限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

百論簇出:(第36回目)『学生への励ましの言葉』

2010-01-13 15:39:22 | 日記
現在、私は京都大学の一般教養科目で
『ベンチャー魂の系譜』Genealogy of Venturing Spirits
という授業をしている。
学生達のパネリストとしての発言や、聴衆の学生の討論を聞いていて改善するべき観点の概要を述べた。

1.Wikipedia、本を読むことの差
 *Wikipediaの情報を読むというのは、脳の表面をかするだけ。
 *多分、5年経たない内にどういうことが書かれていたのかは忘れてしまう。
 *本をじっくり読むと、ストーリーとして覚えて長い間わすれない。
 *更には、本物、あるいは実物(物、場所、人物)に出会うと一生忘れない。

2.英語に上達せよ
 *これから2年以内にTOEIC 800点は最低でも目指せ。
 *英語が嫌いだといって、消去法的、逃避的人生を送るな。自分が惨めになるだけだ。
 *日本語の方が遥かに難しい。その難しい日本語をしなくてすむ、日本人に生まれてラッキーだ。
 *英語帝国主義などいくら議論しても世の中は進んでいく。ナンセンスな議論に付き合って時間を無駄にするな。
(アリストテレスは苦労して地球が宇宙の中心に静止していることを証明した。でもその証明とは無関係に地球は動いていた。アリストテレス:『天体について』)
 
3.英語以外の外国語にも関心を持て
 *外国語というのは、何も英語だけではない。
 *私は、英語以外には、ドイツ語、フランス語を学生時に学習した。
 *それで、結局、ゲルマン系、ロマンス系の両方が分かるようになれた。そうすると、他のヨーロッパ言語はかなり幅広く理解できるようになった。
   *ゲルマン系 -- オランダ語、デンマーク、スェーデン、ノルウェー
   *ロマンス系 -- フランス語、イタリア、スペイン、ポルトガル

 *あと、英語を極めようとしたら、絶対、ギリシャ語とラテン語は必須。この二つが分からない限り、西洋語はいつまで経っても『外国語』のままだ。
 *アジア系の言語については、私は言う資格をもたない。



4.留学をしよう
 *交換留学生でもよい、一年でも海外に出るべし。
 *北米、ヨーロッパ、アジア、どこでもよい。
 *習慣+文化+地理を実地で学んでこい。
 *一人旅で失敗をし、旅先で人の情けを知る。
 *日本人は、人種に対する偏見を矯正する必要あり。
 
5.漢文をマスターしよう
 *なぜ漢文か?
  1.中国が今後、アジア、世界に非常に重要な国となる。特に近隣の
    日本にとっては最重要国となる。その中国を正しく理解する必要がある。
  2.漢文の中の文章には、人としての生き方を教えてくれる貴重なものが多い。
 *中国人と付き合う時、漢文の素養がないと、立場が弱い。
 *漢文に対して劣等感を抱いて生きるなんて、つまらない。
 *英語の文法を活用して読むと分かりやすい。これを実践しない、高校の漢文教育がおかしい。漢文も語学であるので、耳から覚えよ。
 
6.世の中には3種類の職業しかない
 その3つとは
  a.誰でもできること
  b.あなたにもできること。しかし代替の人がいる。
  c.あなたにしかできないこと。
 *あなたにしかできないこと、それは何かを真剣に考えよ。

7.劣等感をバネとせよ。
 *劣等感のために卑屈になるのは、劣等感に押しつぶされた人だ。
 *世の中には劣等感をバネとして飛躍した人は多い。

8.一番自分の身に付く方法を考えよ。
 *万人向けの方法などない。自分に一番向く方法は自分でさがせ。
 *耳からの方がよいか、活字からの方がよいか、ドラマや映画などの映像系がよいか。
 *自分で決めよ。他人や先生に頼るな。悩んだ分だけ身につく。
コメント
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