(前回)
Duhemの本には、思った以上に、ギリシャ語やギリシャ文が多くでてくる。主体は、アリストテレスで、プラトンは脇役といったところだ。私のギリシャ語は掛値なしにあまり高くない。TOEICでいえば、500点台相当のレベルだ。それで、訳文無しで、原文を読むのはなかなか難しいが、Duhemは親切にも、ギリシャ語の引用文に、ほとんどの場合、フランス語の訳文をつけてくれている。
しかし、Duhemの文章は訳文に限らず一般的にかなり込み入った書き方をしている。これは、推察するにあまりにもギリシャ語に堪能だったので、ギリシャ語風の言いかたになってしまったのだろう。というのは、Oxford大学で本場のギリシャ語を修めてきた、故・高津春繁氏は、『基礎ギリシア語文法読本編』に、ギリシャ語の文章の特徴について次のように述べる。
『(ギリシャ語では)文を最初にちょっと言いかけておいて、その次に従属文を重ね重ねて、最後に主動詞をもって来て、初めに言いかけていた文を結び,全体で一つのまとまった思考をあらわす方法をペリオドス periodos といい、この方法は特にアッティカの雄弁家の好んで用いたもので、後に Cicero などローマの散文家の模倣する所となり、ルネサンスの散文家を経て、現代の西欧の散文の形成に大きな影響を及ぼすに至っている。』
Duhemも、複文や関係節を重ね合わせて長い文章を作る、それで、Duhemの訳文で理解できない時は、次の2つの方法がある。
【1.】フランス語文をGoogle翻訳で英語(あるいはドイツ語)に翻訳する。
このごろのGoogle翻訳は、非常に出来がよい。なまじっか人に頼んで訳してもらうより余程正しく解釈している。AI翻訳ではDeepLもある。DeepLは、ドイツ語==>日本語の訳は、Googleより数等上であるが、フランス語==>英語は、Googleの訳と大差はない。ただ、Googleの方が処理が速いので、私はGoogleを使っている。
【2.】該当するギリシャ語原文の個所を見つけ、Loebから英訳の部分を読む。
アリストテレスに限らず、西洋古典の原文(ギリシャ語、ラテン語)はほとんどといっていいほど多くのサイトに原文や訳文が掲載されている。ギリシャ語やラテン語に関しては、Tufts大学(タフツ)が運営しているPerseusという有名なサイトがある。(https://www.perseus.tufts.edu/hopper/)ここには原文と英訳がアップロードされている。素人が読む文章であれば、たいていここで用が足りる。(もっとも、専門家はこれだけでは足りないが、同大学が提供する有料サービスに加入すると、膨大な資料に自由にアクセスできるらしい。)
たしかにPerseusは原文にアクセスできるのだが、ダウンロードするのに少し難点がある。本一冊まるごとのダウンロードが出来ないことがあり、セクション、あるいは巻ごとにダウンロードしなければいけない。また、各単語ごとにリンクが張られているので、意味や文法的な面を知るには便利だが、通読には大変不便である。それで、私は原文はもっぱら、ギリシャ語のWikisourceからダウンロードしている。例えばアリストテレスの原文をアクセスするには、まずWikipediaの英語版をアクセスすると、下段の右側に
Greek Wikisource has
original works by or
about: Ἀριστοτέλης
という案内サイトがあり、ここの赤い部分をクリックすると、古典ギリシャ語の原文サイトに誘導される。
ここからは全てギリシャ語なので、ギリシャ文字を知らないとそれこそ「It's Greek to me」で途方に暮れてしまうだろう。ギリシャ文字はアルファベット26文字より、2つ少ない、24文字しかないので、気合をいれれば、2日ほどで文字自体は読めるようになる。
私は、Wikisouceのサイトから必要部分をダウンロードして、自作の『ギリシャ文検索システム』で検索している。なぜ、ギリシャ語の検索システムが必要か、と、どのようにして作っているか、については次回以降説明しよう。
(続く。。。)
