限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

百論簇出:(第280回目)『シニア・エンジニアのPython事始(その6)』

2024-06-23 09:26:41 | 日記
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イギリスの有名な百科事典といえば、Encyclopedia Britannica と答えることができる人は多い。それでは、「フランス語の有名な百科事典は?」と聞かれると、残念ながら答えることのできる人はごくわずかであろう。フランス語の辞書類の出版社といえば、Larousse(ラルース)、Robert(ロベール)、Hachette(アシェット)などが有名だ。とりわけ、Larousse社は百科事典の大御所ともいえる。私は縁あって、、Larousseの "Grand Dictionnaire Encyclopédique" を、以前、神保町の洋書専門店である「田村書店」(2階)で購入したことがあった。

田村書店には、東京に住んでいる時には、しばしば足を運んでいた。1階は日本書が置いてあり、2階が洋書専門だ。2階へは、昔の下宿によくあった幅が1メートル足らずの狭い階段を登っていくのであるが、その階段には全集ものや辞書類などのかさばる重量物が背丈ほどに積み上げてあった。それによって狭い階段が一層狭くなっただけでなく、書物の重さで階段がかなり傾いていた。田村書店は、洋書といっても英文の物は少なく、フランス語、ドイツ語、などが主流であった。それにギリシャ語、ラテン語など、いわば外国語と言えば英語しかしらない一般人などは除外され、いわば「語学通御用達之老舗」的趣があった。

私は、正直なところフランス語はあまり得意ではないので、この階段途中で"Grand Dictionnaire Encyclopédique" を見た時、「ああ、これは自分には読めない本だ」と通りすぎて、2階に昇った。そこで何冊かの洋書を購入して、階段を降りていった時、再度この Grand... が目に入った。なぜかこの時、ここでチャンスを逃せば、一生の内に二度とこれとは出会えない気がし、思い切って購入し、宅配してもらった。

翌日届いた梱包を解き、全巻を丁寧にからぶきし、天日干しをした。これは長らく店に置かれている内に溜まっていた湿気を追い出す必要があったからだ。夕暮れになって本を取り入れ、ぱらぱらとめくると私のフランス語レベルでも案外理解できた。ただ、字が小さいので虫めがねを使って読まないといけないので、大量に読むことはできない不便は感じた。それは一つの欠点ではあるが、英語のBritannica と異なり、写真が豊富にあったので、このGrand...百科事典を読むのが楽しくなった。ただ、使っていくうちに次第に、内容的にBritannicaと比べて記述が簡略すぎるのが物足りなく感じるようになった。



それで、インターネットでいろいろと探している内に、Britannica に匹敵するハイレベルの情報をもつフランス語の百科事典があることを知った。それが、"La grande encyclopédie" である。巻数は31あり、約3万600ページにもなる。最初の巻の出版年は、1886というから、明治初年で、最後の巻は、1902年に出版されている。現在、この百科事典は全巻、PDF形式でダウンロードすることができる。ちなみに下記サイトに各巻のURL情報が載っている。
La Grande Encyclopédie


さて、問題は、31巻もある膨大なPDFの百科事典で、いかにして探している項目の該当ページに辿りつくかである。そこには、一山もニ山も越えなければいけない難関があり、Pythonの出番があった。

続く。。。
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