面白かった。読み応えがあった。氏の著作は何冊か読んでいるが、『読書論』(岩波新書)についで印象深い本だった。しかも非常にわかりやすかった。
「読むこと」と「書くこと」が強く連動しており、その両方をいっぺんに上達させるためのトレーニングを三日間でやるというコンセプトで書き進められている。基礎、応用、実践の三日間だ。
以下< >部、本書より引用。
<アンテナを広くするためには、まずたくさんの種類のものを読むことから始めてください。すると芋づる式に世界が広がっていきます。>
<かつてソクラテスは、答えを見つけるのが重要なのではなくて、問いを作り出すことが重要だと言いました。何かの問いを投げかけることによって、初めて次の何かが生まれてきます。たとえば「なぜ林檎が落ちるのか?」という問いがあれば、それを受けて答えられる人はたくさんいたかもしれませんが、その問いを発すること自体がニュートンの素晴らしい能力だったわけです。
ですから、普段から自分の周りに、考えを深めてくれる「発問」を出してくれる人を見つけておくか、自分自身がその「発問」を作り出せる人になることが重要です。>
<「弁証法」的な書き方ともいえる「二項対立方式」は、二人で対話しているときのようなダイナミズムがあって、最後に結論に到達したときの爽快感は、ベタな論文の比ではありません。「弁証法」とは、互いに対立しあうものが矛盾を乗り越えて新しい地平を開くという方法論です。文章においてもそれができると、かなりのハイレベルですし、読む側の能力をも要求します。>
<高度に知的なものと、実際の実技的なものを結んでいくところに自分のゆらがない「視座」が確立され、他のものを見る見方が変わってくる、そういう勉強の仕方をしてきたということです。学問とは訓練していない人には身につかない、ある種角度のついたものの見方が身につくことであると考えると、とても意味があることがわかります。>(著者の大学時代にやっていたことだそうである)
また、三日目の実践編では、東大の国語入試問題にチャレンジしたり、上手なエントリーシートの書き方について記されておりなかなか面白かった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます