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近江・箕作山城 織田軍の観音寺城攻めで建部氏が守った山城は鉄塔建設で改変

2020-03-17 | 歴史

箕作山城は滋賀県東近江市五箇荘山本町にあります。
 永禄十一年、足利義昭上洛時の織田信長の観音寺城攻撃の際に、箕作山城南東側を領していた六角氏家臣の建部氏が守備するこの城を攻略し、信長の本陣を置いたとされます。箕作山城の陥落を見て観音寺城の六角氏は甲賀方面へ脱出したと伝わります。
 今回は「図解 近畿の城郭Ⅴ」を資料として出かけました。箕作山城の見学コースはいくつもあるようですが、建部氏の居館(建部城)があった東側のコースから登りました。
 建部城は、現在遺構は失われているようですが、以前の空中写真からその所在を探りましたので後述します。
※箕作山はここより南の尾根続きの最高所に有り、箕作山城のある山は清水山と名付けられています。


箕作山城 東側 建部神社の付近に登り口がある
 建部神社の参道を西に進むと箕作山城の登り口がありました。道路の余白に駐車し、害獣除けのゲートを開けて進みました。付近で草刈りをしていた地元の方から「山火事が怖いのでタバコは絶対ダメ。猪が出るかもしれないので棒で音を立てながら登るように」のアドバイスがありました。
 途中までは舗装の林道がありましたが建部大明神鎮座阯の碑からは道が失われていましたので尾根道へ出るまで直登でした。


箕作山城 建部神社参道からの道に登り口がある。害獣ゲートを開け閉めして進む
 登り口付近の道路余白に駐車して見学に向かいました。写真の石柱は付近の小松寺への案内石柱でした。


箕作山城  林道終点に立つ建部大明神鎮座阯の石碑
 登り口の建部神社よりもはるか昔に鎮座していたと思われる建部大明神の阯がありました。ここからは道が失われているので尾根まで直登しました。帰りがけに付近の方にお聞きしたところ、最近では村の若い人が登らなくなったので道が消えてしまったとのことでした。


箕作山城 主郭は鉄塔工事で盛土されて、土塁などがかなり埋まって、遺構の確認が困難になった
 資料によると、資料の縄張図は鉄塔工事の前に描かれたもので、主郭の土塁などが明確でしたが、工事によって盛土などで改変され、遺構の確認が困難になったとされます。
 確かに、土塁はかなり埋まっていましたので、資料の図がなければ気付かなかったかもしれませんでした。
ここからの展望は素晴らしく、上の写真では土塁の向こうに観音寺城のある繖山、和田山、荒神山などが写っています。


箕作山城 主郭西側の虎口付近の石垣 堀切はないが、石垣と切岸が主郭を守る
 箕作城の見どころはこの石垣です。西側からの侵入をここで食い止め虎口への侵入を阻止する位置にある石垣で大ぶりな石が使われていました。


箕作山城 主郭西側の虎口 左側はハイキング道
 石垣で守られた虎口は、両側に土塁が有りました。写真左側の道はいわゆる「破壊道」で現代のハイキング道です。
※南の箕作山から清水山に抜ける尾根道にはハイキングコースが設定されているので、往時の城道ではない道がアチコチにあって資料で確認しないと見誤る可能性がありました。


箕作山城 主郭南側の虎口  東側から 右側はハイキング道
 主郭の南下にもう一つの虎口が有りました。ブッシュに覆われているので、資料がないとハイキング道が往時の城道と思って見落としてしまったでしょうね。


箕作山城 東尾根の曲輪の石垣 伐採されたブッシュに覆われて石垣が見えない、残念!
 東側の尾根には何段かの削平地があり、虎口と曲輪を形成していました。写真の虎口周辺の石垣も見どころの一つだと思いますが、伐採されたブッシュに覆われてわずかしか見えないのが残念でした。
 ブッシュの伐採のおかげで素晴らしい眺望が得られているわけですから、一概に良し悪しは言えないなーと思いながら、石垣をのぞき込みました。


建部城 箕作山城を守ったとされる建部氏の館 建部城として天神社の南にあったとされ今は遺構はない
 この地区を領した建部氏の館跡は建部城とされ図1の建部上中町の天神社の南側に有ったとされます。
耕地整理によって遺構は失われたとされますが、耕地整理前の空中写真を見ると天神社の南側に堀跡に囲まれた館跡と思われる地形が写っていました。現在のGoogleMapに書き込んでみたのが図2の左側の写真です。
 空中写真の天神社の周囲にも堀跡があったようにも見えますので、ひょっとすると両方がセットだったかもしれないと思いますがどうでしょう。
※地籍図などでの跡地比定は思い違いも発生しやすいので、図2の比定も「かもしれない」レベルでご覧ください。

信長の観音寺城攻めで箕作山城が登場して有名ですが、思ったよりも小規模な山城でした。但し眺望は素晴らしく良かったです。



 


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