晴れ、ときどき映画三昧

「半落ち」(04・日) 65点


 ・ 横山秀夫のベストセラーを豪華キャストで映画化した社会派サスペンス。


      

「クライマーズ・ハイ」などのベストセラー作家・横山秀夫の原作。題名は警察用語で「一部自供」という意味。優秀な警察官である梶聰一郎(寺尾聰)が妻(原田美枝子)を絞殺し、出頭するまで<空白の2日間の謎を巡る>サスペンス風社会派ドラマ。監督は「陽はまた昇る」(02)でデビューの佐々部清で脚本も担当している。

 自首してきた梶を担当した警察官・志木和正(柴田恭兵)、検察官・佐瀬銛男(伊原剛)、新聞記者・中尾洋子(鶴田真由)、梶の弁護を買って出た植村学(國村隼)、そして判決文を書くことになった若い裁判官・藤林圭吾(吉岡秀隆)の立場から、事件に関わった背景やエピソードを交え物語が進展して行く。

 とにかく豪華キャストである。主要人物以外でも西田敏行・樹木希林・高島礼子・井川比佐志・奈良岡朋子などが次々登場。検察事務官・田山涼成や刑務官・笹野高史などチョイ役でオイシイ役もあり、それぞれの達者な演技を楽しむには見応え充分。

 空白の2日間に何があったのか?というミステリー的興味は終盤までに解明してしまい、寧ろ<尊厳死>がテーマとなっている。

 7年前一人息子を急性骨髄性白血病で失い、妻が若年性アルツハイマー症という境遇の主人公。自分が梶だったらどうしただろう?という悩ましい選択を迫られた場合、同じ行動はとても取れなかっただろう。とはいえ当事者になってみないと分からないのかも・・・。

 公開時には裁判官・藤林の判決文を書くまでの思い悩む姿や公判での結審時の朗読があったような記憶がある。「魂が壊れてしまったという人間にも生きる権利があり、何人でもそれを奪うものではない」という正論が語られていたハズだったが、今回再見したものはカットされていた。

 梶夫婦が亡くなった息子の代わりに生き甲斐としていたことへの喪失が悲劇となって泣かせる映画を志向したため、力作ながら共感と反論が相半ばしてしまったのが残念!
  
 

 

 

   
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