久々に、武者ぶるいするようなお店と邂逅しました!
先日、悪麺友のらんちばさんが紹介した「ラシゴーニュ」というお店です。
http://blog.livedoor.jp/lanciba/archives/51998186.html
僕はこのブログでも、ヨーロッパとラーメンの接点を探してきました。あるいは、洋食とラーメンの融合の可能性を探ってきました。洋風ラーメンは、決して「マス・メディア」的な関心にはなりませんが、静かに点在しています。中国と日本の食文化の融合によって生まれたラーメンですが、未来的には、そのラーメンと洋食の融合もあり得るのではないか、と思っています。
船橋にそんな未来を感じさせるお店がこの10月にできたと知り、僕は震えました。僕的には、らんちばさんブログで今年一番の大ヒットかな、と思っています。それくらい、らんちばさんの記事を読んで、震えました。
そして、ようやくそのらんちばさんと共に、「ラシゴーニュ」に行くことができました
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ラシゴーニュは、住所的には船橋市宮本6-2-27ですね。
http://tabelog.com/chiba/A1202/A120201/12030110/
駅からはちょっと離れますが、船橋駅から歩くことはできます。ちょっと歩きますが。地図的には京成船橋と大神宮下のちょうど中間あたり。
お店の外観は、どこか南フランスを思わせるような感じ。ヨーロッパの田舎のおしゃれなレストランみたいな感じでした。オープンテラスがあれば、ばっちり。あ、でも、もともとは居酒屋さんだったんだとか(苦笑)。いわゆる居抜きのお店らしいです。
店内はカウンター席のみ。結構狭いですね。6人も入れば満員御礼でしょうか。こういう小ささもまたマニア的にはポイントが高いです。が、ヨーロッパ的には、もう少し大きくて、テーブル席があるといいなぁ。でも、そこは本質ではないので。
メニューをみると、シンプルに、「チキンラーメン」(1000円)とありました。これは、僕らがイメージする「チキンラーメン」ではなく、「チキン&ラーメン」ですね。鶏肉のグリルと味噌ラーメンのセットメニューと思えばよいでしょう。肉なしのラーメン(単品)は700円。お手ごろ価格です。
こちらのラーメンは、スイスで1年間料理の勉強をしてきた店主さんが、ラーメン好きということもあって作ったラーメンらしいです。スイスで洋食を学んだ店主さんが作る渾身の一杯と言ってよいでしょう。もうこの時点で僕のテンションはMAXですが。。。
店主さんは、スイスのジュネーブに住まれていたそうです。僕はドイツ語圏のスイスがメインなので、ジュネーブのスイス事情のお話を聞かせてもらいました。フランス語圏のスイス人は、フランス語が嫌いだという話も教えてもらい、新鮮でした。ラーメン店でこういう話ができるなんて、新鮮です。帰国後、稲毛で「こうのとり」というお店をやっていたそうなのですが、ラーメンが好きということもあり、こちらにお店を出店したそうです。なお、そのこうのとりは現在、店主さんの弟さんが営んでおられるとか。最初、企業系かと思ったけれど、個人店ですね。ますます応援したくなりました。
もちろん「チキンラーメン」を注文しました。
出てきたラーメンを見て、(知ってはいましたが)驚きました。チキングリル(1/2)がまるごとお皿にのっています。ラーメンとは別皿で、ラーメンとチキンがどーんと迫ってきます。このビジュアル、さすがに圧巻ですねー。嬉しい気持ちになります。
ラーメンは、基本的に鶏(鶏ガラ+丸鶏)と野菜で炊いたスープに、ご主人が考え抜いて作った味噌ダレを合わせたものでした。言えば、「鶏味噌ラーメン」ということになりますかね。
らんちばさんの記事を読んでいたので、「ふーん。本当にすごいんかいな?!」というちょっとひねくれた気持ちで、スープを飲みました。そうしたら、何なんですか。このスープは。味噌スープと言えばそうなんでしょうけど、これまでに味わったことのないスープなんです。これは言葉にできない!と思いました。なんともさっぱりしていて、すっきりしていて、味噌っぽくない味噌スープなんです。辛さもあるとのことでしたが、ほとんど辛さもなく、ひかえめです。こう書くと、ライトな味噌ラーメンだと思われるかもしれませんが、そうでもないのです。
スープ的には、明らかに「濃厚」なスープなんです。でも、極めて「あっさり」しているのです。味的にも薄味。でも、スープ自体はかなり濃厚で、重みがあるのです。これまで「あってり」だとか、「こっさり」だとかわけのわからない言葉を使ってきましたが、ここのラーメンは、薄味であり、どこまでも深みのある濃厚スープと言ってよいと思います。これは、凄い。。。
なんかね。分析できない味といいますか。とにかく手が凝っているということだけ分かります。が、何をどうしたらこの味が出せるのか。想像できないのです。そこがさすがプロの仕事って感じがしました。きっとタレに相当の力を入れているように思われます。洋食では「ソース」が最も重要になってきます。ソースはそもそも、食材のもとの原型をとどめないもので、どこまでも美味しさを追求するものです。そういう感覚のタレなんだろうな、と邪推しました。
新しすぎる味噌ラーメンと言ってもよいかもしれません。この新感覚さは、鶏麺屋どーち以来の衝撃です。過去に経験のない味わい。まさにNEW WAVEなラーメンでした。
また、多様化する味覚に応じるために、各種スパイスが用意されています。
なんか、総豊を思い出しました。こうした発想は当時、本当に斬新でした。
さらに!!!
