堀田城は静岡県菊川市西方字松下にあります。
築城者は諸説があり、はっきりしないようですが横地城の支城として機能したとされ、室町初期に築城されたのが始まりで、その後何人もの城主が変わったと考えられています。堀田氏、松下氏や徳川家康に関連する伝承もあるようです。
今回の資料は(1)『静岡県の中世城館跡』静岡県教育委員会編1978 (2)「菊川市の城館 周遊マップ」です。
※資料(2)は ｢菊川市／文化財」で検索すると菊川市のHPで閲覧できます。PDFファイルで提供されていますが、縄張り図の解像度は少し粗いです。僕は菊川市教育委員会社会教育課文化振興係さん 電話 0537-73-1137 に問い合わせてマップを送っていただきました（無料でした！）。
堀田城 堀田正法が開基の正法寺の裏山に築かれている。遺構は複数の城主による変遷があると思われる
城址北側を流れる西方川の流路は改修され直線的になっており、崩落防止のための工事が行われて城址の一部も削られていました。そのため図１の８～14の遺構は消滅したようです。
正法寺の南側の7郭は、墓地として開発されて遺構は失われていました。このように遺構の一部が失われた堀田城ですが、残された部分だけでも大きな規模で遺構は見ごたえ十分でした。
堀田城 正法寺南側の7郭は墓地となっている 北西上から 奥に駐車場が見える
墓地の開発、拡張によって7郭は失われましたが７郭南辺の地形は残っているようでした。図２には7郭が描かれていますので、遺構があると思い込んでいましたので少し戸惑いました。
※駐車は正法寺参詣者用の駐車場を利用させていただきました。資料(2)では駐車場なしとなっています。
堀田城 現存する遺構の最南端の6郭 平場には堀田神社が祀られている
神社造営による改変の可能性がありそうなので、往時の形状かどうかの確認はできませんが、およその地形は往時の姿のようでした。東側に対する眺望は抜群で、足元から横地城まで広く見通すことができそうでした。
堀田 ①-5郭 間の尾根を断ち切る堀切
６郭から主郭に至る城道は尾根筋の南側を通っていて、尾根には堀切と平場が何ヶ所も設けられ侵入を困難にしているようでした。
堀田城 1郭から2郭を見る 間に②の虎口状地形がある 1郭は主郭か？
堀田城の主郭はどこか？ 図１の４郭には「堀田城 主曲輪」の標柱が立っていますので、４郭が主郭のようにも見えますが、1郭が主郭だった可能性もありそうに思いました。標高はどちらもほぼ同じですので、城の変遷の中で主郭だった時期があったのかもしれないと想像しました。②の虎口状地形は⑧郭方面からの城道に通じているようでした。
堀田城 南西下を通る城道から小平場④を経て1郭に入るルートを想定する
6郭方面からの城道から1郭への道を探してみると、不明瞭ながらも小平場④を経由しての道があったように見えました。④から1郭へ上る部分の虎口地形は風化で輪郭は明確ではありませんでした。
堀田城 治山工事で遺構8郭～14郭が失われた1郭北側の法面 西から
北側の山下には西方川が流れ、隣接してJR東海道本線が走っています。8郭～14郭の崩落があると大きな災害になりそうな場所だからでしょうか、治山工事で山体を大きく削って遺構は消滅していました。
堀田城 3郭から一段上の4郭を見る 4郭には「堀田城 本曲輪」の標柱が立つ
3郭と4郭は一続きの郭ですが、４郭の方が一段高くなっていて｢本曲輪｣の標柱が立っていました。主郭の意味で本曲輪となっていると思いますが、権現原方面からの敵の侵入を考えると１郭の方が主郭だったと想像してみましたがどうでしょう。
堀田城 4郭の南側に広がる権現原 今は広い茶畑となっている
遠州地方には徳川家康ゆかりの地として「権現」の付く地名が多いように思います。武田軍が侵出した地区に「信玄」の付くゆかりの場所が多いのと同義でしょね。今では広大な茶畑になっていましたが往時は城郭関連だったのか資料では確認できませんでした。
堀田城 北東尾根の15郭 手前に堀切・土塁⑧
４郭の北尾根には、地形を利用した15郭と16郭の平場があり、その間に尾根を断ち切る堀切が設けられていました。15郭は写真で見てわかるように両側が少し高くなっていました。手前の堀切・土塁⑧の形状はゴチャゴチャしていました。この先尾根の先端部まで遺構が続いており先端には堀切⑫があり尾根の西側には細いですが長い帯曲輪⑩も残っていて見応え有りでした。
今回、紹介しきれていませんが堀田城には数多くの見どころが残っていましたので、大満足の見学となりました。