19世紀末-20世紀初頭のウィーンの画家クリムトのデッサンを中心とした解説付き画集。
学生の頃、クリムトの金ぴかで装飾的・2次元的でしかし退廃的な絵を見て、要するに成金趣味で寓意としても悪趣味でしかも見て元気になれない絵を好きになれませんでした。そのクリムトの典型的なというか有名な絵の1つ「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」が2006年6月には史上最高値で落札されたとかで、今ではクリムトは人気画家の1人だそうです。バブル期ならともかく何で今頃っていう気がしますけど。
画壇で反体制グループの代表となりつつ金持ちのための婦人の肖像画ばかり描いていた生涯も解説されていますが、やっぱりあまり好きになれないですね。エピソードとして、ウィーン大学の講堂の壁画の一部を依頼されて、学問の進歩という概念に反する絵を書いてけんか別れになったところはおもしろいですが。
この作品集では、ほとんどが婦人画の裸体画のデッサンで、クリムトが作品を仕上げる前に構想段階で何度も練り直しをしていたことはよくわかります。でもデッサン自体が作品として高く評価すべきと言われても、あまりピンと来ません。
また私がこれまで見ていなかった絵でベートーヴェン・フリーズ(壁画)は、ちょっとゆっくり見てみたいなと興味を引かれました。
2次元的・装飾はマチスの影響とされていますが、意外に浮世絵の影響もあるのかもと感じました。史実としての根拠はありませんが。

原題:Gustav Klimt : Drawings and Watercolors
ライナー・メッツガー 訳:橋本夕子
新潮社 2007年4月25日発行 (原書は2005年)
学生の頃、クリムトの金ぴかで装飾的・2次元的でしかし退廃的な絵を見て、要するに成金趣味で寓意としても悪趣味でしかも見て元気になれない絵を好きになれませんでした。そのクリムトの典型的なというか有名な絵の1つ「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ」が2006年6月には史上最高値で落札されたとかで、今ではクリムトは人気画家の1人だそうです。バブル期ならともかく何で今頃っていう気がしますけど。
画壇で反体制グループの代表となりつつ金持ちのための婦人の肖像画ばかり描いていた生涯も解説されていますが、やっぱりあまり好きになれないですね。エピソードとして、ウィーン大学の講堂の壁画の一部を依頼されて、学問の進歩という概念に反する絵を書いてけんか別れになったところはおもしろいですが。
この作品集では、ほとんどが婦人画の裸体画のデッサンで、クリムトが作品を仕上げる前に構想段階で何度も練り直しをしていたことはよくわかります。でもデッサン自体が作品として高く評価すべきと言われても、あまりピンと来ません。
また私がこれまで見ていなかった絵でベートーヴェン・フリーズ(壁画)は、ちょっとゆっくり見てみたいなと興味を引かれました。
2次元的・装飾はマチスの影響とされていますが、意外に浮世絵の影響もあるのかもと感じました。史実としての根拠はありませんが。

原題:Gustav Klimt : Drawings and Watercolors
ライナー・メッツガー 訳:橋本夕子
新潮社 2007年4月25日発行 (原書は2005年)