そこに、こんがりと焼かれた鶏肉がどーんと用意されています。こちらも薄味になっています。まさに鶏肉です。ヨーロッパでは鶏肉を一羽まるごと焼いて食べる習慣がありますが、まさにその王道。表面はカリカリ。中はやわやわ、という。店主さんによれば、「このお肉をラーメンに入れて召し上がってください」とのことでした。チャーシュー代わりにしては、ダイナミックすぎますね。素晴らしい発想だと思います。
僕的には、このグリルチキン、もっと味が強い方がいいかなと思いました。店主さんにも申し上げましたが、ラーメンも味的に大人しい。これでチキンも大人しかったら、食べ手の印象としては弱いものになってしまう。ラーメンのスープはかなり独創的で、しかも超個性的。そしてかなり完成度の高いスープなので、これ以上いじる必要はないし、いじった結果、従来の「味噌ラーメン」の枠内にいれこまれてしまう可能性も高い。けれど、このスープだと、「次にまた絶対に食べるぞ!」という強いモチベーションも生まれない。とすれば、このチキンの味を思い切り強くして、食べ手の印象を強くするのがベストかな、と。
ドイツで僕も何度もチキンを食べていますが、印象としては、しょっぱい、香ばしい、カリカリ、という感じがします。ゆえに、病みつきになります。「また食べたいなぁ」って思います。で、そういうチキンであれば、薄味で控え目でかつマニアックなラーメンでも、お客さんを二度目、三度目と呼びこめると思うんですよね。僕の寵愛するどーちも、ラーメンこそ超変化球ですが、から揚げは王道、直球、そして最高に美味しい(=味がしっかりついている)わけです。どーちでのから揚げ注文率はかなり高いですからね。
このスタイルが定着すれば、ラーメン一杯1000円という壁もブチ壊してくれるように思います。っていうか、これで1000円は安すぎます(…ということになります)。
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店主さんのご厚意(?)で、こんなのまで頂きました。
スイスで勉強された経験がばっちり生かされていますね。酢漬けの人参がたまりませんでした。
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久々に、震える気持ちになりました。熱く語りたいと思えるお店でした。学生たちにももちろん紹介したいと思います。きっとラーメン保守派層(とりわけ男性)には受けないと思います。リベラルで、新しいものが好きなラーメン好きの若い人(新しもの好きな人)向けかな、とも思います。また、ここのラーメンを食べて、「おお!」と思える感性の人と、僕は通じあいたいです(だから、らんちばさんは永遠の悪麺友なのかも?!)。
ちなみに、このお店の「ラシゴーニュ」とは、「こうのとり」という意味らしいです。「こうのとりのゆりかご」=「赤ちゃんポスト」を研究している僕としては、とてもそこに親和性を感じました。蛇足ですね。
ですが、このお店は、僕的に今年の千葉で最高レベルのお店だと思います。昨年の「どーち」に引き続き、千葉の欧日合作ラーメンの登場です。千葉にいて、ヨーロッパを感じる。まさに、グローバル×ローカル=グローカルなお店でした。だから、僕的に応援しなければならないのであります!(興奮!)。
ラシゴーニュ、kei、心から感動しました!!!
右♪
左♪
船橋の人なら分かりますね♪