小林美希の取材日記(つぶやき)

取材を通して思う素朴な疑問や、日々の出来事を紹介します。 

読者からの電話

2006-04-18 23:41:37 | Weblog
 今日、読者から電話で週刊エコノミストで特集した「娘・息子の悲惨な職場」のバックナンバーについて問い合わせがあった。大きくいえば、前回(3月28日号)はPART4だったため、PART1~3がいつのものか教えて欲しいという電話だった。その読者は、大学2年生の娘をもつ母親だった。地方の国立大学理学部に入学した娘の行く先を心配して、いろいろ勉強しているという。

 その母と少し、話をした。母はこういう。

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 新卒できちんと正社員として就職しないと、ずっと正社員になれない。一度道を踏み外すと頑張ってもずっと正社員になれないのおかしい。

 子どもが大学2年生。親なら誰だって子どもの就職や将来が気になる。まして、親世代は大卒でも就職できないなんて経験がないから、今の雇用情勢がよく分からない。ただ、女の子の就職は男の子よるずっと厳しいことは容易に想像できる。もともといつの時代も家庭も仕事も両立しなければならない女性は大変。そして、今時、女だから就職後、結婚して専業主婦なんて考えは既に野暮ではないか。

 そして、就職後に迎えるだろう結婚――。今の若者が結婚しないのは、わがままだと思っていた。しかし、雇用不安や経済不安から結婚できない現実を誌面から知ると、無理に「結婚しなさい」なんて言えなくなった。低収入、不安定雇用のなかで結婚が無理なことが身に染みて分かった。

 厳しい若者の雇用の現実や就職難は、みんなが把握しているわけではない。だから、そういった雇用の現場を追い続けて欲しい。そして、何度も特集をしているなら、取材の労力を無駄にして欲しくない。その場限りの報道にしないために、是非とも単行本を書いて欲しい。週刊誌も良いが、買いはぐってしまうとバックナンバーを問い合わせない限り読めない。本なら書店で長く置いてあり、多くの人の目に触れることができるのだから……。

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 このような電話の内容。

 記者個人としては、メッセージが伝わったことと、自分の記事を必要としてくれ
る読者の存在を改めて知り、これからもしつこいくらいに、この若者をとりまく問題を追い続けなければと熱く想った。

 ただ、いつも思うのは、こんな暗い記事をいつまで書かなければならないのか。そして、いつまで親は子どもを心配して必死にこんな記事を読まなければならないのかということ――。

 でも、若者の問題は、私も就職率が過去最低を記録し初めて60%を割り込んだ2000年の卒業生なだけに、自分たちの世代の問題について、声を挙げていかなければならないと強く思ってる。
 
 評論家や学者の机上の意見ではなく、心から分かり合った現場の声を今後も伝えていこうと思う。

小林美希