恵まれた少年時代を過ごした著者が、母親の病死、父親の闘病と失業から差押えを受けて中学生時代に家を追い出され、しばらくは家族と別れて公園でホームレス生活をし、友人の親や近所の人の厚意と兄姉の働きで生活保護を受けながら生活を立て直し高校を卒業してお笑い芸人になるまでを描いた自伝。
突然の差押えと父親の家族解散宣言でいきなりホームレスになる冒頭は、作品として鮮やかな書き出しです。現実には明け渡しの強制執行は初回は挨拶だけですから現実に執行されるときは事前にいつ本当に執行されるか少なくとも父親にはわかっていたはずですが(仕事柄野暮な指摘をしますが)。
今は成功した立場で書いているせいかも知れませんが、周りで助けてくれた人たちはもちろん、母親やさらには父親にも感謝の気持ちで描かれていて、ちょっと優等生過ぎる感じもしますが、読んでいて爽やかです。飢えに苦しみながらも母親のことを思い起こして万引きや恐喝を思いとどまった話(25頁、153頁)もホッとします。
生活保護を受け兄が一生懸命働く中で高校に進学させてくれたのにろくに学校に行かなかった頃の話(121~123頁)や、1日の生活費2000円をもらってそれを貯めもせずに学食で使い切ってぜいたくをしていた話(136頁)は、人の親の立場ではカチンと来ますけどね。
タイトルのホームレス時代は1月くらいで本の前から4分の1くらいですけど、インパクトのある体験ですからそれをタイトルにされても私は許せる感じがしました。
田村裕 ワニブックス 2007年9月20日発行
突然の差押えと父親の家族解散宣言でいきなりホームレスになる冒頭は、作品として鮮やかな書き出しです。現実には明け渡しの強制執行は初回は挨拶だけですから現実に執行されるときは事前にいつ本当に執行されるか少なくとも父親にはわかっていたはずですが(仕事柄野暮な指摘をしますが)。
今は成功した立場で書いているせいかも知れませんが、周りで助けてくれた人たちはもちろん、母親やさらには父親にも感謝の気持ちで描かれていて、ちょっと優等生過ぎる感じもしますが、読んでいて爽やかです。飢えに苦しみながらも母親のことを思い起こして万引きや恐喝を思いとどまった話(25頁、153頁)もホッとします。
生活保護を受け兄が一生懸命働く中で高校に進学させてくれたのにろくに学校に行かなかった頃の話(121~123頁)や、1日の生活費2000円をもらってそれを貯めもせずに学食で使い切ってぜいたくをしていた話(136頁)は、人の親の立場ではカチンと来ますけどね。
タイトルのホームレス時代は1月くらいで本の前から4分の1くらいですけど、インパクトのある体験ですからそれをタイトルにされても私は許せる感じがしました。
田村裕 ワニブックス 2007年9月20日発行