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近江・梅垣城 四周をめぐる土塁が残り、9mを測る櫓台が圧巻 残りがよい遺構を楽しむ

2020-11-21 | 歴史

梅垣城は滋賀県甲賀市甲賀町滝にあります。梅垣は「めいがき」と読むそうです。
 多喜氏の居城と伝えられる梅垣城の歴史は古く、長享元年(1487)多喜環八は鈎の陣で戦功があったとされ、付近の多喜3城との関連もあったものと思われます。
 今回の資料は (1)甲賀市史 第七巻 甲賀の城 と (2)現地案内板 です。現地案内板の位置はわかりにくいので図2で確認してください。


梅垣城 多喜、北、南と合わせて多喜四城とも呼ぶ。梅垣城の入り口はわかりずらい
 梅垣城は害獣フェンスで囲まれ、民家の庭先を通るのもはばかられます。図2の位置に案内板が立っているのに気付くまで、見学諦めモードでした。見学路はありませんので、エィヤッ!と登りました。
※駐車は付近の路肩は狭いので不安でした。少し離れたAコースのは路肩が広くが安心です。多喜城なども同時に訪れるにはかえって好都合です。Bコースのは公民館の駐車場です。⯃駐車はあくまで自己責任で!


梅垣城 Ⅰ郭は土塁が四囲を取り巻き残存は良好、櫓台aはⅠ郭から9mを測る ②は後世の改変のようだ
 小さな案内板が道路わきに立っているので、ここから適当な場所をエィヤッ!と登りました。道や踏跡はわかりませんでしたが②の東辺土塁の開口部へ出ました。Ⅰ郭の内部は耕作地として改変され、現在も一部が利用されているようでした。

 
梅垣城 東辺土塁の開口部② 後世の道による改変に見える Ⅰ郭外側から
 Ⅰ郭の内部は耕作地として改変を受けていますが、ほとんどの遺構は風化を伴ってはいますが、原形を保っているようでした。この土塁開口部②は後世になって、東側から上る道のために開口されたのではないかと思いました。


梅垣城 Ⅰ郭内部 耕作地・果樹園などに利用されていたようだ 今も一部が利用されている
 Ⅰ郭内部は多くの面積が写真のようにきれいに削平され、一部が今も利用されているようでした。Ⅰ郭の四周には土塁がめぐっており虎口とbと開港部②以外に土塁の切れ目はなさそうでした。内部は30m×30mほどの広さがあり、櫓台下には井戸跡③もありますので往時は住居などがあったかもしれませんね。


梅垣城 虎口b 階段は後世のもので、平場①へ道があった 往時は虎口の幅は狭かった?
 図2によれば、虎口から平場①へ大手道があったようで、道は今でも確認できました。往時の虎口はもっと幅が狭く、後世に作業用の階段を付け虎口も広げたのではないかと思いました。平場①から降りる道は確認できませんでした。ここから先は民家の庭先でした。


梅垣城 東辺土塁 南から 分厚い土塁の奥に虎口bが見える
 Ⅰ郭は地山を削り出して平坦面を掘り下げ、四周の土塁や櫓台aは削り残しだと思われます。土塁幅にはバラツキガありますが土塁の天端は、今は風化していますが平坦に整形してあったようにみえました。


梅垣城 南辺土塁と西辺に続く櫓台a 東から    ③には井戸跡
 梅垣城城の見どころの一つが櫓台aの高さです。Ⅰ郭平面から櫓台の天端までの高低差は9mほどあり、圧巻でした。Ⅰ郭が地山の削り出しだとすれば、かなりの土木量にだったことだろうと想像しました。


梅垣城 Ⅰ郭 南西隅の井戸跡 ブッシュで形状や水の有無などの確認が困難
 案内板には「清水涌く泉井が現存し」となっていましたが、写真のような猛烈なブッシュで形や水の有無の確認は無理でした。季節によってはもう少し見やすいかもしれませんね。


梅垣城 櫓台a外側 南西下の土坑⑤ 城郭遺構ならば堀跡?
 図2の土坑⑤は、雨が降れば水が溜まるようで、底には水分を多く含んだ泥がたまっていました。往時からある遺構だとすれば南西方向に対する防御施設ということになりそうだと想像しましたが、Ⅱ郭の南側は狭い谷地形で耕作地がありましたので後世の農業用の溜池かもしれませんね。


梅垣城 南下のⅡ郭 西から 土塁のある腰曲輪だが原形が保たれているか?
 Ⅰ郭の南下にはⅡ郭がありました。Ⅱ-2の部分は深く掘り込まれていましたが、図2では描かれていません。資料(1)では描かれていましたので、作図時期が異なるのかもしれないと思いました。だとすると最近になって土採りがあったのでしょうか。また資料(1)では、Ⅱ郭とⅠ郭を直接結ぶ連絡路が見当たらないので両曲輪の関連はわからない、とされていました。確かにⅠ郭の虎口は1ヶ所で、土塁の切れ目は②だけですので往時には②とⅡ郭とを結ぶ道があったとでも考えるしかないのかもしれません。

梅垣城は漢字の読みの難しい城郭で、Ⅱ郭とⅠ郭の関連はハッキリしませんでしたが、遺構の残りがよく、9mを測る圧巻の櫓台も見学ができて十分に楽しめました。