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Blog ~建築的日常生活&RUN~

静岡にある建築設計事務所、業務とそれ以外の活動、趣味の話、ちょっと考えたことなどを記録しています。

体育館観察

2007年05月07日 | 

 連休に長野に行ってきました、そのとき見てきた建物です。千曲市にある「更埴体育館」、合併する前の更埴市の体育館です。これまでも気にはなっていたのですがなかなか寄って見る機会がありませんでした。今回は時間に余裕があったので子供を敷地内の公園で遊ばせながらゆっくり見てきました。

 建てられてからかなり年月が経っていると思われます。コンクリート打放しの外壁、和の雰囲気を漂わせる屋根、よくみるとかなり凝ったデザインをしています。両サイドに持ち出した2階を支える頬杖のような柱はそのまま2階を貫通するように屋根を支えています。1階と2階をつなぐ折り返し階段の踊り場の下に柱を作らず浮かせてあり、なぜかその裏だけ紅色に塗られていました。ガラス面の分割もさりげなくデザインされています。そのほか雨樋の処理や床下の換気スリットなど細かい見所がいくつかあります。一方でこの微妙な曲面や傾いた面などを施工するには手間がかかったと思われます。

 その地域ではなんでもない見慣れた体育館をカメラ片手にぐるぐる回って見ている私をタクシーの運転手さんが不思議な顔で見ていました。設計者、施工者をインターネットで検索してみましたが分かりません。裏には軽トラやトラクターが置かれていたりして地域の中になじんでそれほど注目されることのない建物ですが、設計者と施工者のパワーが感じられる興味深い建物でした。

蔵の街

2006年10月28日 | 

 建築士会全国大会の旅、2日目次は栃木蔵の街へ行きました。栃木駅の周辺に蔵や古い建物が多く残っていて、今も使われているものがあり、博物館や資料館などもあります。

 私は以前長野県松本市に住んでいたことがあります。松本も多くの蔵が残っていて目にすることも多かったです。日常の仕事の中で蔵の改修を扱うこともありました。しかし、信州では漆喰になまこ壁や茶色の土塗り壁の蔵が多いのですが、ここ栃木では大谷石を外装に使ったものを多く目にすることができます。外装が変わると蔵も近代風に見えます。

 町全体としては歴史的な建築物がポツリポツリとあるといった感じです。これらの点が通りといった線的なものや街区の面的なものでまとまてくるとさらにいい感じになるような気がします。市街地の中で川に面して歴史的建物が繋がっているある場所があり、そこの風景がきれいでした。

ここでは結構時間があったのですが、昼食をとるお店を探して、食べて、お土産を買って終わりでした。うろうろとおなかをすかせて街を徘徊するなかで歴史的な建物のある風景を楽しんできました。



彫刻と建築

2006年10月27日 | 

 建築士会全国大会の旅2日目の最初に立ち寄ったのは日光東照宮でした。日光東照宮に行くのはこれが初めてでした。三猿、想像の象、眠猫、その裏の雀と有名な彫刻を一通り見た後、鳴龍を聞きました。

 彫刻や各部の細工がすばらしいのでそれらに目が行きがちですが、それらが寄せ集まった門や建築物は独特な雰囲気があります。彫刻としても建築物としても成り立っています。

 しかし、かなり人が多いので建物の周囲も含めた全体をゆっくり眺めることが難しかったです。人が少なければばまた違う感じで見られるのだろうと思います。写真の陽明門は変な構図ですが、下のほうは人がいっぱいなのでカットしてしまいました。とは言っても、自分もそんな群集の一人でした。

巨大地下空間

2006年10月26日 | 

 建築士会全国大会の旅で立ち寄った大谷石資料館。住宅の塀などでおなじみ大谷石の産地である大谷には多くの採掘場があります。大谷石資料館では地下採掘場跡を見学できます。

 資料館へ近づくにつれ大谷石の岩が目に付くようになります。切り立った崖が斜度100度くらいだったり、一部が横に突き出していたり、見慣れない光景が目に入ってきてワクワクしてきます。

 資料館は地味な建物ですがこれは単なる入口なのです。そこから地下に続く階段を下りてゆくとひんやりした空気につつまれて、目の前に巨大地下空間が広がります。高さ20mくらい幅30mくらいの四角い横穴が100m以上続いています。その横穴が縦横に格子状に造られていて、天井から地上の光が差し込む場所もあります。全体で間口150m、奥行き140mということです。

