まさか、まさか、THE SLUT BANKSのアルバムと同日に、DEAD ENDの新作を楽しむことができる日が来るとは、、、 もう、驚きを超えて、呆然ですよ。
僕が中学の頃、それこそ今から20年以上前、僕はDEAD ENDを遠くから何かを感じ、ZIGGYに酔い、ZI:KILLに狂って、ロック人生を歩むようになりました。それから、20年以上が過ぎています。それでいて、この今になって、当時の僕のHEROたちが、同日にアルバムを出すなんて…
しかも、ノスタルジーに訴えかけるような作品じゃないですからね。ホンキの魂のこもった最先端サウンドをブチまいているわけですからね。もう、よく分からない…
今のDEAD ENDは一体何なのか。かつてのDEAD ENDよりも、何百倍もつかみにくいバンドになっています。従来の「音楽ジャンル」でカテゴライズできないサウンドと言いますか、メタルでもないし、いわゆる「ヴィジュアル系」でもないし、ポップでもないし、かつてのDEAD ENDでもない。まさに、唯一無二のサウンドになっています。でも、確実に「ROCK」ですね。
今回の作品は、前作の方向性をより突き詰めて、よりサウンド的にダイナミズムを追求した音になっていると思います。前作よりも、ヘヴィーで、マニアックなのに、どこか聴きやすい、という曲が多いのが印象的でした。ギターのリフとかが、すごい聴きやすいといいますか。
http://natalie.mu/music/news/64123
01. 水晶獣 <Crystal Beast>
意味深なタイトルのこの曲でアルバムは幕を開けます。ツーバスが印象的です。ギターリフが印象的で、現在のDEAD ENDのサウンドのエッセンスがしっかりと盛り込まれているような一曲です。途中のMorrieの語りというか、叫びが聴きどころかな。あと、泣きのギターソロも聴きごたえありますね。メロディー的には、従来のDEAD ENDっぽい部分もあり、今の彼らのサウンド的には、聴きやすいんじゃないかな。個人的には、山崎さんのドラミングにうっとりさせられます。巧い!
02. Conception
シングル曲ですね。こちらもメロディー的には従来のDEAD ENDを感じつつも、今の彼らの音世界のマスターピースとなっています。とにかくギターの音が抜群にいいです。これぞ、エレキギター!という。歌詞は「近親相姦」がテーマだといいます。ものすごい官能的で、インモラル的な歌詞に、このエレガントにして不気味なサウンドがマッチしています。セクシーにして、タブーな感じがすごい出ています。アートサウンドと言っていいのかな。
03. SSS
洋楽的な始まり方に驚きます。ものすごい海外的。けど、すぐにDEAD ENDワールドに突き進んでいきます。これは、僕、大好き。こういうハイスピードのメタリックサウンド、大好物です♪ めちゃめちゃライブにぴったりのサウンドですね。こういうのって、ヴィジュアル系的っていうのかな。。。海外のシンフォニック的な要素もあるし、ラウドロック的なヘヴィーさもある。そして、このスピードチューン。エキサイトしまくりです。歌詞はこちらもなんか病的な性を描いていますね。
04. Calamity
これ、僕が中学の時に好きだったDEAD ENDの世界が詰まってます!好き♪ 妖しいです。ダークです。ヘヴィーです。これもまた猟奇的な性的衝動みたいなのがテーマになっていますね。あれー。DEAD ENDって、こんな変態的だったっけ?と思うほど。ま、昔から猟奇的ではありましたが。まさに、DEAD END(行き止まり)そのものを描いた一曲になっています。ワウを多用したギターソロの謎めかしいメロディーも聴きどころ♪
05. Seiren
すごい!!!最初のギターがめちゃめちゃカッコいい!! このギターリフ、たまりません。そしてコーラスもまた最強。超ハイスピード・メタルサウンド炸裂ですよ。DEAD END史上でも稀にみるほどのハイスピードです。けれど、若いヴィジュアル系バンドマンには出せない味というか、雰囲気がありますね。確実に。それでいて、意外にも結構メロディーがしっかりしていて、聴きやすい。それこそ、今の若いダーク好きの子たちに聴いてもらいたい一曲かも。ギターソロも、若いギタリストに聴いてもらいたい。早弾きだけじゃねーんだぞ?!っていう。歌詞は、タイトル通り、すごい神秘的です。セイレーン=人魚。
