ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

ローラ・インガルス・ワイルダー作 「大きな森の小さな家」 福音館文庫

2007-08-31 | こんな本読みました

どうも自分は、偏った読書をしてきたらしい。。。と気づいたのはブログに読書の記録を書き始め、他の方のブログを読むようになってからだ(汗)。

そして、偏ったという内容はここで挙げればキリがないのだが(笑)、そのひとつに本書のような異国の世界を描いた物語を読んでいない。。。ということが挙げられる。『小公女』『若草物語』『秘密の花園』『赤毛のアン』『あしながおじさん』などなど古典的なものはひと通り読んでいるのだが。。。

……なぜだろう?

と思っていたのだが、思い当たることがひとつあった。
……自分の家にこの本がなかった……という単純な理由かもしれない(笑)。
小学生の頃に借りる本はだいたい決まっていたし(江戸川乱歩)、あとは主に家にある『少年少女 世界の文学(全集)』(小学館)を好き勝手に読んでいただけだった。

……というわけで、いまさら児童文学ー!?とは思うのだが(実は児童文学はキライではないし実際のところ読んでいる。笑)、やはり知らないというのも悔しいので手にとってみた(笑)。。。それに読書通の友人に第1巻、2巻まではぜったいおすすめというお言葉もいただいたので。

……いやあ。よかった!実によかった!
こころが解放される。違う世界を生きられる!

それもそのはず。本書の舞台は100年以上も前のアメリカ!。
目の前にクマ、ウシ、ブタが生き生きと動き出し、ローラ(5歳~6歳)といっしょに泣いたり笑ったりおいしい食事を食べたりできる。お母さんのお手伝いも楽しい!お父さんの仕事をみたり話をきくのもわくわくする。

仕事の内容も実に多彩。なんたって自給自足の生活なのだ!
乳搾り、チーズ作り、帽子づくり、カボチャ、トウモロコシ、豆などの料理、ケーキ、パイ、クッキー、はちみつ、キャベツと肉の煮込みなどぜいたくなものはひとつもないのだが、手をかけてていねいに生活を営んでいることが分かる。

いちばん印象に残ったのは、ローラの<はじめて>の経験が生き生きと描かれていることだ。
はじめて……憧れの人形をもらったこと。それまではなんと、トウモロコシの芯をハンカチで包んで人形を見立ててお世話していたのだ!
はじめて……町というものを見、お店というものに行ってみたこと!
はじめて……「あら男」(ジョージおじさん)というものを見たこと!
はじめて……姉と比べて自分というものを見つめたこと。
はじめて……お父さんの言ったことに疑問をもったことなどなど。。。

本書は著者の経験をもとに書かれているということをかんがみると、ローラが記憶しているすべてのことは、著者にとってなんらかの生き生きとした感情を抱いたということだと思う。うれしいこと、悲しいこと、楽しかったこと、つらかったこと。季節が変わるたびに経験がふえ、そのたびにどんどんローラの世界が広がって行く。それを読者は追体験できる。

お父さんもお母さんもいっしょうけんめいに働き、愛情をもって子どもをしつけ育てる。このお母さんができている人で、子どもが失敗しても感情的に怒ることをしない。危険なことにさらされても子どもを守ることを第一義に毅然としている。お父さんはユーモアがあり子ども好き。そして約束を守ることをしっかり教える。スズメバチにさされた子に安易に同情せず、世のなかの厳しさを教える(まだ、その意味が子どもに理解されないとしても)。

また挿絵がすばらしく、たのしそうに遊ぶ子どもの表情(実に雪遊びの楽しそうなこと!)、ローラの涙をながした悲しそうな顔、お父さんのバイオリンを弾く姿にひきこまれる姉妹の表情など。白黒なのだがどれも文章のイメージを引き出しその世界をより鮮明にイメージさせてくれる。

大きな森のなかでの小さな家のなかの一家族の日常。いわゆる北アメリカの開拓生活が描かれている。実際とっても厳しかったのだろうが、その語りは(ローラの目を通してのものなので)案外淡々としていて中身はとっても豊か。大人の自分が読んでもとっても楽しめる本だった。まだシリーズであるそうなので、続けて読んでみたい。

 


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4 コメント

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毎度です! (つな)
2007-09-01 22:26:50
ガーベラさん、こんばんは。
いきなり三作目をトラバしてしまいましたが、ほんと、一作目は楽しい子供の日々がキラキラと描かれていていいんですよねー!
私はこのシリーズが家にあったので、何度も繰り返して読みました。
児童書って、家にあるかどうかで、確かに世界への入り込み方が変わるかも。
続きも楽しまれますよう♪
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児童書。。。 (ガーベラ)
2007-09-01 22:39:51
つなちゃん、いつもどうもありがとうね♪
トラバしてくれた記事に私もコメント入れたりしてたんですね(汗)。なつかしーというかはずかしい(笑)

ああー。つなちゃんとこもジャングルと化してきてませんか?(笑)。この本も記事にされていたのですね!>ああ。自分の記憶力の低下が。。。

児童書というか本って、何気なく家にある……っていうのがいいのかもしれませんね。ああ。。。子ども時代にこの本を読んでいたらどう感じたんだろ(どう感じる子だったんだろ)って思いますね!(笑)
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懐かしいですね (海ちゃん)
2007-09-05 16:02:27
私は子供の頃に読んだきりですが、たしかこの本ですよね、豚を解体するのは。膀胱を紙風船のようにして遊ぶのが、かなり衝撃的でした。
義母がミネソタの農場出身で、親戚で集まると、このシリーズに書いてあるような話がよく出てきます。どうしてもヘッドチーズというものが知りたくて聞いたら「あれは見ないほうが、味わわないほうがいい」と口々に言われ、バターの作り方も「あんなに単調で辛い仕事はない」でしたっけ(笑)。
でも不思議に義母の代の話はこのシリーズで読んだことと似てるんです。ウィスコンシンはお隣だからかも。
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お帰りなさい♪ (ガーベラ)
2007-09-06 01:03:56
>海ちゃん
ブログに戻ってこられてうれしいです♪。また楽しい記事UPしてくださいね。

そうそう。ブタの解体と膀胱を紙風船にするシーンありました!。ああ、たしかに子どもの頃に読むとかなり衝撃的でしょうね。このシーン!

うわあ、さすがに本場(?)アメリカの農場ご出身のお義母さま!実際に体験している人にとって、農場での労働は決して楽しいばかりのものではないですよね。むしろ辛そうですよね。。。
でも実体験を聞ける人が身近にいらっしゃる…というのもなかなか貴重なことですよね(笑)。
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