 床も壁も天井も大谷石で照明に照らし出される岩肌の素材感、日常の生活で体感することのないスケール感、なんとも不思議な感覚です。これまで見てきた「○○資料館」と呼ばれるものの中で一番楽しめました。

秋野不矩美術館に行ってきました。

2006年09月05日 | 
 すこし前のことになりますが浜松市二俣町にある秋野不矩美術館に行ってきました。日本画家「秋野不矩」画伯の作品を常設展示する美術館で建物は藤森照信氏の設計です。

 あいにくの雨の中駐車場に着きました。丘の麓に駐車場があり美術館へは坂道を登っていくことになります。駐車場からは木々に埋もれるように三角形の屋根が見え、建物は周囲の自然の中になじんでいます。傘をさしながら坂を上っていくと道は大きく曲がり、建物の全景が見えます。グレーの屋根、少し汚れた茶色の外壁、壁から突き出す雨樋など、藤森氏らしいつくりが各所に見られます。なんともいえない独特の存在感です。汚れが付きにくく、メンテナンスフリーの外装が求められる時代に、このようなものをつくってしまったことがすごいです。

 これまで私は2度ほど藤森氏の講演会に行ったことがあります。また、茅野の神長官守矢資料館も長野に住んでいるときに見てきました。そのときは、こういう建築のとらえ方、作り方もあるんだなあと考えさせられました。実際に作り上げるにはいろいろ苦労もあると思うのですが、「建物を造る」ということのなかにある「楽しさ」を大切にされているという印象をうけました。

 この建物の話しもその講演会で聞いていたので、「これがあのとき話していた部分だ」などと思いながら、秋野不矩さんの作品とともに、ゆっくりと見学し、その空間を体感してきました。ところどころに興味深い造り方や、材料の使い方をしています。その感触や経年変化のようすなども観察させてもらいました。

 建物を出ると雨がやんでいました。日も出ていくらか明るくなってきました。天気が変わることで建物もまた違う表情になります。太陽に照らされながらもしっとりした雨上がりの様子に、建物の良さがよく出ているように感じました。

安曇野

2006年08月17日 | 

 夏期休暇で妻の実家のある長野に行き、帰ってくる途中で安曇野に立ち寄りました。安曇野はこれまでも何回も行ったことがあるので、特別見たい施設や建物があるわけではありませんでしたが、天気がとても良かったのでよってみました。

 家族が一緒だったので普通にレジャー施設で、お土産を買ったり、アイスを食べたりして時間を過ごしました。それでも、ただ車を運転していながらも、目に入ってくる空の青、森の深い緑、眼下に広がるの田園の黄緑、窓を開けたときに入ってくる湿っていない空気が心地よく、それだけで満足できました。

 そういえば、私が設計事務所に就職して最初に担当した仕事は、安曇野の別荘の車庫の設計の仕事でした。自動車2台分程度の小さなものでしたが、雪がたくさん降るので鉄骨でかなり頑丈に設計しました。今思うともう少しすっきりできなかっただろうかと思います。今回は時間が無かったので見てきませんでしたが、また、安曇野に行く機会があったら、様子を見てみようかと思います。しかし、入り組んだ別荘地内だったし、もう10年近く経っているのでそこまでたどり着けるか少し不安もあります。

長野へ行ってきました

2005年08月17日 | 
 夏休みに長野に行って来ました。私は大学に入るために信州に行き、そこで就職し、10年ほど暮らしました。

 建築を学び、仕事について、実務をこなしていくときに目の前には信州の風景がありました。夏の緑色に広がる田園の中に建つ軒の深い黒い民家、町の中に残るなまこ壁の土蔵、秘境と呼ばれる温泉地の木造旅館。それらの建築物の感覚的な記憶を今も設計を行うときに考えることがあります。そして、信州を訪れるたびにその感覚がよみがえり、心地よい懐かしさと、原点に立ち返るような感覚を感じることができます。

 環境がまったく違う場所で現在は仕事をしていますが、部分的でもいいからどこかにそういった心地よい感覚を生かすことができればと常に思っています。