城と歴史歩きを楽しむ

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黒井城 丹波 見せる石垣が期待以上 主郭からの眺望も素晴らしい

2022-11-02 | 歴史

黒井城は兵庫県丹波市春日町黒井にあります。東海古城研究会の一泊二日の特別見学会「丹波・但馬の古城を訪ねて」に参加して篠山城と同日に見学しました。城主赤井直正は前城主の荻野秋清から黒井城をを奪い改修したとされます。直正は「丹波の赤鬼」と恐れられ、明智光秀の丹波攻めでも善戦したと伝わります。直正の死後、光秀に再度攻められ黒井城は落城し光秀の重臣斎藤利三が山下の下館を陣屋とし、ここで後の春日局が誕生したとされます。今回の参考資料は(1)見学会の資料 と (2)「国指定史跡 黒井城跡」丹波市教育委員会 です。 ※篠山城は→こちら


黒井城 登りはa 降りはbのコースで見学 
 山下からも山上の石垣がギリギリ見えましたが、山頂部の裏側には石垣が無く見せるための石垣だったように思いました。登りはゆるやかコースのa、降りは急坂コースのbで見学しました。


黒井城 石踏の段  東から 左下に二段の平場が在る 奥に赤門
 標高290m付近に石踏の段(せきとうのだん)と称する3段の平場が在りました。一番上の段は最も広くきれいに削平され赤門といわれる門がありました。赤門は取り壊しを逃れて移築された山下の薬師如来堂の門で、地元の方々によって改修・整備が行われているようで、城郭遺構ではありませんでした。


黒井城 パンフレット「国指定史跡 黒井城跡」の図を抜粋し加筆
 見学時間の制約がありましたので西出丸、北の丸、西の丸は見学できませんでしたが、石垣のある山頂部の見学ができ、黒井城を堪能できました。


黒井城 Ⅵ郭とⅤ郭南辺の石垣 左に虎口① 
 Ⅵ郭は石垣囲みの平場でした。写真奥はⅤ郭の南辺石垣で、いわゆる野面積みでした。左手の城道は虎口①で2回折れてⅤ郭に登りました。手すり付きの階段が設けられていましたが、遺構の保護を目的としているものでした。


黒井城 Ⅴ郭 一段上にⅣ郭 奥上にⅢ郭
 Ⅳ郭とⅤ郭の段差には石垣が無く一つの曲輪だった可能性がありそうでした。Ⅳ郭とⅢ郭の間には写真の様に石垣が築かれていました。


黒井城 Ⅲ郭 虎口② 手すり付き階段は遺構の保護用
 Ⅳ郭からⅢ郭へは虎口②で2回折れて登ります。遺構保存の為に階段を利用するよう注意書きがありました。


黒井城 Ⅲ郭 最も広い曲輪 奥上にⅠ郭  左奥にⅡ郭
 Ⅲ郭はⅠ郭よりも少し広い面積の丁寧に削平された曲輪で北西端部には堀切⑤が設けられていました。


黒井城 Ⅰ郭 石垣の虎口③ 登りは石段 手前下にⅡ郭
 Ⅲ郭からは枡形のⅡ郭を通って3回折れてⅠ郭に登りました。雑草に覆われていますが石垣遺構はしっかり確認できました。虎口の登り部分には石段が残されていましたが、こにも遺構保護用の階段が設けられていました。 


黒井城 Ⅲ郭北西辺の通路④ 破壊道か
 Ⅲ郭から直進でⅠ郭に登る通路④がありましたが城郭遺構の虎口ではなく、いわゆる「後世の破壊道」だと思われます。石垣の手前下には堀切⑤が在りました。


黒井城 堀切⑤    手前に貯水用石積⑥?(草でよく見えないですね)  右上にⅠ郭
 Ⅲ郭の北西辺には堀切⑤が設けられ、Ⅰ郭先端には石垣と低い土塁が設けられてⅠ郭の守りは厳重になっていました。堀切⑤の北端部には石積⑥が残り小規模な堰堤のようで、貯水又は井戸の機能があったのかもしれないと想像しました。


黒井城 Ⅰ郭 南東から 本丸跡の表示板アリ 奥に城址碑が立つ
 Ⅰ郭は丁寧に削平された曲輪でした。南東には低い土塁地形がありましたが他の周囲には土塁は見当たりませんでした。防御の要は切岸と枡形のⅡ郭だったようですね。城址碑には「保月城趾」とありました。ここからの眺めは360°の絶景でした。


黒井城 Ⅱ郭 南東隅の石垣   南東から 石垣裾に犬走⑨
 石垣で作られた枡形のⅡ郭は黒井城の見どころでした。枡形の下部は雑草で覆われていましたが、犬走⑨が設けられているようでした。
 

黒井城 枡形のⅡ郭 石垣南西辺 西から 石垣裾に犬走⑨
 この部分の石垣には金網の保護が行われていましたが、見どころの一つでした。南西面の石垣の一部⑩に崩落が見られました。


黒井城 Ⅰ郭 北西辺 Ⅶ郭から見上げる
 Ⅰ郭北西側は登城路とは反対方向にあたり、見せる場所ではない為か土の切岸でした。Ⅰ郭からⅦ郭へは図2の⑦、⑧の通路が残っていましたが、ヒョットすると後世の見学路かもしれないと思いました。Ⅶ郭への通路は犬走⑨だったのかもしれませんね。


黒井城 太鼓の段 尾根を削り取って曲輪が造成されている
 太鼓の段の面積は広いのですが、切岸以外に土塁等の防御施設は見当たりませんでした。東出丸とほぼ同じ標高にありますので南尾根からの侵入に対する防衛ラインに位置していたのかもと考えましたがどうでしょう。

黒井城はウェブサイトの赤色立体図などで期待を膨らませて見学しましたが、期待した以上の興味深い石垣遺構などの見どころが豊富で、登りはしんどかったですが楽しく見学出来良かったです。