中学女子バレー部でいじめを受けた少女浜田葉子の屈折した思いとその後の心情を描いた小説。
いじめの加害者側の今井への憧憬と追従、憎しみに揺れる浜田の心情が読みどころかと思います。
この浜田が純然たる被害者として読者の同情を買う立場でもなく、浜田自身、友だちを今井に売ってその友だちが外されて浜田が今井の歓心を買って一時友だちに戻ったり、後日の予備校時代に友人の木原にこんな女は殴られて当然と苛立ってみたり、加害者側の心情や行動も持ち合わせています。さらにいえば、部の顧問にいじめを訴えたシーンも、それで正面から部員にいじめがあるかと聞いて部員がみんなないと答えると浜田に対してみんなの前で謝れと言った顧問の教師の愚鈍さを強調する形にはなっているものの、浜田の行動自体、今井に友だちを売ったのと同様に教師に今井を売ろうとしたともとれます。そういう真っ白ではない主人公の心の襞・綾が読ませるのだと思います。
他方、中学時代、予備校生活、里帰りした今の3つの時制を不規則に交互に描く進行は、ちょっと読みにくい。また、浜田が今井への憎しみを、中学時代ならともかく、いじめを受けていた頃から6年もたってぶつけようとするのは、理解しかねます。まあそういう他人には理解できない憎しみの沈潜を描きたかったのかも知れませんが。

雨宮処凜 講談社文庫 2008年4月15日発行(単行本は2005年)
いじめの加害者側の今井への憧憬と追従、憎しみに揺れる浜田の心情が読みどころかと思います。
この浜田が純然たる被害者として読者の同情を買う立場でもなく、浜田自身、友だちを今井に売ってその友だちが外されて浜田が今井の歓心を買って一時友だちに戻ったり、後日の予備校時代に友人の木原にこんな女は殴られて当然と苛立ってみたり、加害者側の心情や行動も持ち合わせています。さらにいえば、部の顧問にいじめを訴えたシーンも、それで正面から部員にいじめがあるかと聞いて部員がみんなないと答えると浜田に対してみんなの前で謝れと言った顧問の教師の愚鈍さを強調する形にはなっているものの、浜田の行動自体、今井に友だちを売ったのと同様に教師に今井を売ろうとしたともとれます。そういう真っ白ではない主人公の心の襞・綾が読ませるのだと思います。
他方、中学時代、予備校生活、里帰りした今の3つの時制を不規則に交互に描く進行は、ちょっと読みにくい。また、浜田が今井への憎しみを、中学時代ならともかく、いじめを受けていた頃から6年もたってぶつけようとするのは、理解しかねます。まあそういう他人には理解できない憎しみの沈潜を描きたかったのかも知れませんが。

雨宮処凜 講談社文庫 2008年4月15日発行(単行本は2005年)