が観念的になり、独自の世界に入っていく感じでよくわからなくなり、投げ出したくなるのが、残念ですが、いろいろためになる思考方法が語られていたと思います。

國松淳和 ちくま新書 2020年11月10日発行