06. Angel
04に続き、アダルトなDEAD ENDを感じるダークでメロウで空間的な一曲です。これも、なんとも独特な世界を描写していますね。彼らの年齢を考えると、なんとなく分かる歌詞ではありますが。曲と歌詞を同時に意識して、聴くと、たしかに自分の無意識の世界の何かがこじあけられそうになります。ま、まだ30代ですけど。官能的であり、本能的であり、そして、難解であり、、、
07. 虚無を超えて
気持ち悪い変拍子曲。6/8という乗りにくいビートで、ホント気持ち悪いです(苦笑)。でも、そこがとても気持ちいいという。サビ後のユニゾン部分は、ホント気持ち良いです。それにMorrieさんの独特なヴォイスがからむと、もう、たまりません。この曲は、アルバム後半に向かうためのある種のクッションになっていますかね。BGM的に楽しめる感じです。真面目に聴くと、疲れます(爆)
08. 夢鬼歌
既にシングルとして発表されてます。僕は、アルバムに収録されると思い、買ってませんでした(苦笑)。シングルって聴かないんですよね。どこでも使えない、、、 それはそうと、これ、カッコいいですね。LUNA SEAのメンバーも喜んでいるんじゃないかな? DEAD ENDに影響を受けたLUNA SEAに捧げるDEAD ENDのヴィジュアル系サウンド、という感じ?! これほどの曲なら、一度しか使用しないとしても、買うべきだった…汗 これは問答無用でカッコいいです。ギターソロもエフェクト効果で、ものすごい広がりができてます。しかも、飽きさせない!という。
09. Final Feast
こちらもシングル曲。こちらは08と違って、「これ、シングル曲か?」と思うほどに、いびつな曲。歌詞も、いびつ。というか、猟奇的。サウンド的には、凄いですよ。これは、他のバンドには無理でしょ。難解で、複雑で、そして(重要なのが)雰囲気。この雰囲気はなかなか他のバンドには出せない。ただ、LUNA SEAが好きな人は、絶対この曲好きだと思うな。特にSUGIZO的な世界観が好きな人は。あと、サビのシンコペーションしているところが、すごいうねってて、気持ちいいです。巧いだけじゃない。グルーブがある。そこが凄い。
10. No Man's Dream
ようやくここにきて、静かな曲が(苦笑)。ちょっとホッとしましたもん。09まで、迫力あるサウンドだったので。この曲は、イントロ~Aメロと、Bメロ以降で随分とイメージが違いますね。Aメロのギターリフがもうたまりません。この音だけを聴いて眠りたいです。Bメロは、ちょっと昭和歌謡っぽい?いや、メロウでねっとりしたメロ。サビは、浮遊感たっぷり。気持ちいい、というより、眠くなります。いや、眠ろうと思いたくなります。サビ後のギターは、もう「旨みたっぷり」ですね。こういうギターが熟したギターっていうやつでしょうね。裏のドラムに味があります。前半と後半で、全然曲の世界観が違うという感じです。で、最後の〆、アルバムの終着点へと向かいます。
11. Deep -流星白書-
この曲、本当はギターだけのインストだったらしいんですよね。そこに、Morrieの妖しいメロディーが重なっている、という。インストとして聴くこともできるし、一つの歌として聴くこともできます。本作=大作の〆にぴったりな曲です。なんか、月に帰っていく、みたいな。はー。
本当に凄いとしか言いようがない作品でした。僕がDEAD ENDに期待する以上の応答があった気がします。前作よりもはるかにイマジナリーな感じがします。そして、デカダントで、ミステリアス。
今の僕の「耳」に一番気持ちいいサウンドになっていました。だから、大満足。ただただカッコいいなぁ、と。今回の作品で、改めてギターのYouさんの才能、技術、センスに感服いたしました。