Duhemの本には、思った以上に、ギリシャ語やギリシャ文が多くでてくる。主体は、アリストテレスで、プラトンは脇役といったところだ。私のギリシャ語は掛値なしにあまり高くない。TOEICでいえば、500点台相当のレベルだ。それで、訳文無しで、原文を読むのはなかなか難しいが、Duhemは親切にも、ギリシャ語の引用文に、ほとんどの場合、フランス語の訳文をつけてくれている。
しかし、Duhemの文章は訳文に限らず一般的にかなり込み入った書き方をしている。これは、推察するにあまりにもギリシャ語に堪能だったので、ギリシャ語風の言いかたになってしまったのだろう。というのは、Oxford大学で本場のギリシャ語を修めてきた、故・高津春繁氏は、『基礎ギリシア語文法読本編』に、ギリシャ語の文章の特徴について次のように述べる。
『(ギリシャ語では)文を最初にちょっと言いかけておいて、その次に従属文を重ね重ねて、最後に主動詞をもって来て、初めに言いかけていた文を結び,全体で一つのまとまった思考をあらわす方法をペリオドス periodos といい、この方法は特にアッティカの雄弁家の好んで用いたもので、後に Cicero などローマの散文家の模倣する所となり、ルネサンスの散文家を経て、現代の西欧の散文の形成に大きな影響を及ぼすに至っている。』
Duhemも、複文や関係節を重ね合わせて長い文章を作る、それで、Duhemの訳文で理解できない時は、次の2つの方法がある。
【1.】フランス語文をGoogle翻訳で英語(あるいはドイツ語)に翻訳する。
このごろのGoogle翻訳は、非常に出来がよい。なまじっか人に頼んで訳してもらうより余程正しく解釈している。AI翻訳ではDeepLもある。DeepLは、ドイツ語==>日本語の訳は、Googleより数等上であるが、フランス語==>英語は、Googleの訳と大差はない。ただ、Googleの方が処理が速いので、私はGoogleを使っている。
【2.】該当するギリシャ語原文の個所を見つけ、Loebから英訳の部分を読む。
アリストテレスに限らず、西洋古典の原文(ギリシャ語、ラテン語)はほとんどといっていいほど多くのサイトに原文や訳文が掲載されている。ギリシャ語やラテン語に関しては、Tufts大学(タフツ)が運営しているPerseusという有名なサイトがある。(https://www.perseus.tufts.edu/hopper/)ここには原文と英訳がアップロードされている。素人が読む文章であれば、たいていここで用が足りる。(もっとも、専門家はこれだけでは足りないが、同大学が提供する有料サービスに加入すると、膨大な資料に自由にアクセスできるらしい。)
たしかにPerseusは原文にアクセスできるのだが、ダウンロードするのに少し難点がある。本一冊まるごとのダウンロードが出来ないことがあり、セクション、あるいは巻ごとにダウンロードしなければいけない。また、各単語ごとにリンクが張られているので、意味や文法的な面を知るには便利だが、通読には大変不便である。それで、私は原文はもっぱら、ギリシャ語のWikisourceからダウンロードしている。例えばアリストテレスの原文をアクセスするには、まずWikipediaの英語版をアクセスすると、下段の右側に
Greek Wikisource has
original works by or
about: Ἀριστοτέλης
という案内サイトがあり、ここの赤い部分をクリックすると、古典ギリシャ語の原文サイトに誘導される。
ここからは全てギリシャ語なので、ギリシャ文字を知らないとそれこそ「It's Greek to me」で途方に暮れてしまうだろう。ギリシャ文字はアルファベット26文字より、2つ少ない、24文字しかないので、気合をいれれば、2日ほどで文字自体は読めるようになる。
私は、Wikisouceのサイトから必要部分をダウンロードして、自作の『ギリシャ文検索システム』で検索している。なぜ、ギリシャ語の検索システムが必要か、と、どのようにして作っているか、については次回以降説明しよう。
(続く。。。)