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伊東良徳の超乱読読書日記

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虚夢

2009-07-05 23:16:06 | 小説
 4年前、統合失調症の青年藤崎の連続通り魔殺人事件で娘を殺され、自身も深手を負った佐和子と、事件後人が変わってしまった佐和子と離婚した元夫三上が、ネットカフェを転々とする藤崎を発見し、佐和子は藤崎が自分を殺そうとしていると取り乱し、三上は佐和子を落ちつかせるために藤崎の監視を続け・・・というストーリーの小説。
 精神病者による犯罪の不起訴と納得できない被害者という、マスコミの大好きな話題を取りあげ、大勢に沿った展開をしつつ、バランスを取るために三上の友人の精神科医師松岡を登場させて苦渋の説明をさせています。
 佐和子の狂気と思惑が作品のキーポイントになっていますが、作者のこの問題提起、精神科医が読んだらどう思うんでしょうか。
 佐和子はもちろんですが、事件現場にいなかったのに娘を救えなかったと苦しむ三上のトラウマとすでに別れた妻の取り乱す様子を見て救いたいと切実に願う様子は、痛々しく涙ぐましい。そして藤崎と情を交わして逃避行を共にするキャバクラ嬢のゆきの人生と思いがまたさらに切ない。
 メインテーマの扱いは技巧的な点も含め必ずしも私は共感できませんが、それぞれの人物と生き様には感じ入るものがありました。


薬丸岳 講談社 2008年5月22日発行
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