晴れ、ときどき映画三昧

「クライム・ヒート」(14・米 )70点


・ トム・ハーディの新たな魅力を惹きだしたハードボイルド。




デニス・ルヘインの原作「ザ・ドロップ」を自ら脚色、ベルギー人監督ミヒャエル・R・ロスカム、トム・ハーディ主演で映画化された。

NYブルックリンでチェチェン・マフィアの裏金を預かる仕事を請け負うドロップ・バーを経営するマーヴ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)と従兄弟のバーテンダー・ボブ(T・ハーディ)。

ある日、2人組の覆面強盗から5千ドルを奪われ、金を取り返すようマフィアに命じられた二人が犯人探しをするが・・・。

地味なテイストで劇場未公開作品だが、翌年「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」(15)で大ブレイクしたトム・ハーディの別な魅力満載のハードボイルドで、彼のファンなら必見だ。

物静かで普通の目立たない孤独な男だが、バーテンダーの日常を淡々と描いた序盤から、切り落とされた強盗の腕をラップして処理する様子からただものではないイメージが漂う。

一方ゴミ箱で泣いていたピットブル犬と戯れる優しさもあり、その縁で知り合ったナディア(ノオミ・ラパス)との距離感も観客の気を惹く設定が隠し味となっている。

N・ラパスを演じたのはミレニアム3部作のヒロインでお馴染みのスウェーデン女優。ナディアの元カレでDV男エリックに扮したのは「リリーのすべて」(15)のマティアス・スーナルツ。

ピットブル犬ロッコを巡ってこの3人が展開するドラマは孤独な男ボブの哀愁と狂気が交錯して行く。

ドロップ・バーに携わるボブとマーヴには闇社会から抜け出すことはできそうもないが、生き残ったボブにはラストに明るい兆しがあって、救われる。

マーヴに扮したJ・ガンドルフィーニは、公開前に51歳で亡くなってしまった。味のある個性豊かな名脇役の遺作としても記憶に残る作品だ。





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