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散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

黄金の十月

2005-10-18 17:42:58 | 思考錯誤

黄金の十月。黄葉した樹の下に立って見上げると黄色の天蓋のところどころに空色の斑が見える。風が吹くたびにチラチラと葉がゆれて空が見え隠れしているのをジイッと眺めていると、なんだか見えない誰かが私に暗号を送っているかのように見えて来て、思わず解読しようとしてしまう。チラ、チラチラ、チラチラ、チラ、チラチラチラ。。『お・や・す・み。。。オ ヤ ス ミ 。。。』
じっと耳をすませていると、間断なくしゅるしゅる、するり、こつん、ころころころと言う音が聞こえてくる。木々の葉の間をどんぐりが落ちて行く音。日溜まりに座ってのんびりしているとぽかぽか暖かく、ぼんやり暗号解読しているうちに眠気がおそう。
しかし、こんなところで眠ってしまってはいけない。黄金の十月といっても、もう秋も終わり、風は冷たくなってきた。ここはエッセン・ヴェルデンという街にある教会横のベンチなのだから、居眠りしたら風邪をひく。
折角来たので、教会に入ってみよう。
このルディゲルス教会はもともと修道院教会であり土台は10世紀に建てられ火事災害での建て直しをへて現在に至っている。聖ルディゲルスは病を治す奇跡で有名だとある。初期から後期ロマネスク様式を土台に、中央祭壇はバロック様式のきらびやかな装飾が薄暗闇の中で鈍く輝いている。時の筆が絢爛な装飾に古つやを与えて、良い味を出している。
外に出ると、明るい秋の日差しが眩しい。教会の脇のちょっとした広場には市場が立っており、買い物客で賑やかだった。
                  
                 クリプタにある十字架とステンドグラス
エッセン・ヴェルデンに行ったのはその街にある小さな画廊に小品を届ける事になっていたからだ。この画廊には何度かお世話になっていたが、不況のあおりをまともに受けて今年14年目で閉業することになってしまった。それで今回はこの画廊にかかわっていた11人の展覧会。冷たい風がふいているなあ。

いや、気を取り直して、美しい黄金の十月を余さず堪能しよう。どんぐり達の奏でるリズムを聞きながらザクザクと落ち始めた葉の山の上を歩くのも楽しい。拾ったどんぐりがポケットの中でコロコロ踊る。