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伊東良徳の超乱読読書日記

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13番目の物語 上下

2008-11-18 23:31:38 | 小説
 無名の伝記作家が、謎に包まれた過去を持つ超売れっ子作家から伝記の作成を依頼され、作家の語る幼年時代の物語を聞き取りながら調査を重ね真実を追うというストーリーの小説。
 主人公自身の過去と、口述する作家の過去と現在を交錯させながら、謎の作家の語りの虚実と作家の過去の真相をたどる形のミステリー仕立てになっています。登場人物が次々と精神を病んだり失踪し、やるせないけだるい進行ですが、悲劇の中にも謎と希望が隠されていて最後まで読者の関心を引きつけてくれます。
 作者はフランス文学研究者で作家としてはこれがデビュー作だそうですが、布石がけっこう周到に打たれていて、アレッと思って読み返し、それでここはこういう書き方をしていたのかと思い直すことがしばしばでした。
 最初の方に事件が起こらず、展開も派手ではなく、重苦しい展開ではありますが、上巻を読み切って下巻までたどり着ければ、少し変わったタイプのミステリーとして楽しめます。


原題:The Thirteenth Tale
ダイアン・セッターフィールド 訳:鈴木彩織
NHK出版 2008年8月25日発行 (原書は2006年)
コメント
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