晴れ、ときどき映画三昧

「ダークナイト ライジング」(12・米 英)75点


 ・ 王道のヒーローもので完結したダークナイト3部作。

                   

 アメコミのヒーロー・バットマンの実写版第7作、クリストファー・ノーランのダークナイト3部作完結編。主演はシリーズ3作ともクリスチャン・ベールが演じている。

 「バットマン ビギンズ」(05)でバットマンことブルース・ウェインの生い立ちを描き、リアリティ溢れるバットマンを登場させたC・ノーラン。

 第2作「ダークナイト」(08)では宿敵ジョーカーを登場させ、正義とは?ヒーローとは?という根源的なテーマを追及して大ヒット。

 完結編は大いなる期待を背負っての登場。ジョーカーとの死闘から8年後。つかの間の平和を取り戻したゴッサムシティの壊滅を宣言したのはべイン(トム・ハーディ)。自宅にひきこもり身も心もボロボロだったブルース・ウェイン(C・ベール)は、証券取引所の破壊で財産も失ってしまう。

 普通の人間が頑張ってヒーローを演じるにはそれなりの必然性とプロセスがあり、その行動がどのようなものであり、どう受け止められたかは前2作で描かれている。

 唯一の味方・執事アルフレッド(マイケル・ケイン)とも別れ、孤独の闘いを決意したブルース。怪力のマスクマン・ベイルとの闘いに敗れ、奈落へ幽閉され地下牢獄で死を覚悟する。

 今回の敵であるベインは、デント法で表向きの平和を維持するゴッサムシティを否定し、ウェインが隠し持つ「クリーンエネルギープロジェクト」核融合を強奪。パヴェル博士を脅迫して中性子爆弾を製作させ壊滅を図ろうとする。
 
 絶体絶命のウェインが如何に地下牢を脱出し、ゴッサムシティの平和を取り戻すか?というどうやら王道のヒーローものに徹しているようだ。

 そこにはコミック版へのリスペクトが見られ、ノーマン製リアルなバットマンが如何に全うできるかを図りながらの完結編でもあった。

 お馴染みの執事アルフレッド(M・ケイン)、ウェイン・エンタープライズ社長フォックス(モーガン・フリーマン)、ゴードン警察本部長(ゲイリー・オールドマン)に加え、アン・ハサウェイがキャットウーマン役で彩を添えている。出番はそれほど多くないが、充分印象に残るシーンで役柄を魅了した。

 ラーズ・アル・グール役のリーアム・ニーソン、ジョナサン・クレイン役のキリアン・マーフィも完結編らしく顔を出しているが、新登場のミランダ役のマリオン・コティヤールは勘のいい人なら役柄を見抜いてしまうだろう。

 敵役ベインを演じたT・ハーディは逞しい身体のスキンへッドにマスク姿で素顔はホンのちょっという俳優としては複雑な役を見事に演じていたが、正体がバレてからは尻ツボミだったのは気の毒。
 
 大活躍したのが、若き警官ジョン・ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。怪我をして身動きが取れないゴードンや危機は避けたがるフォーリー副本部長(マシュー・モディーン)に成り替わり孤軍奮闘する姿は、まるでバットマンのような大活躍。

 まるで誰でもその気になればバットマンになれるのだという暗示のよう。終盤で本名がロビンと分かるのは、もしかして続編があれば彼がバットマン?

 今世界が不安を抱えている経済危機、政情不安、核開発競争などをゴッサムシティに織り込んだ本作は、バットマンとベインの格闘シーンや殆どをCGではなく実写で魅せた映像で、伝説のヒーローものを完結させた。

 

                   
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